浦島花子の日本帰国

3週間ほど、実に8年ぶりに日本へ戻っていました。2010年の夏にだんなが白血病で入院し、病院を出たり入ったりが数年続いていたため、まさかの時のために、この間、イギリスからは、ほとんど出なかった私です。今回は、ここ2年程、わりと調子が良いものの、だんなは家でお留守番。一人で母の住む千葉県内の実家に戻りました。

それは、8年も帰っていなければ、浦島太郎ならぬ浦島花子になるのです。大体、イギリスからの直行便のほとんどが、現在は、私には便利だった成田ではなく、羽田に飛ぶというのも、航空便の予約をいれるまで気が付かなかった。

まず、羽田空港に降り立ち、さて、京急線に乗ろうと思うと、切符販売機の前で数あるボタンを眺めつつ、どれを押して、家までの切符をどう買えばいいかもわからず、茫然とたたずんでしまいました。外人が多く乗り降りするのもあってか、外人お助け係の駅員お兄さんが立っていたので、これ幸いと、この人に「すいません、長い間、帰ってこなかったもので、切符の買い方がよくわからなくて。」とお願い口調で言うと、代わりに、ボタンをちょちょいのちょいと押して、切符を選んでくれました。更に、乗換駅でも、おたおたし、間違った場所から出ようとして、バリアに行く手をふさがれてしまうと、やはり係員さんが駆けだしてきて、丁寧に目的路線の方向までお供してくれました。もう、この段階で、イギリスの見て見ぬふりでいい加減なサービスとは大幅に違う、日本の至れり尽くせりサービスに感動。とりあえずは、無事、母の家にたどり着きました。

その後、2度ほど、切符の購入を手伝ってもらった後、ついにスイカ購入。日本の人は笑うかもしれませんが、これでお出かけはずっと楽になりました。ロンドンの地下鉄、鉄道にもオイスターなる前払いチャージ(英語ではトップ・アップ)制のカードはあるのですが、これはロンドン内だけ。私鉄でも国鉄でも全国どこでも使えるスイカは、ありがたい。

イギリスの鉄道の切符の料金形態は、非常に複雑で、使用する路線はもとより、時間帯により値段も違い。あと、往復切符と片道切符の値段がほとんど変わらない、という妙な事情もありますので、片道を、行と帰りで別に買うと、往復を最初から買うより、損をすることになります。今回も、私の住む町の駅からロンドンのヒースロー空港までの30日間有効往復切符を購入しておきました。スイカのようなカードでどこでもかしこでも行ければ、本当に便利なのですが。あと、日本では、降りる駅の改札を出る前に、その地までのちゃんとした切符を持っていない場合や、スイカでのチャージが足りない場合は、清算ができるのも便利ですね。イギリスでは、目的地までの切符をしっかり持っていないと、出口で、「なんで、ここまでの切符持っていないんじゃ。ずるしようとしたな?罰金じゃ。」とばかりに、罰金を取られるのです。人間はずるするもの、と疑ってかかるのがイギリス風?

以前、だんなと二人で日本を旅行した際は、JRパスという、JR乗り放題切符を買って、遠出などもしたのです。最後に二人で日本に行った2010年の3月は、これで北海道まで行き、スキーをしてきたのでした。今回はそんなお得なJRパスも買わず。イギリスに住む日本人の旧友が、「近くの私鉄なんかで、色々巡って歩くのも楽しいかもよ。」などと言うのを、確かに、それも、ありかと思い。ですから、今回は、近場、千葉の船橋市内で育った私は、千葉県内で行った事のない穴場巡りをすることに。灯台下暗しで、それなりの発見がありました。東京内は上野を含む下町方面を主に散策。一番の遠出で鎌倉。

助けた亀につれられて
切符販売機の前で立ち往生した浦島花子も、スイカを片手にすーいすい。スマホを持たないながら、ネットで得た情報と、観光案内などでもらった地図で、地元発見旅行の日々を楽しみ。竜宮城ではないですが、梅雨時とはいえ、久しぶりの日本の、イギリスとは違う美しさを堪能してきました。

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