待雪草を求めて

去年の秋から、資格コースを受講はじめて以来、日本語でブログをゆっくり書く時間が、少なくなっています。自分のちょっとした体験をそのまま日記風に書く場合はともかく、何かを調べて、それをまとめて書き、その後、間違いはないか、読みやすいか、などと色々校正を入れていると、たかがブログとは言え、結構時間がかかるものです。5月には3つの試験を控え、覚えることも増えていき、時間もそうですが、心の余裕も無くなってきている昨今、ふと見ると、前回最後の記事は1月のはじめ・・・。

久しぶりに学生に戻って勉強ばかりしていると、気分転換となる戸外でのハイキングは必要で、これは寒い中でも泥道を行進してやっています。先々週末は、この季節、待雪草(スノードロップ)の群生が見事だという自然保護庭園が、スノードロップ・デイと称して開園になっていたので、見に行ってきました。最寄駅から、広々した景色の中を歩いて1時間と、良い運動にもなりましたし。

一般的な待雪草の学名は、Galanthus nivalis(ガランサス・二ヴァリス)で、ガランサスは「ミルク色をした花」を意味し、二ヴァリスは「雪のような」の意味。要するに、「白いのだ!」という事を強調したい名前です。待雪草に関する伝説と、イギリス原生でないこの植物が、導入された背景などを、以前「スノードロップが咲きだして」というブログ・ポストで一度書いたので、下に抜粋しておきます。

スノードロップは、伝説によると、アダムとイブが楽園を追放された後、楽園の外には咲く花とて何も無く、雪が降っていた。悲嘆にくれて泣いているイブを、天使がなぐさめようと、手のひらに落ちた雪に息を吹きかけ、その雪が地上に落ちると、白い花に姿を変えた。そして、そのスノードロップの花と共に希望が生まれたと。そこから来たのでしょうか、スノードロップの花言葉は、希望と慰め。まだうら寒い日が続き、冬が続くように思われる中、冷たい地面を押して咲き始めるスノードロップの姿には、確かにほっとされるものがあります。

イギリス原生の野の花のイメージがあるものの、実際、イギリスにやって来たのは、16世紀。当初は、大陸ヨーロッパから、庭で育てる花として導入されます。この庭用のスノードロップたちが、やがて、庭の塀の外に飛び出し、18世紀には野生化したものがイギリスの森林に姿を現し始めるのです。非常に交配しやすい花であるため、ちらっと見ると皆同じでも、それぞれ、花びらの紋や、形が、微妙に違っていたりすると言います。

この自然保護庭園は、コンスタブル・カントリーを流れる川として知られるスタワー川沿いにあり、待雪草の咲く丘の下に、スタワーがくねって、ここより上流のサドベリー方面から流れている姿が眺められました。

待雪草のカーペットが見られるのは、庭園内の一部のみですが、かなり密集していて、それなりのインパクトはありました。ちょっと離れると、森林の中に残っている雪のようにも見え。庭園の他の部分も歩き回りました。池があり、まだ夏を待つバラ園があり。

ちょっと変わった姿の茶色の胸をしたアヒルもおり。このアヒルさんは、当自然保護地のロゴにも使われています。

入場料の5ポンドには、スープとソーセージロールのスナックが含まれているというので、散策の後、入り口の小屋に入り、ちょっと一服。「一つだけ取ってね。」と出されたソーセージロールは、ホントに小さく、一口で終わりのような感じでしたが、まあ、気は心で、無いよりはいいかと言ったところ。帰りの道を歩く前の、ちょっとしたエネルギー補給。

行と同じ道を駅に引き返す途中、丸い塔のあるぱっと見お城のような教会のあたりで後ろを振り返ると、なんだか、空が暗くなってきた・・・。

案の定、途中で、雪ならぬ雹が降り始めたのです。庭園からずっと、先を歩いていた人たちに追いつくと、「あなたたちも、あの庭園から歩いてきてたでしょ。思いがけない天気になっちゃたわね。」車社会ですから、どこでも車で行く人が多い中、長距離ハイカーは、お互いに、ちょっとした同胞意識がわくのです。道がだんだん、雹で白くなっていく様子をみながら、あのスノードロップのカーペットの上に、この雹が積もっていく様子も見たかったなと、ちらっと思いました。

待雪草という名よりも、待春草という名がふさわしいようなスノードロップ。雹に降られ、ぬかるみに足をとられながらも、春の訪れを予言してくれる白い顔を見て、心は明るくなったハイキングでした。

コメント

  1. こんにちは。先週までイギリスに行っており、純白のスノードロップが咲く姿を見たかったのですが、幾つか選んで行ったカントリーサイドでは見られず、今年は寒かったから、未だこれからなのかな?と思ってしまいました。残念!来年の課題ですね。 次に咲く花はブルーベルでしょうか?

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    1. スノードロップは、スタワー川沿いではよく咲いています。先週末も、ゲインズバラが頻繁にスケッチや絵を描いていたサドベリー西部で、庭園内でもないのに、道端に一面に咲いているのを見かけました。時に、墓地などでも咲いているのを見かける花です。

      次のお花見ははダファデル(水仙)ですね。これは、ロンドン内の公園でも沢山見れる事でしょう。ホランド・パークのダファデルに覆われた一部の敷地がとても綺麗だったのを覚えています。

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