Covidiotはコロナ阿保

新型コロナウィルスは、イギリスでは、時に、コーヴィド・ナインティーン(Covid 19)、または,発生した年の数字である19を落として、単にコーヴィッド(Covid)と呼ばれています。もっとも、厳密に言うと、Covid19は、 Coronavirus Disease 2019(2019年コロナウィルス感染症)の省略で、今回の新型コロナウィルスによって起こる病気の事を指します。新型コロナウィルス自体の正式名は、Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (重症急性呼吸器症候群ウィルス、略して、SARS CoV-2、サーズコロナウィルス2)。まあ、それはさておいて・・・

新しい造語で、最近、コーヴィディオット(Covidiot)という言葉をよく耳にしますが、これは、Covid と、Idiot(イディオット、阿保、馬鹿)を合体させた言葉。言うならば、コロナ阿保といった訳になりましょうか。このコーヴィディオットとは、どんな人の事を指すかと言うと、まず、感染を抑えるためのルールを無視し、全く従わない人、また、ロックダウンで食料や物資が減るのではと、他人を顧みず、大量のトイレットペーパーなどを狂ったように買いだめする人の事です。日本で使うなら、感染してしまった人に、不必要なまでの嫌がらせをする人なども、入れていいような気がします。要は、社会が一団で、感染をやっつけようとしている時に、感染の蔓延のみならず、社会不安や不調和を招くような行為をする人の事ですから。

どこの国にも、こうした人たちは多かれ少なかれいるでしょう。が、施設が整っていないあまりに貧しい国はともかく、コロナウィルスの感染を抑えきれずに死者をたくさん出している国は、政府の対応の悪さの他にも、このコーヴィディオットが人口の中に占める割合が高いのではないかという気がします。残念ながら、イギリスでも、比較的、このコーヴィディオットの割合が高いと、結論せずにはいられません。

コロナが存在するというのは噓で、でっちあげだという、陰謀説を確信している人や、ワクチンはできても絶対接種を受けないと言い張る人もイギリスでは、多々おり、先週末などもこうした人たちが集まって、トラファルガー広場でコロナ感染抑制対策に反対するデモをしてました。「自由を守る」とかいうのがうたい文句の様ですが。最近は新聞を読まず、ニュースも見ず、自分と同じような人間のみが集まるソーシャル・ネットワークで流れて来た情報だけを、自分の社会観の頼りにしている人が増えているので、ガセネタが飛びまわってしまうわけです。でも、それを鵜吞みにして、本当かどうか確かめようという気が全くないというのも、すごい話で・・・。

イギリスの感染が再び上がってきています。今まで、局地的に感染が増えていたのは、北部、中部の一部の町が主でしたが、これがまた、全国的に広がりつつある模様なのだそうです。なんでも、今一番感染数が多いというボルトンという北部の町では、外国のホリデーから戻った男性が、帰国後、一切、要求されていた自己隔離をせず、友達グループでパブのはしごをして回り、その何日か後に陽性のテスト結果が出たのだそうで、ボルトンでの感染蔓延は、この一人のコーヴィディオットが大きな原因とされています。

感染が落ち着いていた初夏から今までの間、夏休みを短縮してでも、早めに学校を開いて、教育の遅れを取り戻そうとする事はやらなかったに関わらず、パブを開け、レストランでは政府の補助による値引き外食が大当たり、ホリデーを楽しむ人も沢山いました。私には、とにかく、学校の前にパブを開けるという、この国のスタンス自体が信じられなかったですね。学校は9月になってからようやく、約6か月ぶりの再開。このまま、感染を抑えきれず、第2波がやって来たら、またすぐ閉めるなんてことになるのでは。だから、多少収まっている間に、学校だけは最優先で始めるべきだったのに。政府の教育に対する熱意がこれでは、コロナ阿保が増えてしまうのも仕方がないのでしょう。

ブレグジットに関しては、EU残留派と離脱派が、あまりにもイデオロギー相反しており、それぞれ別の意見を持つ人間の間に亀裂ができたなどと言われていますが、コロナに関しては、コロナの感染を抑えようとしっかりルールに従い注意深く行動する人の陣営と、コロナ阿保に代表される、そうでない陣営が真っ二つに分かれ、イギリス内のこの二派の亀裂は、ブレグジットでの亀裂より、更に、修復不可能なほどひどいものである、などと言う話もあります。

ボリス・ジョンソンと現政府のコロナに対するお粗末な対応、時々耳にするコロナ阿保の話、時期迫るブレグジット移行期間の終了と合意なき離脱となりそうな可能性、結んでから1年も経っていない、北アイルランドに関する国際協定をほごしようとする、などなど、最近、この国では、本当に阿保らしすぎる話が多く、何も書く気になれなかった次第です。日本にいるときは、さほど熱心に勉強しなかった日本史の勉強や、日本の古典文学などを読んだりして、このところ日々を過ごしていました。あまり、イギリスについて考えたくないので、一種の逃避かもしれません。国に対しても百年の恋も冷めるっていう事はありえるんでしょうかね。現状のイギリスに対しては、そんな気分です。政権と現政権に投票した国民半分の態度が変わらない限り、この気持ちは続きそうな気がします。

かつては大英帝国などと呼ばれたこの国、EUから離脱するための移行期間が終わった後は、心機一転、国名をパウンドランド(Poundland、日本語にするとポンドランド)にでも変えたらどうだ、というコメディアンのジョークを聞いたことがあります。パウンドランドとは、1ポンドで、何でも買える、100均ならぬ1ポンド均一ショップの事。ちなみに。パウンドランドで売ってるものは、日本の100均のような、「え、これが100円?」と思うような、しっかりした質の物ではありません「1ポンドだから仕方ないか。」という類のもの。よって、パウンドランドという響きにある、安っぽく、信頼がおけず、ぼろっとした感じが、このまま、路線変更せず、今の道を突き進んでたどり着くであろうイギリスの将来の姿にぴったりかもしれません。インフレが来ると思っているうちのだんなは、そのうち、「ポンドランドじゃなくて、千ポンドランドになるかもよ。」なんて言ってます。今、1ポンドで買えるものが、インフレのせいで、札束持ってかないと買えないようになる?まさかね、そこまでは・・・。

更には、仮にスコットランドが再び、英国からの離脱に向けての国民選挙でも行い、独立を果たしてしまった暁には、ユナイテッド・キングダムも何もあったものではないから、まさにパウンドランドです。北アイルランドですら、いつの日か、ついに愛想をつかして、出ていき、アイルランド共和国と合併などという事も、全くないとは言い切れないですしね。

庭のコスモスが満開になりつつあります。こういうのを見るとほっとしますね、やはり。

そろそろ、来年の春用の球根を植えることも考える時期です。イギリスの政治経済がどうなっていようとも、春のクロッカス、ダファデル、チューリップはきちんと咲かせないと。

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