ひとつの時代の終わりに
1997年5月の総選挙。18年続いた、くたびれ果てカビが生えてきたような保守党(トーリー)政権をランドスライド(地すべり的圧勝)で破り、ダウニング・ストリートの住人となったのは、まだ若々しかった労働党(レーバー)のリーダー、アントニー・ブレア。労働階級だけでなく、幅広く、中流の支持も得られるように、ニュー・レーバーと銘打って党改革を行い、イメージも一新させた成果。
選挙の夜は、一人また一人と、トーリーの著名政治家が、レーバーの候補者に敗れていくテレビの実況中継から目が離せず、「明日は仕事なのに・・・」と思いながらも、明け方まで見てしまいました。特に、将来のトーリーの党首と噂されていたマイケル・ポティロが、レーバーのまだ名も無い若者候補者に敗れた瞬間の模様は、今ではポティロ・モーメントと称され、この総選挙の結果中継の中でも、一番記憶に残るトーリーの大敗を代表するシーンです。
明け方の5時頃には、テムズ川の南岸にあるロイヤル・フェスティバル・ホール前で、ブレアの勝利のスピーチ。明けていくロンドンの空を背景に、おおいに盛り上がり、本当に新しい時代が来る、気がしたのでした。1997年の総選挙でのニュー・レーバーのキャンペーンのテーマ曲は「Things can only get better」(全ては良くなるばかり)。
眠い目をこすりながら起き上がり、繰り出した好天の5月のロンドンの町も、心なしか、幸せな雰囲気に包まれ。道行く人の足取りも軽く。この日の仕事帰りには、いつもの新聞スタンドのおじさんから、イブニング・スタンダード(ロンドンの地方紙)を買うと、おじさんから手をきゅっと握られ、「ユー・ルック・ビューティフル・トゥデイ!」何て言われました。「いつもビューティフルよ」と思いながらも、この人もきっとパーティー・ムードに浮かされて、気分良かったのでしょう。
あれから13年。昨夜のニュースの実況放送で、ブレアの後、長年の蔵相の座から、労働党首相の座にのし上がったゴードン・ブラウンのダウニング・ストリートでの辞任スピーチを見ました。そして彼を乗せた車が、女王に辞任を表明すべくバッキンガム宮殿へ。それを見ながら、頭の中で、あの13年前の希望に満ちた5月の日が蘇って、「時が経ったな、ひと時代終わったか・・・」という感慨でいっぱいでした。歴史とは、本で読むだけの昔話だけでなく、自分を乗せて動いているものだ、などとも思いながら。
続いて、今度は、新トーリー首相、デイヴィッド・キャメロンが車でバッキンガム宮殿へ赴き、女王にご挨拶。そして空き家になったばかりのダウニング・ストリート10番入りし、就任スピーチ。彼、御年、なんと43歳。1997年総選挙の際のブレアより、6ヶ月若いということ。
今回の総選挙は当初予想されていた通り、どの党も絶対多数を達せず、新政府は、トーリーが、第3党であるニック・クレッグ率いるレベラル・デモクラッツ党(通称リブデム)を招いての連立内閣(Coalition Government)となることに。この連立内閣というやつは、他のヨーロッパの政治では良くあるようですが、イギリスにおいては、70年ぶりの事。思想的に右よりのトーリーと左よりのリブデム。イデオロギーに違いがありすぎるから、上手くいかないのではないか、などとささやかれています。特に各党内の究極派からは不満の声が聞かれるとか。今のところ、党首の2人はうまがあっている様子ではあります。多額の負債を抱えてよろよろのこの国の将来、なんとか協力して舵とって欲しいものです。デイヴィッド・キャメロンとニック・クレッグの記者会見の模様はこちら。
これからは、全ては良くなるばかり、どころか、悪くなるばかり・・・かもしれません。実験的感のある連立内閣にどこまで出来ることやら。それでも、昨夜のテレビニュースに映された、日没前のロンドンの空の上には、ほのかな虹がかかっていました。多少の希望も捨てずにおこうね、と言っているように。
写真は2枚ともUK Parliamentサイトより拝借しました。
選挙の夜は、一人また一人と、トーリーの著名政治家が、レーバーの候補者に敗れていくテレビの実況中継から目が離せず、「明日は仕事なのに・・・」と思いながらも、明け方まで見てしまいました。特に、将来のトーリーの党首と噂されていたマイケル・ポティロが、レーバーのまだ名も無い若者候補者に敗れた瞬間の模様は、今ではポティロ・モーメントと称され、この総選挙の結果中継の中でも、一番記憶に残るトーリーの大敗を代表するシーンです。
