イギリスのポークパイ
時々、近くの肉屋で作って売っているポークパイを買ってきて、軽食にします。
ポークパイは、中世の時代から驚くほど変わっていないとされる食べ物のひとつ。イギリスに来た当時は、「こんなもの食えん。」などと毛嫌いしていましたが、最近は、美味しいと思うようになりました。これも慣れというものでしょうか。その名の通り、パイの中身は、ほとんど豚肉。あとは塩、コショウ、ハーブ少々(特にセージ)。
ポークパイと言うと、レスタシャー州のメルトン・モウブレイ(Melton Mowbray)で作られるメルトン・モウブレイ・ポークパイが特に有名です。何でも、メルトン・モウブレイのものは、型にいれずに焼くので、パイのわきがぽっこりと膨れて、円錐形というより、まるぽっちゃな形になるのが特徴のようです。メルトン・マウブレイはスーパーでも購入できますが、私は、肉屋特製ポークパイに満足なので、あまりこれを買うことはないです。
写真でも見れるよう、パイの蓋になっている上皮の真ん中に、小さな穴が開いていますが、パイが焼きあがり、まだほくほくのうちに、この穴から、ストック(煮出し汁)を注ぎ込む事で、パイが冷めた後、ストックが、肉を覆うようにしてゼリー状に固まります。暖めず、そのまま食します。
料理をしたくない時の軽食にもってこいなので、私は特に自分でポークパイを作る野心はありませんが、参考まで、メルトン・モウブレイ風ポークパイのレシピはこちら(英語)まで。
*****
さて、ポークパイと言うと、英語では、「嘘」の意味で使われる事が往々にしてあります。東ロンドンっ子が使う俗語の、コックニー・ライムに由来する用法です。コックニー・ライムでは、ある言葉の代り(たとえば、嘘:Lies ライズ)に、それと同じ韻を踏む言葉(ここではライズと同じ韻のポークパイズ Pork Pies または、ポーキーパイズPorkie Pies)を用いる。さらにややこしい事には、今では、「嘘」というと、コックニー・ライムでは、ポーキーパイズの後ろのパイズを抜かして、ただ単にポーキーと呼ぶのが一般的な感じです。
He is always telling Porkies. (奴はいつも嘘ばかりついてる。)
そのほか、アップルズ・アンド・ペアーズ Apples and Pears(リンゴと梨)がステアーズStairs(階段)の意味、ブレッド・アンド・ハニー Bread and Honey(パンとはちみつ)がマネー Money(お金)の意など。書き出すときりが無いので、この辺にしておきますが。
*余談*
家畜の英語名と、料理用の肉の英語名が違うのは何故でしょう?
農場で走り回るブーちゃんは、「pig」 と呼ばれるのに、お皿に載って登場すると「pork」。また同様に、モーモーと鳴いている間は、「ox」と呼ばれるのに、食用肉に変身すると「beef」。さらには、 家畜の「sheep」は、肉になると「mutton」。
pork、beef、muttonは、イギリスのノルマン人征服後、支配階級のノルマン人が持ち込んだノルマン語(古いフランス語の一種)に由来します。支配階級であれば、家畜の世話などする必要はないので、彼らの言葉は、お皿に盛って出てきた肉類に対してのみ、使われたわけです。
一方、支配される側のサクソン人は、ご馳走食べる間もなく、農場で働き、家畜の面倒を見ていたため、サクソン語が由来の言葉、pig、 ox、 sheep は、生きている家畜を指す言葉として残り。貴族の言葉と、百姓の言葉・・・この2種類の由来の違う言葉達が、現在の英語でも生きて使われ続けているとは、面白いものです。
過去の参考記事:「英語とフランス語」
ポークパイは、中世の時代から驚くほど変わっていないとされる食べ物のひとつ。イギリスに来た当時は、「こんなもの食えん。」などと毛嫌いしていましたが、最近は、美味しいと思うようになりました。これも慣れというものでしょうか。その名の通り、パイの中身は、ほとんど豚肉。あとは塩、コショウ、ハーブ少々(特にセージ)。
