ロビンソン・クルーソー

ダニエル・デフォー(Daniel Defoe)の小説「ロビンソン・クルーソー(Robinson Crusoe)」の名が、最近読んだ2冊の本(The Kit-Cat Club月長石)に出てきました。

ロビンソン・クルーソーと言えば、「無人島」くらいは知っていたものの、考えてみたら、実際に読んだことは一度も無かったので、図書館から借りて、さくさくっと読んでみました。

読んで意外だったのが、クルーソーが無人島に到着する前のいきさつ。ざっと書くと・・・

*****

まず、クルーソーは、アフリカへ渡り、モロッコで、ムーア人に捕まり、白人奴隷として2年間仕える。その後逃げ出し、ポルトガル船の船長に助けられる。このポルトガル船は、ブラジルへ渡る途中だったので、クルーソーはそのまま、ブラジルへ。

ブラジルで土地を手に入れた彼は、タバコのプランテーションを経営し、数年で裕福になる。プランテーションを拡大すると人手がいる、ここは黒人の奴隷でも欲しいところ、でも・・・
小説の設定の時代では、中南米での黒人奴隷の売買は、スペインとポルトガル王国に支配されていた為、一般プランテーション経営者が個人的に黒人奴隷を購入しようにも、その数は少なく、金額が高かった。そこで、数人のプランテーション経営者が集まり資金を出し合い、直接アフリカに赴き、奴隷を連れて帰り、自分達の間でその奴隷を分けようと計画。クルーソーは、アフリカにいた経験から、その航海に随行するよう頼まれる。そして、この船が、オリノコ川沖で難破し、一人だけ助かったクルーソーが無人島に流される・・・。

書かれたのが1718年で、物語の設定は17世紀半ばですから、奴隷の売買や使用など、まだタブー視する向きも無く、罪悪感なども全く無かった時代ではあるのでしょう。

クルーソーは、スペインの、中南米原住民に対する取り扱いのむごさを非難していますが、イギリスも、後、黒人奴隷に対して酷いことをするわけなので、あまり、えらそうな事を言えた身分では無いのです。

また、両親の言うことを聞かず、船乗りになり外へ飛び出したクルーソーが、無人島で、徐々に、教会や聖職者という媒体を通さず、自ら神の愛に目覚めていくという、宗教色も結構あります。デフォー自身が、イギリス国教会に必ずしも賛同しない非国教徒のプロテスタントであったという事実が背景にあるようです。

子供向きの番組や、アニメにする時などは、こういった奴隷の話や宗教の話などは飛ばして、ボーイスカウト的な冒険、サバイバルの部分が中心でしょうね、やっぱり。

クルーソーは、難破船から、道具や銃、火薬、板、その他もろもろを救い出してくるのですが、彼が、難破船の残骸の中、唯一、役に立たないと感じるものが・・・お金。

取引相手が無く、金銭が価値を持たない状況で、個人の最大の幸福を実現するにはどうするか、という経済観は、ロビンソン・クルーソー・エコノミーなどと呼ばれます。ロビンソン・クルーソー・エコノミーにおける投資は、後に年を取った時のため、可能なうちに、生活がスムーズに運ぶような物を作り、環境を整える事。

クルーソーの無人島でのサバイバルは、合計28年2ヶ月と19日。その間、住処を作り改善し、家具を作り、ヤギを飼い、小麦や米を育て、と、段々、居心地が良いような環境を完成していきます。やがては、島は自分の王国で、自分は王様、住処はお城と思えるほどに。

それから、忘れてはならないのは、フライデー。
近くの島の原住民達は、時折、クルーソーの無人島にやって来ては、何と、捕まえた争いの敵を、むしゃむしゃと浜で食べるという習慣があった!ある日、こうして食べられそうになっていたところを、クルーソーに助け出されるのがフライデー。この名は、出会ったのが金曜日であったので、クルーソーがつけたもの。相棒、いやクルーソーの忠実な召使となり、暮らしを共に始めます。クルーソーは、彼に英語を教え、キリスト教を教え。無人島を去る際も、一緒に連れて行きます。

この小説から取った「man Fraiday」と言う表現は、今でも、「自分の右腕、忠実なアシスタント」などを指すのに使われます。

以前思っていた様な「子供の本」・・・では無いです、これは。

コメント

  1. 私の記憶ではフライデーはオウムだったような?
    子供の本ではそうなっていたのかどうか。
    奥が深い話だったのですね。

    返信削除
  2. らぶらぶ2009/10/27 8:20:00

    なんか恐いようなストーリーだったんですね~
    私もフライデーはオウムのような気が・・・・

    返信削除
  3. アネモネさん、らぶさん、
    子供用バージョンだと、人食い人種の話はまずいと、フライデーをオウムに変身させたのでしょうか。人間なのですが。
    主人が子供の頃見ていた1960年代に作られたロビンソン・クルーソーのテレビ番組で、フライデーを助ける巻のビデオをUチューブで見つけましたので、リンク下まで。
    http://www.youtube.com/watch?v=QIvgjQHlX1A&feature=related

    返信削除
  4. 私が子供頃読んだ本では、フライデーは黒人でロビンソンの忠実な名使いとして描かれていた記憶が、、。
    それにフランダースの犬の少年も最後は死んでました。私の娘達の頃には死なないことに変わってましたがね。(恋)

    返信削除
  5. 原作のフライデーは、黒までいかぬ、茶色のお肌でしょうか。オウムよりは、原作に近いですが。召使になるのも、同じです。
    フランダースの犬の少年死なないと、話しにならない気もしますが。子供をそこまで動揺させないようにするのも、いい事なのか、悪いことなのか。

    返信削除

コメントを投稿