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9月, 2015の投稿を表示しています

サフォーク州ピンクのコテージ

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何でも、イングランドのイースト・アングリア地域のサフォーク州に残る、中世に遡る古いコテージのうち、70%はピンク色の壁をしているのだそうです。そのため、こうしたピンク色をした壁のコテージは、俗に、サフォーク・ピンクと呼ばれています。 イースト・アングリア地方は、建設に使えるような大きな石を採掘できる場所がないため、教会などの大切な建物以外の、民家や一般の建物は木造漆喰が主。 サフォークは、古くは羊毛で栄えた場所です。羊毛が多く生産されれば、当然、それに付随する染色業なども盛んになるわけで、かつては、染色のための材料は、周辺の自然から求め、染色業者たちは、その辺を歩き回り、植物、木の皮、果実その他もろもろを収集し、羊毛を染めるのに使っていました。おそらく、そういった染色業者たちが、同じような自然素材を、コテージの上塗りをする漆喰に混ぜて、村の家々も、綺麗に染まっていったのではないかという話です。その中でも、なぜに特にサフォークでは、ピンクの壁が人気となったのかはわかりませんが。村中の家が、すべて真っ白というのも素っ気無いですから。 上記、中世の染色説は、なかなか説得力ありますが、いやいや、サフォーク・ピンクが人気となって、コテージの漆喰に色を混ぜるようになるのが一般化するのは、19世紀も後半になってからの、比較的、近年の現象だという説もあります。 伝統的にどの時代まで遡るかはさておいて、一口にサフォーク・ピンクと言っても、淡いパウダーピンクから、限りなく赤に近いものまで、シェードは色々。 ピンク色の染料としては、初夏に、香りの良い白い花を咲かせる エルダー の実(エルダーベリー)などが使われたそうです。見た目は黒のエルダーの実ですが、つぶすと確かに、赤い汁が出てきます。気がつくと、9月も半ばを過ぎ、もうエルダーベリーも終わりかけています。 エルダーベリーの他には、乾かした家畜の血液や、赤みがかった土なども漆喰に混ぜて使用されたようです。現在では、コテージの壁をピンク色に塗りなおす際は、ただ単にペンキの缶を開けるだけでしょうが。 サフォーク・ピンクをしたコテージたちには、サフォーク内のみならず、周辺のエセックス州やハートフォードシャー州などでも出くわします。 また、こうした古いコテージの壁には、パーゲッティング...

ビクトリア朝女性の下着、コルセットとクリノリン

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Laura had a sudden thought. "It's Mary's corsets! It must be. The corset strings must have stretched." It was so. When Mary held her breath again and Laura pulled tight the corset strings, the bodice buttoned, and it fitted beautifully. "I'm glad I don't have to wear corsets yet," said Carrie. "Be glad while you can be, " said Laura. "You'll have to wear them pretty soon." Her corsets were a sad affliction to her, from the time she put them on in the morning until she took them off at night. But when girls pinned up their hair and wore skirts down to their shoetops, they must wear corsets. ”You should wear them all night,” Ma said. Mary did, but Laura could not bear at night the torment of the steels that would not let her draw a deep breath. Always before she could get to sleep, she had to take off her corsets. "What your figure will be, goodness knows," Ma warned her. "When I was married, your Pa could ...

アップルパイはおふくろの味

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我が家の2件隣に、うちの通りにある家々が建てられた当初の1960年代から住んでいたおばあさんがいましたが、2年前に亡くなりました。私は、彼女の家の庭が大好きで、特に、9月になると、絵に描いたような、真っ赤なりんごを実らせる、 彼女のりんごの木 が好きでした。我が家の2階の窓から、秋は、毎朝、カーテンを開けるたび、そのりんごの木を眺め、「実りの季節だわね」と実感。ですから、彼女が亡くなり、家が売りに出された際は、「買い手が、庭好きで、りんごの木を切らずに取っておいてくれる人だと良いな」と、思っていたのです。 新たに引っ越してきたのは、イタリア出身で、若い頃イギリスに移住して来た老婦人。若くしてご主人を亡くしているので、女手ひとつで、子供4人を育てた人で、大変まめなガーデナーでもあります。りんごの木は、最初は、「切ってしまおうかしら」と言っていたのを、私が、「真っ赤で、綺麗な実がなるから、もったいないよ」と言うと、気を変えてくれて、刈り込みだけして、切らずにそのままにする事となりました。かなり刈り込んだために、去年は、ほとんど実がならなかったものの、今年はつやつやの実がたくさん。 先日、彼女が、はしごによじ登り、りんごをもぎ取っているのを塀越しに目撃。なんとなく、危なっかしかったので、手伝いに行きましたが、ばけつ5,6杯も収穫。「好きなだけ、もって行って」と言われたものの、すでに、前にも何個かもらって、それすら食べきれていなかったので、「りんごより、アップルパイの方がいいな・・・」と、ちゃっかり発言をしました。彼女は、パイやらケーキやら、自分では、ほとんど食べないのに、とても作るのが上手なのです。アップルパイも、以前に一個もらった事があり、美味だったのです。彼女のパイは、砂糖を大量に使用しないで、わりと甘みを抑えてあるのも良いのです。最近、砂糖の取りすぎが、いかに体に悪いか、とニュースになっていますし。 さて、その次の日の夕刻、彼女は、オーブンから取り出したばかりの、まだ湯気のあがっているアップルパイを、オーブン・グラブをつけたまま抱えて、うちの勝手口へ駆けてきて、届けてくれました。「もう一個、オーブンに入ってるから、すぐもどらないと。それじゃーね!熱いうちに食べると美味しいわよ!」と。 英語で、 Motherhood and apple p...