ポークパイと言うと、レスタシャー州のメルトン・モウブレイ(Melton Mowbray)で作られるメルトン・モウブレイ・ポークパイが特に有名です。何でも、メルトン・モウブレイのものは、型にいれずに焼くので、パイのわきがぽっこりと膨れて、円錐形というより、まるぽっちゃな形になるのが特徴のようです。メルトン・マウブレイはスーパーでも購入できますが、私は、肉屋特製ポークパイに満足なので、あまりこれを買うことはないです。
写真でも見れるよう、パイの蓋になっている上皮の真ん中に、小さな穴が開いていますが、パイが焼きあがり、まだほくほくのうちに、この穴から、ストック(煮出し汁)を注ぎ込む事で、パイが冷めた後、ストックが、肉を覆うようにしてゼリー状に固まります。暖めず、そのまま食します。
料理をしたくない時の軽食にもってこいなので、私は特に自分でポークパイを作る野心はありませんが、参考まで、メルトン・モウブレイ風ポークパイのレシピはこちら(英語)まで。
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さて、ポークパイと言うと、英語では、「嘘」の意味で使われる事が往々にしてあります。東ロンドンっ子が使う俗語の、コックニー・ライムに由来する用法です。コックニー・ライムでは、ある言葉の代り(たとえば、嘘:Lies ライズ)に、それと同じ韻を踏む言葉(ここではライズと同じ韻のポークパイズ Pork Pies または、ポーキーパイズPorkie Pies)を用いる。さらにややこしい事には、今では、「嘘」というと、コックニー・ライムでは、ポーキーパイズの後ろのパイズを抜かして、ただ単にポーキーと呼ぶのが一般的な感じです。
He is always telling Porkies. (奴はいつも嘘ばかりついてる。)
そのほか、アップルズ・アンド・ペアーズ Apples and Pears(リンゴと梨)がステアーズStairs(階段)の意味、ブレッド・アンド・ハニー Bread and Honey(パンとはちみつ)がマネー Money(お金)の意など。書き出すときりが無いので、この辺にしておきますが。
*余談*
家畜の英語名と、料理用の肉の英語名が違うのは何故でしょう?
農場で走り回るブーちゃんは、「pig」 と呼ばれるのに、お皿に載って登場すると「pork」。また同様に、モーモーと鳴いている間は、「ox」と呼ばれるのに、食用肉に変身すると「beef」。さらには、 家畜の「sheep」は、肉になると「mutton」。
pork、beef、muttonは、イギリスのノルマン人征服後、支配階級のノルマン人が持ち込んだノルマン語(古いフランス語の一種)に由来します。支配階級であれば、家畜の世話などする必要はないので、彼らの言葉は、お皿に盛って出てきた肉類に対してのみ、使われたわけです。
一方、支配される側のサクソン人は、ご馳走食べる間もなく、農場で働き、家畜の面倒を見ていたため、サクソン語が由来の言葉、pig、 ox、 sheep は、生きている家畜を指す言葉として残り。貴族の言葉と、百姓の言葉・・・この2種類の由来の違う言葉達が、現在の英語でも生きて使われ続けているとは、面白いものです。
過去の参考記事:「英語とフランス語」
おはようございます。今朝はあすこし暖かいです。でも、お正月からまったく雨が降らずカラカラ状態です。日本海側は大雪で典型的な冬の季節が続いています。そして、九州では火山の噴火で緊張が続いています。鳥インフルエンザも発生しています。落ち着きません。
返信削除ポークパイ 美味しそうですね。ミートパイというのは別にあるんですか?パイは冬の食べ物でしょうね。大好きです。英会話の先生はシェパードパイというのが大好きと言っていました。
ポークパイの他、肉の入ったパイには、ゲームパイ(雉やウサギなど狩猟の対象となる鳥、動物を入れたもの)、ステーキアンドキドニーパイ(牛肉とキドニー等)などあります。
返信削除シェパードパイは、羊肉のミンスを、パイ生地でなく、マッシュポテトで覆うので、パイと言って想像する食べ物と見かけは違い、スパゲッティボロネーズのソースにマッシュポテトが被さってる様な風体です。同じような料理で、羊肉でなく、牛のミンスを使ったものは、コテージパイと呼ばれます。