バケーションがもたらしたイングランド再ロックダウン

V・A・C・A・T・I・O・N  楽しいな

ぎらぎらと輝く太陽背に受けて

青い海 泳ぎましょ

待ち遠しいのは 夏休み

なんて歌がありましたね。このバケーション(正確にはヴァケーションと書いた方がいいのでしょうか)という単語のスペルを覚える時、この歌が役に立ちましたが、その他に、学校の友達が、「ヴァケーションのスペルは、馬鹿チョンて覚えればいいんだよ」と言っていたのをいまだに覚えています。

マスクをするビートルス像

イギリス(イングランド)は、コロナのいわゆる第2波を、局地的モグラたたき作戦だけでは抑えきれず、3月の頭と全く同じような状態で、すでに感染が蔓延してしまってからの、遅れを取ったロックダウンに入ります。11月5日の木曜日から1か月と、今のところは期間限定ですが、さて、それもどうなることやら。再び、必需品を売る店以外は閉まり、人々は、外出規制により、必要以外での外出を避けるように指示され。前回と異なり、さすがに今回は、学校は開いたままにする予定。それはそうでしょう。学校を閉めていた期間があまりに長かったですから。

大体、感染が増えつつある9月中頃に、政府は、サイエンティストから、「今のうちに、2週間の短いロックダウンをして、感染がひどくなるまえに抑え込み、追跡調査が機能する状態にする必要がある」とアドバイスを受けていたのですが、政府は、足踏みをし、感染のひどい北部などに規制を敷いたのみで、気が付くと、感染はじわじわと全国に広がり、ここのところ、1日の死者300人を超しています。リバプールあたりでは、すでに病院がひっ迫状態になりつつあるようです。よって、市民が楽しみにしているクリスマス前にはなんとか、多少の抑え込みをしたい、全国の病院が機能不全にならないように、藁にもすがるロックダウンと相成りました。ロックダウンに遅れを取ったため、こうなった今となっては、2週間では済まないだろうと、1か月となった次第。手段が遅れれば遅れるほど、感染を抑えるには時間がかかるってこと、3月の1回目のロックダウンで学んでいなかったのか。

今回の感染は、なんでもその80%が、夏の間にスペインへ遊びに行った人たちが、持ち帰り、まき散らしたものなのだそうです。3月の第1波は、冬のイタリアのスキーリゾートから帰った人たちが原因だったと言われています。スペインの海辺のパッケージツアーは安価で、毎夏、雲の多い国に暮らすイギリス人には大人気。夏の、長期にわたる外国でのホリデーは、まるで市民の権利でもあるような感覚もある昨今。かき入れ時の夏に経済がかかっている、そうしたスペインのリゾートも、「イギリス人よ、来ておくれ」、とラブコールをかけていましたし。ちなみに、スペインでの第2波の根源は、スペインの農場で働く季節労働者間のクラスターからではないかという話です。

思うに、あれだけ、長い1回目のロックダウンの後、勉学の後れを取った子供たちのために、夏休みを短縮してでも学校を開けようという努力は一切せず、空港での水際対策など、皆無のまま、空港でのPCR検査もなく、なぜ、海外へのホリデーを許したのか、それ自体が、まずおかしい。こんな時世で、結構な人数が、特に心配もせず、スペインへ行ったという事もおかしい。しかも、リゾートでビール飲んでパーティーして得た解放感を、帰国後もそのまま維持して、コロナはロックダウンと共に消えたとでも思ったのか、一切、注意をせずに町を徘徊した人が多すぎたのでしょう。スペインの感染が増え始め、イギリスに帰国後14日間のセルフアイソレートの措置が言い渡された後も、これを守らぬ人が多かったという話です。まともな水際も、感染後の追跡調査もできない政府も政府なら、そういう人たちにも、責任あるはず。バケーションに行った後、コロナは去ったように振る舞った馬鹿チョンたちがもたらした第2波。また、マスクが義務づけられている店内や交通機関でもやらない人、密集した場所に平気でぎっしり集まってどんちゃん騒ぎしたりのルール違反をする若者たちのニュースもちらほら聞きます。

弁護のために書いておきますが、当然イギリスにも気を付けて行動している人は沢山います。が、コーヴィディオットの割合が人口に多いと、こういう事態になるのです。最終的に、感染は、個人の行動で広がるのだから。

さて、現段階では、イギリスよりひどいことになっているフランスでの今回の感染、やはりスペインのホリデーからのものは、半分くらいという話を聞きました(正確な情報でないので悪しからず)。あとは他のヨーロッパ旅行、または自国内での外食やヴァケーションが原因でしょうかね。ヴァケーションに行ったり、食べ歩いたりすると、リラックスして、気がゆるむ、正常に戻った気分になる、行動が、コロナ前のものに戻る、というパターン。今まで、比較的よくやっていたオーストリアなども、感染が上昇していますが、ウィーンに住む友人も、夏の間は、イタリア、ドイツを旅行したという話をしていました。彼女ら夫婦は、わりとルールもしっかり守るタイプなのに、やはり夏には、バケーションを取ってどこかへ行ってしまった。沢山の人々が国境を越えて旅行すれば、感染の可能性はかなり上がるのは目に見えてます。ヨーロッパの政治家たちも、不人気が怖く、国民が楽しみにしていたサマーバケーションに行くな、という勇気が無かったのかもしれません。