トウモロコシ畑でつかまえて

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コーン(corn)という英語を聞くと、イギリス英語よりアメリカ英語の影響が強い日本人としては、自動的にとうもろこしを連想しがちです。が、コーンはイギリスでは伝統的に小麦を意味する場合が多いです。 もともと、コーンとは、「小さな種」「穀物」などを意味する言葉で、古くは、まだ、茎に付いたままの穀物一般を指して使用されていたようです。これが、国や地域により、その場所で栽培される主な穀物をコーンと呼ぶようになり、イングランドでは小麦が、スコットランドやアイルランドではオーツ麦がそれぞれの「コーン」であるわけです。一部ドイツでは、ライ麦をさして、「コーン」(korn)と呼ぶのだとか。イギリスでは、 コーンフラワー と呼ばれる、夏に、きれいな青い花を咲かせる植物が人気ですが、これは、とうもろこしに咲く花ではなく、小麦畑の端などに、点々と咲いていた事から来た名前です。 ピルグリムファーザーズ たちがたどり着いた頃のアメリカでは、穀物として重宝されたのは、現住のンディアンたちが食べていた、とうもろこし。これが、アメリカでは主要の穀物として、初期は、イングランドの小麦(コーン)と区別すべく、インディアン・コーンと称されていたようですが、そのうち、「インディアン」部分が落ち、アメリカでは、とうもろこしが、コーンと称されるようになったわけです。アメリカで、ケロッグのコーンフレークが本格的に製造され始めるのは、1906年と、かなり早いのです。そして、日本でも、アメリカの影響で、コーンと言うと、とうもろこし・・・となるのでしょう。コーンが小麦も意味すると気が付いたのは、私も、イギリスに住むようになってからの話です。 植物としての「とうもろこし」は、英語で、メイズ(maize)ですが、夏の終わりから秋にかけて、私の住んでいる町の周辺でも、収穫が終わりつつある 黄金の小麦畑 の他に、とうもろこしが並ぶ、メイズ畑を目にするようになります。 背が高いので、とうもろこし畑の真ん中で、かくれんぼうなどをすると、中々見つからないでしょうね。本当、「トウモロコシ畑でつかまえて!」って、感じです。それを利用してか、とうもろこし畑の中に迷路(maze)を作って、「メイズ・メイズ」(Maize Maze、とうもろこし迷路)と銘打ち、期間限定の子供用アトラクションをやっている農家や、農耕...

妖精の輪

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じとじととした8月でした。雨が多かった上、気温もいまひとつぱっとせず、袖なしのシャツなどはほとんど着ずに夏が終わりそうな感じです。そのせいか、やたら、最近、外を歩いていて、きのこが目に付くのです。 先日も、歩きに出かけた教会の墓地で、菌輪を目撃。菌輪とは、きのこが輪を描くようにして生えているもの。英語では、妖精たちが輪になって踊った場所から、きのこが生えてくるとして、フェアリー・リング(fairy ring)とか、フェアリー・サークル(fairy circle)などと呼ばれ、日本語の菌輪より、ずっと可憐なイメージです。上の写真のきのこは、フェアリー・リングを形成することが多いと言われる、シバフタケ(学名:Marasmius oreades)、英語では俗にフェアリー・リング・マッシュルーム(fairy ring mushroom)とも称されます。 きのこというのは、地下で育成する菌糸体の、実の部分に当たるもので、菌糸体を含めた全体の10%くらいにしか満たないのだそうです。残りは、道行くものには見えない、芝生の下で他の物から養分を取って生きているわけです。菌子体をりんごの木に例えると、きのこは、りんごの実にあたるという説明を、以前聞いた事があります。 菌は、放射状に成長を進めて行き、きのこが、菌糸体成長の最前線で、輪状に外に現れてお目見えする事となります。きのこの生えている部分の芝生が、枯れてしまっているのは、その下の菌糸体が、土壌の栄養を吸収してしまって、芝へ栄養が回らず、また、菌糸体が、水分を土壌に通さないため。いずれにせよ、外へ外へと、発育場所を移動させるにつれ、輪も大きくなっていくのでしょう。最近、見かけたものは、上の写真の他にも、大体、直径1.5~2メートルくらいの、皆、似通ったサイズでしたが。 カビを含む菌類を指す言葉は、英語ではfungus(ファンガス)、複数形は fungi(ファンガイ、または、ファンジャイ)。一部のファンガスの実にあたるキノコは、英語で、mushroom(マッシュルーム)。時に、toadstool(トードスツール)という言葉も使用されます。「toadstool」は、直訳すると「ヒキガエルの腰掛」と、メルヘン系名前です。一部英和辞典では、「toadstool」を「毒キノコ」として訳しているようですが、マッシュルームが毒...