5月に歩くブルーベルの森
イングリッシュ・ブルーベルの花が、森林の木立の下を青く染めつくす様子ほど、イングランドの5月を髣髴とさせる景色は無いでしょう。ブルーベルのカーペットは、妖精たちが織る・・・などという伝説もうなずけます。日本の桜にあたるものは、この国ではバラかな・・・とは思いますが、非常にイングランドの土地と気候と密接な関係を持つイングリッシュ・ブルーベルも、かなりいい線をいっていると感じます。
通常、4月後半から、こうした青いカーペットにお目にかかれます。そして、一面のブルーベルのただ中を歩く時ほど、この国の夏の到来の予感のうれしさを強く感じる事はありません。ですから、毎年、この季節、そんなわくわく感を味わいたく、必ずどこかへ、ブルーベルを求めて歩きに出かけます。
5月の最初の週末はバンクホリデーウィークエンドと言って、月曜日が休日(バンクホリデー)の連休となります。通常、「バンクホリデーは、雨が降る事が多い」と言われていますが、風温かく、心地よい好天気となったので、ブルーベルを見に、夕方から近くの森に出かけました。連休の最終日の夕刻から夜にかけては、どこへ行っても、比較的、空いている事が多く、穴場の時間帯ですし。
案の定、自然保護地域となっている森の中では、入り口のゲート付近で、愛らしい子犬を連れたおじさん一人と遭遇しただけでした。後は、森とブルーベルをだんなと私で独占。頭上からは、多くの鳥の声が聞こえ、「カッコー、カッコー」も聞こえてきました。至福・・・
イングランド原生のイングリッシュブルーベルの学名はHyacinthoides non-scripta。8000年もの間、他の同様の種と離れたところで生息し、一切の混合無しに咲いてきた、まさに生粋のお花。
最近、この原生のイングリッシュ・ブルーベルの将来の生存が、少々懸念されているのだそうです。理由のひとつは、イギリス内では、ガーデンでの栽培用に導入された、イベリア半島原産のスパニッシュ・ブルーベル(こちらの学名はHyacinthoides hispanica)が、原生のものと交配し、混合種があちこちで幅を利かせてしまい、8000年の生粋イングリッシュ・ブルーベルの歴史をおびやかしているようです。特に、郊外の庭に咲いているものは、大体の場合、スパニッシュ・ブルーベルか、その雑種。うちの庭にも、植えた覚えの無いブルーベルが生えてくるのですが、これは、間違いなくスパニッシュ・ブルーベルとの雑種です。また、イングリッシュ・ブルーベル危機の別の理由は、地球温暖化。気温があがっていくと、更に、ヨーロッパ南部に繁殖してきたスパニッシュ・ブルーベルと、その混合種の方が、イングランド内でサバイバルできる可能性が強くなるのではないかと言われています。
上の写真が、イングリッシュ・ブルーベルのクローズアップ。花の色は、濃い青で、花は茎の一側面のみに咲き、其々の花は、比較的長いベルの形で、やや下向きに、まさに、青い鐘が緑の茎から釣り下がって揺れている感じです。花粉はクリーム色。淡い香りを放ちます。
スパニッシュ・ブルーベルは、色は青と言うより水色に近く、花は、ヒヤシンスのごとく茎の全面につくため、イングリッシュ・ブルーベルのためらいがちにうつむく表情とは違い、しっかり一直線に上に向かって生える傾向が強いです。それぞれの花は、短めで、幅広く、花びらは大きくカールして外側に広がります。香りはほとんど無いそうで、花粉は青。
上の写真は、私がうちの庭で摘んだ雑種のブルーベルたち。この方たちは、スパニッシュ・ブルーベルの特徴の方が強く出ていて、全体的に、イングリッシュ・ブルーベルより、がっしりした感じです。ただし、香りはなかなか良く、花粉もクリーム系のものもあり。綺麗で、持ちの良い切花になるので、雑種であろうと、庭に咲く花としては気に入って、毎年開花を楽しみにしています。
ガーデンセンターでは、イングリッシュ・ブルーベルと称して、スパニッシュのものを売っていたりする事もあるのだそうで、花を良く見て判別して買わないと。やっかいなことに、スパニッシュとの雑種のブルーベルの中には、外観は、イングリッシュ・ブルーベルとほとんど変わらないものもあり、正確に判別するためには、遺伝子テストをしなければわからないケースもあるのだそうです。ですから、イングリッシュ・ブルーベルの種を売る業者は、正式には、この遺伝子テストを執り行う必要があるようです。こうした、遺伝子テストにパスした、正真正銘イングリッシュ・ブルーベルの種を入手し、撒いて、自分の庭の木陰に育てるのも一興でしょうか。
それでも、小さな郊外の庭に置いて眺めるより、自然の中で、鳥の声を聞きながら、群生した花の香りと新緑の香りに鼻をくすぐられながら、そぞろ歩いて眺めるのが、最高のイングリッシュブルーベルの鑑賞方でしょう。森に足を運ぶ者たちだけが楽しめる、昔々から繰り返されてきた風景を。日が沈んだ後、妖精たちが姿を現す・・・そんな事も信じてしまえる風景を。