もっとも、大陸ヨーロッパは地続きなので、国境管理は、島国より大変。それを思うにつけ、なぜにイギリスがもっと、島国の利点を生かし、ちゃんとふんどし引き締めて事にあたらなかったのか。ニュージーランドと雲泥の差。情けないなあ。

日本も外食や国内旅行が奨励されているようですが。くれぐれもお気をつけて。日本人はもっと自制心があり、3密を避ける、マスクをつける、手を洗うを合言葉に、きちんと行動していると信じたいところです。水際も政府は手綱緩めすぎないといいですが。イギリスやヨーロッパをよーく見て、馬鹿チョンにならないようにしましょう。一度、こうやって感染を爆発させてしまうと、ロックダウン、開ける、ロックダウン、開けるの繰り返しに陥ることもありますので。

個々人が小さな自由を犠牲にして、全国的にある程度の行動の自由を得ているのが今の東洋や、ニュージーランド、オーストラリアの様な国々なら、個人の自由に固執し主張する事で、逆に、さらに大きな自由が失われているのが今のイギリス・・・そんな気がします。

コメント

  1. Miniさん、ご無沙汰しております。
    以前、とある記事にコメントを書かせていただいてから随分経ちました。だいぶ変なコメントを送ってしまい、今思い出してもかなり恥ずかしくなります…。それはさておき、イギリスにおける新型コロナウイルスの実情を拝読しましたが、すごく身近でリアルに感じました。日本にいると、やはり他国の情報はあまり報道されないので、情報を発信されている方々の存在に感謝です。
    イギリスではバケーションではしゃぎまくってしまった人たちが感染者数をあげる引き金となってしまったのですね…。ちなみに日本では国内旅行に行こうよキャンペーンが感染者数の増加に伴い、数週間ほど停止していましたが、今後の状況によっては再開する見通しとのことです。しかしながら、SNSにおける反応を見るに、日本の場合は国内旅行で感染者数が増加したというよりも、多人数での外食や数人からなる食事会、仕事の接待などなど、よくある身近な接触ケースで感染者数が増えたのではという風に認識されているようです。それ以外にも、季節が冬になったこと、規制の緩和、検査範囲の拡大(これは悪いことではないですが)……何はともあれ、Miniさんのおっしゃる通り、三密を避け、マスクを常につけ、手洗いうがいもきちんとするという三原則が個々人でできる最大限の感染対策だと私も思います。
    とにもかくにも、新型コロナウイルスが早く終息することを願ってやみません。私も、合言葉を守って生活しますね(最近は密の回避が難しくて…)!
    Miniさんとご家族の方々も、どうか、どうか元気でいてくださいませ。

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    1. お久しぶりです。お見舞いをありがとうございます。我が家は、平穏に暮らしています。どこにも行けない、という事を除けば。

      これを書いてからもう3か月近く経ってしまい、イギリスは、1月頭から始まった第3回ロックダウンのただ中です。クリスマス時に政府が規制の緩和をしたため、それがまた感染を広めた感じですし、変異ウィルスも出してますしね。昨日は、コロナ死者10万人を超しました。学校も、長期間しまったままで、この国の子供の将来、ひいては国の将来はどうなるんだろうと思います。コロナ禍の他にも、ブレグジットによる経済に与える打撃もひたひたと出てきている感じです。

      感染の蔓延と死者の多さの理由はいろいろ取り沙汰されていますが、貧富の差が大きい社会(貧しい地域での感染が大)である事、感染していても働きに出なければ食べていけす、自宅療養する余裕のない人が多い事、太っていて健康の具合がもともと悪い国民が多い、ルールを守らぬ人が多い、また、上記の様、夏の間に羽目を外した事、やはり夏季に、レストランでのディスカウントをするヘルプアウトトゥーイートアウトという方針(日本のゴートゥーイートのようなもの)を出して外食を奨励したの、結果的に感染を上げた理由の一つのようです。おまけに、イギリス史上最悪と思える首相がトップですから!

      今やワクチンだけが命綱で、大変な勢いでワクチン接種を行っていますが、それも、日本で使用予定で。効果が90%以上で高いとされるファイザー社のものよりも、効果が62%とかいうアストラゼネカのワクチンの方が、イギリスでは購買量が多かったため、後者がメインとなりそうなので、実際にそれで完璧に感染を抑えることができるのか、私は、少々不安です。昨日、リスクグループのだんなが、第1回ワクチン接種を受けましたが、ファイザーのものをもらえるという事で予約をしたのに、行ってみたらアストラゼネカを接種された、と怒っていました。どちらを接種されるかは、全くの運のようです。イギリス政府やメディアでは、どちらのワクチンも同じ、のような言い方をしてるのは、事実をごまかすためかと勘ぐってしまいます。女王もワクチンを接種しましたが、どちらのワクチンかを明かさないのです。どう考えても、ファイザーワクチンを受けたのだと思います。効果90%以上のワクチンがあるのに、国の長に効果が62%とされているワクチンをうつわけがないですから。

      日本は、感染増加とはいえ、イギリス、アメリカ、ヨーロッパに比べれば、かなりよくやっている方ですよ、ロックダウンもせずに。それに、ファイザーとやはり効き目のあるモデルナ・ワクチンをかなりの量買っているはずなので、ワクチンの面でも、イギリスより幸運な状況ですね。

      なんとか感染が収まるまで、気を付けてお過ごしください。

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