ボタン革命

古いお菓子の缶に、じゃらじゃら溜め込んだボタン、ボタン、ボタン。どこの家庭にもありそうです。最近は、気にも留めることが無い様な平凡な物も、それが発案され、使われ始めた頃は、生活を一気に躍進させる一大改革を引き起こした物だったりもします。平凡なボタンもしかり。 ボタンがヨーロッパに広がって、頻繁に使われるようになったのは、1330年あたりからだ、という事を、最近読んだ中世(14世紀)の暮らしに関する本で目にしました。 ボタン以前、中世の服は、ざっくりとしていて、ずとんとしたシルエット。要するに、上からざぽっと被れるような形の物、または布を巻いただけの様な物。貴族などは、きちっと閉まっているのが好ましい部分、特に腕の周りなどは、服を体にまとった後、一々、ぴっちりと縫い合わせさせたそうで、ご苦労だった事です。 ボタンが広まった後は、ボタンで閉める前開きの上着なども出来、洋服の形も、体にぴったりフィットの物が作れるようになった。それに、何と言っても、わざわざ、着るたびに縫いあわせ、脱ぐたびに、ぶちぶちっと糸を切る必要も無い。 動物界では、孔雀のように、男性がお洒落で派手な事が非常に多いですが、中世のボタン革命の後、よりファッションに力を入れたのは男性のほうだったそうです。広い胸とすっきりしたウェストの逆三角形体形を誇張するためのボディコン、ぴったりフィットの上着が多く見られるようになり・・・そしてその丈は、自分の引き締まった太ももとおしりをさりげなく見せびらかすため、段々と短くなり。ミニスカートの先駆者は男性だったわけです。 そして、ボタンとは関係ないのですが、この頃の男性ファッションでおかしいのは、靴。これは、先が長ければ長いほど、おしゃれだという観念があったようで、とんがり靴の先が段々長くなり、終いには、階段が上れないような長さの物まで登場。当時、満員電車などあったら、つま先の踏み合いで、大変な騒ぎだった事でしょう。先の部分は、ウールなどをつめて形がくずれないようなっていたそうです。 この靴のくだりを読んで、頭にふと浮かんだのは、以前、日本で流行った肩パット。一時は、肩パットついていないブラウスを探すのが大変だったような気がします。着ていて、いつもパットがずれて、着心地悪く、取り払ってしまった事しょっちゅうでした。今から思えば、どうしょうもないファッショ...