明け方の5時頃には、テムズ川の南岸にあるロイヤル・フェスティバル・ホール前で、ブレアの勝利のスピーチ。明けていくロンドンの空を背景に、おおいに盛り上がり、本当に新しい時代が来る、気がしたのでした。1997年の総選挙でのニュー・レーバーのキャンペーンのテーマ曲は「Things can only get better」(全ては良くなるばかり)。
眠い目をこすりながら起き上がり、繰り出した好天の5月のロンドンの町も、心なしか、幸せな雰囲気に包まれ。道行く人の足取りも軽く。この日の仕事帰りには、いつもの新聞スタンドのおじさんから、イブニング・スタンダード(ロンドンの地方紙)を買うと、おじさんから手をきゅっと握られ、「ユー・ルック・ビューティフル・トゥデイ!」何て言われました。「いつもビューティフルよ」と思いながらも、この人もきっとパーティー・ムードに浮かされて、気分良かったのでしょう。
あれから13年。昨夜のニュースの実況放送で、ブレアの後、長年の蔵相の座から、労働党首相の座にのし上がったゴードン・ブラウンのダウニング・ストリートでの辞任スピーチを見ました。そして彼を乗せた車が、女王に辞任を表明すべくバッキンガム宮殿へ。それを見ながら、頭の中で、あの13年前の希望に満ちた5月の日が蘇って、「時が経ったな、ひと時代終わったか・・・」という感慨でいっぱいでした。歴史とは、本で読むだけの昔話だけでなく、自分を乗せて動いているものだ、などとも思いながら。
続いて、今度は、新トーリー首相、デイヴィッド・キャメロンが車でバッキンガム宮殿へ赴き、女王にご挨拶。そして空き家になったばかりのダウニング・ストリート10番入りし、就任スピーチ。彼、御年、なんと43歳。1997年総選挙の際のブレアより、6ヶ月若いということ。
今回の総選挙は当初予想されていた通り、どの党も絶対多数を達せず、新政府は、トーリーが、第3党であるニック・クレッグ率いるレベラル・デモクラッツ党(通称リブデム)を招いての連立内閣(Coalition Government)となることに。この連立内閣というやつは、他のヨーロッパの政治では良くあるようですが、イギリスにおいては、70年ぶりの事。思想的に右よりのトーリーと左よりのリブデム。イデオロギーに違いがありすぎるから、上手くいかないのではないか、などとささやかれています。特に各党内の究極派からは不満の声が聞かれるとか。今のところ、党首の2人はうまがあっている様子ではあります。多額の負債を抱えてよろよろのこの国の将来、なんとか協力して舵とって欲しいものです。デイヴィッド・キャメロンとニック・クレッグの記者会見の模様はこちら。
これからは、全ては良くなるばかり、どころか、悪くなるばかり・・・かもしれません。実験的感のある連立内閣にどこまで出来ることやら。それでも、昨夜のテレビニュースに映された、日没前のロンドンの空の上には、ほのかな虹がかかっていました。多少の希望も捨てずにおこうね、と言っているように。
写真は2枚ともUK Parliamentサイトより拝借しました。
同年齢で身長もほぼ同じくらいの二人、
返信削除雰囲気まで似て見えます。
日本の政治も混沌としています。
将来はどうなることか‥‥
リブデムは日本の報道では自民党と呼ばれているので、どうしても日本の自民党のイメージと重なってしまいます。左よりなんですね。
こんにちは
返信削除ビッグニュース さっそくキャメロンさんの奥様まで興味がわきます。 若々しい新首相に同い年の副首相ですね。イギリスのことでもワクワク気分がつたわります。大変なのはいずこも同じでしょうが、若さは今、魅力的です。新時代と言えるでしょう。今年はサッカーもあるし、王子様の結婚もあるかもしれないし、楽しい話題を期待しています。
アネモネさん
返信削除2人ともパブリック・スクール(私立校)でオックスブリッジというのも同じ。2人の記者会見は、ゲイのカップルの結婚式みたいで、死(death)が2人を別つまで、でなく負債(debt)が2人を別つまでって誓いがいいんじゃないかという新聞記事もありました。
リブデムは、思想的にはトーリーよりレーバーに近いのでしょうが、レーバーとでは大多数に達しないので、議席数が一番多かったトーリーと結ばれることに。日本の自民とはかなり違う党です。
せつこさん、
返信削除キャメロン、クレッグ両氏、美人奥さんですね。クレッグ氏の方は奥さんはスペイン人で、彼女をくどくためスペイン語をマスターしたという話を聞きました。野党に回ったレーバーのリーダー探しも始まりましたが、こちらも、1番候補者は40代前半。こちらの政治はかなり若返ってます。
ワールドカップそろそろですね。確か今月末、ロンドンで日本対イングランドのフレンドリー試合が予定されていたと思いますが、そちらで放送されるかもしれませんね。