セント・マイケルズ・マウントはイギリス版モン・サンミッシェル
満ち潮のときは離れ小島、夕暮れの引き潮時には、近くの海岸と地続きになる・・・そんな小さな島というと、フランス、ノルマンディーのモン・サン・ミッシェルを思い出しますが、イギリスにもあるのです。名前もそのまま、モン・サン・ミッシェルを英語にした、セント・マイケルズ・マウント(St Michael's Mount)。イギリスは南西に位置するコーンウォール州、ベンザンスから程近いマラジオン沖。名の由来は、5世紀に、地元の漁師が、聖ミカエル(セント・マイケル)を見たことからきていると言われています。
ロンドンから電車で辿り着いた港町、ペンザンスに滞在した際、バスでマラジオンへ行き、そのままボートで辿り着きました。
ボートから降りると、ごつごつとした花崗岩の坂を、えっちらおっちら、城が聳え立つ頂上を仰ぎながら登ります。時に立ち止まって、バスクリン色の緑がかった海を眺め。
建物は全て、島と同じ花崗岩で築かれており、12世紀から19世紀の間、時代と共に、増築、改造されています。その用途も、小修道院、城砦、巡礼の地、最後には貴族の館として現在にいたっています。
ここでさくさくっと島の歴史を見てみると・・・。
11世紀のノルマン人征服の後、この地は、やはり聖ミカエルのお告げにより建てられたとされるモン・サン・ミッシェルのベネディクト派の修道院へ寄与されます。
15世紀、フランスとの百年戦争真っ只中、ヘンリー5世は、この地をフランスの坊さんから取り上げ、のちに、ロンドン近郊の修道女達に与えられます。
そして、16世紀、ローマ法王との仲違いの末、イギリス国教会を設立したヘンリー8世の修道院解散に伴い、国が没収。エリザベス朝には、スペインの無敵艦隊の接近を見張る砦としても活躍。
17世紀、イギリス内戦の後は、クロムウェルの議会派であったセントオービン(St Aubyn)家の手に渡り、未だにこの家の末裔が城に住んでいると言う事。管理はナショナル・トラストです。
行ったからにはやはり、引き潮を見てみたいと、城の見物の後は、ちょっと南国風のガーデンをのんびり歩き回り、夕暮れを待ちます。
ほのかに赤く染まり始めた風景の中で、昼間は水にぷかぷかしていた船も、潮が引いた後は、陸におしりを座らせておりました。
海底から現れた石敷きの道を辿り、振り返り、振り返り、マラジオンへ戻りました。岸へ戻ってからも、とっぷり暮れるまで、ぼーっと景色を眺めていました。
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