チルターンの丘を越え

丘を越え行こうよ
口笛吹きつーつ
空は澄み青空
牧場をさして

なんていう歌がありましたね。子供の時に学校で歌った記憶があります。当時は、丘を越えるハイキングなどほとんどしたことも無く、夏休みの自然とのふれあいといえば、住んでいた団地の周りの林や藪の中で昆虫を集めたりして喜んでいたくらいでした。

寒い春と初夏に悩まされた後、いきなり、2週間ほど前から、雨無しの、イギリスにしては非常に暑い天気が続いており、昨日はロンドンでは30度を越える天気となりました。お年寄りや小さな子供は室内の涼しいところにいるように、地下鉄や電車に乗り込むときは水を持参するように・・・などと色々注意が出され。この暑い天気が始まってから、救急車を呼ぶ人の率も通常より30%上昇。重い荷物をしょい、短時間で丘登りをする訓練中の兵士が2人死亡。熱でレールがぐにゃっとして、鉄道のダイヤが乱れる。寒い間は「なんでこんなに寒いんだ!」と天気の文句を言っていたのに、暑くなったら暑くなったで、色々問題が生じるのですから。お天気はイギリス人の大切な話題のひとつだと言われるわけです。ただし、寒い間、どこぞかに影を潜めていた虫達が、一気に外へ繰り出してきて、それは良いことだと思っています。

さて、この好天気を利用して、再び先週のハイキングに引き続き、チルターン丘陵の別の場所に歩きに出かけました。死亡した兵士達のニュースを聞いたばかりだったので、小さな水ボトルを2本リックにつめ、おつむを直射日光から守るため、ティリーハットをかぶり。

今回は、ロンドンのユーストン駅から北へ向かう電車に乗り込み、約45分。ハートフォードシャー州のトリングという静かなたたずまいの駅で降ります。私の持っているガイドブックによると、ここからのウォークがチルターン丘陵内では一番眺めが良いというので。

ハイキング道のはじめの方で、蝶の自然保護地域を通り抜けたのですが、この季節、本当に数多くの蝶たちがひらひら舞っていました。得に、うちの庭や、周辺では見かけることがほとんど無い、ギンボシヒョウモン(Dark Green Fritillary)が何羽も見れたのがうれしかったですね。カメラを向けようとするとあっという間にどこかへ飛んでいってしまうので、写真は無しですが。ヒョウという名の通り、陽に透けるオレンジの羽に、ヒョウのような黒紋がちりばめられている魅力的な蝶々さんです。

ずんずん丘を登っていくうちに、西側斜面の下のチョークの採掘所が目に入り。

さらには、風車とアイヴィンホー村が見え。

そして進行方向北側に、目的の見晴台、アイヴィンホー・ビーコン(Ivinghoe Beacon)が見えてきます。

人生は山あり谷あり・・・ではないですが、上ったり下りたりしながら、段々見晴台に近づいていき、

着いた!アイヴィンホー・ビーコンは、高さ233メートル。360度のパノラマが楽しめます。しばらく雨が無いので、頂上の草はからから。おじさんが一人、リモコン飛行機遊びをしていました。

ここから東を眺めて目にはいるのが、ダンスタブル・ダウンズの(ダンスタブル丘陵)に刻まれたライオン。これは、斜面の向こう側に、有名なホイップスネイド野生動物園(Whipsnade Zoo)があるからです。

来た道を振り向くとこんな感じ。

本当だったら、この頂上でピクニックランチ・・・といきたいところだったのですが、なにせ、カンカン暑い日で、木陰らしきものもないので、あまり長時間いると、干からびる可能性が・・・。そこで、しばらく斜面に座って景色を楽しみ、水をごぼごぼ飲んだのち、リモコンおじさんを後に残して引き返しました。

帰りは、ずっと森林の中の木陰の道を歩きました。午後のお日様が、かなり強くなってきたので、これは助かります。

やがてたどり着いたのが、ブリッジウォーター・モニュメント。ロンドンシティー内の、ロンドン大火のモニュメントにも似た記念碑ですが、これは、第3代ブリッジウォーター公のための記念碑。この人は、イギリス北西部のブリッジウォーター運河建設責任者だったということ。塔の高さ33メートルで1832年建設。どうやら上まで登れるようですが、この日はしまっていました。

すぐそばには、ティーショップやトイレ、ヴィジターセンターもあり、駐車場もすぐ脇にあるため、かなり沢山の人が集まっていました。私たちも、この辺りの、広々野原の木陰に陣取り、やっと遅いランチ。駅までの残りの道はあとわずかですが。

食後、木立と丘にさよならをして、降り立ったのは、オールドベリー(Aldbury)という可愛い村。トリング駅まで1マイル・・・の道しるべをみて、ちかれたびー、と水をまたごぼごぼっと飲んから、最後の行進。

ララ、歌声あわせよ
足並みそろえよ
今日はゆかーいだー

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