嵐の前のパニック買い

庭に植える予定のおいもちゃんたち

新型コロナウィルスの影響で、すでに、2,3週間前から、スーパーからトイレット・ペーパーが消え、石鹸が消え、鎮痛剤、解熱剤が消え、バスタが消え、などしていましたが、さすがに、ジャガイモやニンジン、ブロッコリーなどの、生野菜までが見つからなくなると、びっくりせずにはいられません。

今週末より、70歳以上の人、持病を持つ人は、12週間は、家から出ずに大人しくセルフ・アイソレート(自己隔離)していてくださいと、英国政府から、1週間前にアナウンスがありました。新型コロナウィルスにかかると、重症になりやすい人たちが、とりあえず、巷を歩かないようにしてしまおうという対策です。うちの旦那も、おそらく、その持病がある人のカテゴリーに入ります。とにかく、イギリス内の感染の急激な進み具合に比べ、政府の対応が遅かったため、自分から進んで、もうセルフ・アイソレートをしている人などもいたのですが。

それだけの人数の人間が、長期にわたり、あまり外出できなくなるとなると、当然、じゃあ、買い物はどうしたらいいのかという事になります。そういう人がいる家庭で、他の家族メンバーがふらふら外出して感染したら同じことなので、インターネットで食材を買おうと、皆が一斉にスーパーのインターネット・ショッピングにアクセスしたため、そちらも大わらわで、一時的にサイトを閉じてしまった会社もあるし、予約できても、配達日は2週間先などと言う話もあります。

仕方なく、スーパーへ行くと、保存できる食料は、ほとんど消え、上述の通りお馴染みの野菜まで消えていた。残っているのは比較的、値段の高い物や、ちょっと風変わりな物。牛乳類もすべて消えていたものの、私たちが、牛乳の代わりに好んで買っている山羊のミルクだけが、しっかり残っていました。私とだんなは、これで、山羊ミルクだけはしばらくゲットできそうだね、と笑っていましたが。なんでも、開店前から、列を作って並び、出来る限りの物をカートに積んで買っていく人たちがいるのだとか。ですから、昼頃行くと、棚はがらがらで品薄。でも、缶詰類なら話はわかりますが、生野菜をそんなに買ってどうするんでしょう。まあ、冷凍するという手はありますが。

先日のニュースで、シフトを終えて、家に帰る前に、夕方スーパーに寄った看護婦さんが、「野菜や果物がすべてなくなっていた。私たちは、あなた方が病気になった時に、あなた方を見てあげるのが仕事です。そのためには、野菜や果物を食べて、自分たちも健康である必要があります。お願いですから、必要以上の食物を買うのはやめてください。」と涙ながらに、一般庶民に懇願しているビデオが流れ、話題になっていまして。それは、気の毒ですよ。他人のために一生懸命働いて、しっぺ返しされるようなものですから。それでも、バカ買いは、まだ収まっていない気配です。

まあ、12週間の自己隔離が始まる人が多いというので、パニックがエスカレートしたというのもあるし、あまり何回も買い物に出たくないから、まとめ買い、というのもあるでしょうから、しばらくたったら、少しはましになってくれると思っていますが・・・。また、2週間後には、イギリスは、医療機関がパンクし、イタリア並みの危機に瀕することになるのでは、などという人もいるのが、さらにパニックの原因ともなり。それにしても、3月頭に、日本から戻って、ロンドンを通過した時感じた通りの状態に陥りつつあります。感染の多くは、今のところ、やはりロンドン。

コーンウォールやノーフォーク州などの、裕福なロンドン市民が、セカンドハウスを持っているリゾート地域では、「セカンドハウスを持っているロンドン市民の人たち、感染が進んでいるロンドンから、我々の地方に移動しないで、ロンドンの家に留まっていてください。感染を持ってこられては、こちらの医療機関が対処できません。」と警告を発していましたが、こんなのは無視で、混み混みのロンドンから「それ逃げろ!」とばかりに、静かで安全と思われるセカンドハウスへ向かう人たちはいるでしょうね。警察に逮捕でもされてしまわない限り。

まさか、芋まで全く手に入らなくなるという事はないとは思いながらも、ジャガイモを、庭で育てる事にしました。また、ビタミン源が手に入らなくなった時のため、タンポポの葉は食べられ、栄養素も高というので、庭の隅にいくつか生えていタンポポを、すべてシャベルでほりあげ、一斉に、大型の鉢にうつしました。そんな事をしている自分を、半分「馬鹿じゃないか」と、ほくそえみながらも。その一方で、何があってもおかしくない、という気持ちもあります。

極貧の子供時代を過ごした豊臣秀吉は、それこそ、タンポポの花を摘んで食べていたなんて話もありますね。当時に比べれば、コロナの影響を受けている現在でさえ、夢のような食生活ですが、簡単に手に入っていたものが、入手が大変になるというのには、やはり、いささかの脅威を感じます。また、食べ物がある、という有り難さを感じ、ブロッコリーの茎でさえ大切に食べようという気分にならせてくれる、良い薬ではあるとも言えましょうが。いずれにせよ、庭がある家に住んでいるのを、これほど幸運と思った事はありません。

トイレットペーパーも、いままでより、慎重に使うようになっています。こちらも、こんな事になって初めて、今まで必要以上の量を使っていた、というのも改めて反省しています。なんでも、イングランド北部の方で、トイレットペーパーが手に入らず、新聞紙や、ベイビーワイプなどでおしりを拭き始めた人たちが、それをそのままトイレに流すので、下水が詰まってしまったというニュースも、入っています。そんなものをトイレに流すなんて、一部の人間の常識の無さ、公共心の無さ、考えの無さにはげんなりします。

こういう緊急時に、それぞれの国や社会が、上手く乗り切って行けるかどうかは、最終的には、国の方針は当然ながら、そうした常識、公共心を持ち合わせない人間、政府のアドバイスを無視する人間が、国民の中にどのくらいの割合いるかという事に関わってくると思います。教育とモラルがばらばらなこの国、かなり危ない・・・?

日本での感染者の数は、現在ヨーロッパに比べ少なくなっていますが、日本での感染か否かのテストの数は、他国に比べとても少ないのだそうです。ですから全体像は、はっきりせず、隠れコロナが、実は沢山いるなどという噂も聞きます。死亡者の数というのも、国によっては、コロナかどうかはっきりしないまま、死因を「肺炎」としている場合も多々あり、要は、公表されている数字というのはあまりあてにならない。もともと、高齢者の間では、肺炎が死因というのは、わりと多いのでしょうから、その辺をあいまいにさせている。そうした公表数で、事実を隠しきれなくなるのは、医療機関が、入ってくる患者の数の多さに対処ができなくなった時。

日本は、大丈夫であって欲しいと思いながら、あちらこちらで、今まで閉めていた観光施設を開き始めたというニュースを見聞きして、多少、心配ではあります。日本での、高齢者、持病のある人たちは、自ら気を付けて、ある程度の自己隔離をしていた方がいいでしょうね。大勢のいる場所、狭い場所での集会に、自ら乗り込んでいったら、マスクは身を守ってはくれませんので。インフルエンザ治療薬アビガンも、どの程度まで効果があるかは、まだはっきりしていないでしょうし。ヨーロッパの様にはならない、最悪の事態は避けられたと安心していると、やられます。いずれにせよ、東京オリンピックをどうしてもやるんだと言っている場合ではない事は確かです。1年以上かかるというワクチンができるまで、油断はできない、手綱を緩められない、残念ながら、コロナさんとは、ながーいおつきあいになるようなのです。

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