通常、4月後半から、こうした青いカーペットにお目にかかれます。そして、一面のブルーベルのただ中を歩く時ほど、この国の夏の到来の予感のうれしさを強く感じる事はありません。ですから、毎年、この季節、そんなわくわく感を味わいたく、必ずどこかへ、ブルーベルを求めて歩きに出かけます。
5月の最初の週末はバンクホリデーウィークエンドと言って、月曜日が休日(バンクホリデー)の連休となります。通常、「バンクホリデーは、雨が降る事が多い」と言われていますが、風温かく、心地よい好天気となったので、ブルーベルを見に、夕方から近くの森に出かけました。連休の最終日の夕刻から夜にかけては、どこへ行っても、比較的、空いている事が多く、穴場の時間帯ですし。
案の定、自然保護地域となっている森の中では、入り口のゲート付近で、愛らしい子犬を連れたおじさん一人と遭遇しただけでした。後は、森とブルーベルをだんなと私で独占。頭上からは、多くの鳥の声が聞こえ、「カッコー、カッコー」も聞こえてきました。至福・・・
イングランド原生のイングリッシュブルーベルの学名はHyacinthoides non-scripta。8000年もの間、他の同様の種と離れたところで生息し、一切の混合無しに咲いてきた、まさに生粋のお花。
最近、この原生のイングリッシュ・ブルーベルの将来の生存が、少々懸念されているのだそうです。理由のひとつは、イギリス内では、ガーデンでの栽培用に導入された、イベリア半島原産のスパニッシュ・ブルーベル(こちらの学名はHyacinthoides hispanica)が、原生のものと交配し、混合種があちこちで幅を利かせてしまい、8000年の生粋イングリッシュ・ブルーベルの歴史をおびやかしているようです。特に、郊外の庭に咲いているものは、大体の場合、スパニッシュ・ブルーベルか、その雑種。うちの庭にも、植えた覚えの無いブルーベルが生えてくるのですが、これは、間違いなくスパニッシュ・ブルーベルとの雑種です。また、イングリッシュ・ブルーベル危機の別の理由は、地球温暖化。気温があがっていくと、更に、ヨーロッパ南部に繁殖してきたスパニッシュ・ブルーベルと、その混合種の方が、イングランド内でサバイバルできる可能性が強くなるのではないかと言われています。
上の写真が、イングリッシュ・ブルーベルのクローズアップ。花の色は、濃い青で、花は茎の一側面のみに咲き、其々の花は、比較的長いベルの形で、やや下向きに、まさに、青い鐘が緑の茎から釣り下がって揺れている感じです。花粉はクリーム色。淡い香りを放ちます。
スパニッシュ・ブルーベルは、色は青と言うより水色に近く、花は、ヒヤシンスのごとく茎の全面につくため、イングリッシュ・ブルーベルのためらいがちにうつむく表情とは違い、しっかり一直線に上に向かって生える傾向が強いです。それぞれの花は、短めで、幅広く、花びらは大きくカールして外側に広がります。香りはほとんど無いそうで、花粉は青。
上の写真は、私がうちの庭で摘んだ雑種のブルーベルたち。この方たちは、スパニッシュ・ブルーベルの特徴の方が強く出ていて、全体的に、イングリッシュ・ブルーベルより、がっしりした感じです。ただし、香りはなかなか良く、花粉もクリーム系のものもあり。綺麗で、持ちの良い切花になるので、雑種であろうと、庭に咲く花としては気に入って、毎年開花を楽しみにしています。
ガーデンセンターでは、イングリッシュ・ブルーベルと称して、スパニッシュのものを売っていたりする事もあるのだそうで、花を良く見て判別して買わないと。やっかいなことに、スパニッシュとの雑種のブルーベルの中には、外観は、イングリッシュ・ブルーベルとほとんど変わらないものもあり、正確に判別するためには、遺伝子テストをしなければわからないケースもあるのだそうです。ですから、イングリッシュ・ブルーベルの種を売る業者は、正式には、この遺伝子テストを執り行う必要があるようです。こうした、遺伝子テストにパスした、正真正銘イングリッシュ・ブルーベルの種を入手し、撒いて、自分の庭の木陰に育てるのも一興でしょうか。
それでも、小さな郊外の庭に置いて眺めるより、自然の中で、鳥の声を聞きながら、群生した花の香りと新緑の香りに鼻をくすぐられながら、そぞろ歩いて眺めるのが、最高のイングリッシュブルーベルの鑑賞方でしょう。森に足を運ぶ者たちだけが楽しめる、昔々から繰り返されてきた風景を。日が沈んだ後、妖精たちが姿を現す・・・そんな事も信じてしまえる風景を。
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