勝利のために掘れ!
イギリスが現在の様なガーデニング大国になった過程の歴史を、先日、テレビで見ました。
これは、政府が戦時中、一般家庭で庭や公共の地を耕して、食料となる野菜栽培を奨励した際のスローガン。貧しい中、国内の生産で何とか食べていけるようにと、庶民にシャベルを取る様呼びかけたわけです。
また、調理用に剥いたジャガイモ等の皮は、バケツなどに貯め、家の前に出して置くと、豚等の家畜の飼料用に回収されている映像も見せていました。
戦後も、しばらくは、週末の娯楽とてたいした物も無く、家で、庭や植物の手入れにせいを出す人が増えたそうです。勝利のために掘れ、で経験を積んでいたのもありますし。当時は、まだガーデン・センターなども無く、また、貧しかったでしょうから、大方、植物は種から育て。
ガーデン・センターというのは、車の普及と共に、アメリカから導入したアイデアなのだそうで。まあ、考えてみれば、植物のスーパー・マーケットですから。これを機に、すでに大きく育ったり、開花している植物を購入するのも通常となり。
すでに育っているものを買うのは、種から植物が育っていくのを見守る神秘の感覚が、ガーデニングからなくなる、などと言う人もいるようですが、便利ではあります。特に冬の後、一気に庭を明るくしたい時は。
いわゆる、DIYショップなどでも、必ずガーデンコーナーがあります。庭付きの家には、一家に一台無くてはならない芝刈り機も、大体DIYショップから。
きれいに刈り込んである緑の芝生は家の主の誇り?夏の週末の夕方などに、ブイーンと音を立てて、男性が前庭を芝刈り機を押して行ったり来たりしている姿には、イギリスの郊外を感じます。NHKのラジオ英会話などでも、聞き始めて最初の頃に習ったフレーズにありました、
mow the lawn 芝を刈る
今も役に立っています。お天気の良い日に、長くなりすぎた芝を眺めて、だんなに、
Would you mow the lawn today?
今日、芝刈ってくれる?
Gardeners’ Worldは、BBCの長寿園芸番組です。始まって以来、当然、プレゼンターも何人か変わり、時の流れで、トレンドも変わり。
以前は、害虫駆除に、平気で化学薬品をがんがん使うようなプレゼンターもいたそうですが、最近はもっぱらエコ路線。蜂や蝶の昆虫や、小鳥が来るような庭、自家製コンポスト作り、環境に悪いとされるピートを使用したコンポストをあまり使わなくする事、雨水やグレーウォーターと呼ばれる風呂の残り湯の様な物の使用の推奨をよくやってます。
この番組も毎回見ているわけではないですが、前回のプレゼンターのモンティ・ドン氏の時は、しょっちゅうチャンネルを合わせてました。インテリ風でありながら、がっしりした木こりのいでたちの彼が、ざくざく土を掘る姿に、惚れ惚れ、という単純な理由と、彼のオーガニックへ入れる熱意が好きだったので。やはり女性に人気だったという話ですね。彼は、以前ラジオインタヴューで、うつ病に悩んでいた時、ガーデニングに助けられた、様な事を言っていました。
イギリスで一番有名なガーデナーは、おそらくアラン・ティッチマッシ氏。彼は、1996~2003年までのガーデナーズ・ワールドのプレゼンターで、キューガーデン付属園芸学校出身。最近でも、チェルシー・フラワー・ショーなどの園芸イベントのプレゼンターやその他番組にも出演しています。以前、お隣さんにしたい人ナンバー1にも輝いていたと思います。理由は「園芸のアドバイスをもらえそう」というちゃっかりしたものでした。まあ、人が良さそうな感じなのもあるのでしょうが。
庭いじりしていると、思わずハミングしているのは、ガーデナーズ・ワールドのテーマ曲、なんていうことも良くあります。
景気が悪く、外出も控えるようになると、再び、国民のガーデン熱は燃え上がるでしょうか。そのうち、勝利のためより、生存のため、野菜などを庭で育てる人も増えてくるとか。
Dig for Survival!そして、何より、
Dig for Pleasure!喜びのために掘れ!
(写真は一番上から順に、ハイド・パーク、セント・ジェームズ・パーク、リージェンツ・パークの花壇)
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