好きか嫌いかマーマイト

先日読んだ新聞記事に、こんな一節がありました。

ホルマリン漬けにした鮫の展示物で有名な、英芸術家のダミアン・ハーストに関する記事で、
「彼のファンですら、ハーストは芸術界のマーマイト(artistic marmite)だと認めるであろう。人は彼を大好きか、大嫌いかのどちらかである(You either love him or hate him)。」

マーマイトは、こちらでトーストなどにぬって食べる、いわゆるスプレッドです。

少々、くせのある臭いと味で、好き派と嫌い派の意見が真っ二つに分かれやすい食べ物なので、You either love it or hate it(大好きか、大嫌いかのどっちかね)というキャッチフレーズで知られます。ですから、上の様な新聞記事にも引用されるわけです。

以前、マーマイトのテレビ・コマーシャルで、こんなのがあったのを記憶します。
・・・室内のソファーでいちゃつく若いカップル。ちゅっと、キスしたとたん、男性がいきなり立ち上がり、「おえっ」と言いながら、洗面所へ駆けて行く。ソファーに残された女性の口元には、黒いものが少しべとっとついていた。そして、キッチンのテーブルのクローズ・アップ。皿の上には、マーマイトのぬられたトーストの食べかけが・・・。
要するに、彼女は、マーマイトが大好きで、彼氏が来る前に、マーマイト付きトーストを食べていたのが、彼氏は、彼女の口元に少量残ったものも絶えられないほど、マーマイトが嫌いでありました、というオチ。

また、納豆などと同じように、外人が嫌う食べ物としての地位(?)も確立しているようです。トーストにべちょっとのばされたその様子は、コールタールがのたっとひきのばされた様で、確かに、食欲がそそる光景ではありません。

私は、ダミアン・ハーストだ~い嫌いですが、マーマイトは、特に大好きでも大嫌いでもなく、普通です。しょっぱいものが食べたいな、と思う時、ちょこっとトーストやライビータにぬって食べます。イーストや野菜エキスを含み、ビタミンBが豊富な健康食なので、一応、常時、戸棚に備えて、切れないようにはしてあります。

ちなみにマーマイト(Marmite)の元の意味は、瓶のレベルの絵にあるように、フランス語で、「料理用の鍋」の事。

こちらの写真は、ヴァレンタイン・デイ用のシャンペン入りマーマイト。普通のものと味はさほど違わなかった気がしました。シャンペンが入っていると、言われなければ気がつかなかったでしょう。それにしても、ヴァレンタイン・デイに、マーマイトもらってうれしい人もいるのでしょうか。

そういえば、先日、マーマイト入りのチーズというのを売っていたのを見かけました。トーストの上に、チーズとマーマイトを一緒にのせれば同じことなので、わざわざ買いませんでしたが。

イギリスからの日本へのお土産に、紅茶ばかりではワンパタなので、マーマイトを買っていくのも良いかもしれません。「こんな不味いもの買ってきて!」と後で文句を言われるかもしれませんが。

コメント

  1. マーマイト好きの人にダミアン・ハーストは好きかと訊いてみました。
    「好きでも嫌いでもないけれど、アーティストの役割のひとつは注目されることだから彼は仕事を果たしているのではないか」という意見でした。近くにマーマイトを売っていないので、代わりにオリーブオイルと海苔の佃煮をトーストに塗って出したら結構好評でした。

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  2. ダミアン・ハーストもそうですが、トレーシー・エミンあたりは、もっと嫌です。この国の税金高くて嫌だからフランスに行きたいなんて言ってるそうです、彼女。どこへなりとも消えてくださいという感じですが、フランスが気の毒。

    オリーブオイルと海苔の佃煮トーストの方が、マーマイトより、最初に食べるときに、勇気がいりそう・・・。マーマイトは、あの臭いが嫌という人、わりといるようです。

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