イギリスの港ハリッジから大陸ヨーロッパへ

ロンドン・リバプールストリート駅から電車で約1時間45分。

ハリッジ(Harwich、発音はハリッチとも聞こえます、ハーウィッチなどと日本語で書いてあるものにも行き当たりますが)は、北海に面した歴史ある港町。一大観光名所ではないですが、幾つかの興味深い建物があります。ハリッジ・タウン駅で下車し、中心地は、足で簡単に回れます。

駅を出て直ぐに迎えてくれるのが、上の写真の銭湯の煙突のように見えなくもないレンガの灯台(High Lighthouse、高灯台)。1818年に作られ、灯台としてのお役目は1862年で終わっているので、早期引退です。現在は何故か、ラジオとテレビ博物館となっているそうです。

High Lighthouseとペアで一緒に働いたのが、可愛らしい海辺の灯台(Law Lighthouse、低灯台)。現在は、海軍の歴史博物館となっています。ラジオ・テレビ博物館よりは、うなづけます。

この灯台は、17世紀後半にこの場に建てられた木製の灯台を、1818年に作りなおしたもの。以前の木製の灯台は、画家ジョン・コンスタブルが、キャンバスに描いています。

Low Lighthouseのそばに立つこちらは、1667年から1927年にかけて使われた木製のクレーン(Treadwheel Crane)。この手のクレーンでは、英国に残る唯一のもの。

ハーフペニー・ヴィジター・センター(Ha'penny Pier Visitor Centre)は、1854年に建てられた大陸へ行くフェリーの切符売り場と待合室。何だか、小さな田舎の村の駅舎みたいです。現在は、ヴィジターセンターと共に、ハリッジ関係の展示場として働いています。

桟橋。ここから昔はフェリーに乗って大陸ヨーロッパへ旅立ったのでしょうか。以前は、この倍の長さだったそうですが、1927年に焼失。

桟橋のむかいのホテル、ちょっと粋です。お茶しに入れば良かったか・・・。

ハリッジは、また、ピルグリムファーザーズを乗せて新大陸へとむかったメイフラワー号のキャプテンでもあった、クリストファー・ジョーンズの生誕地でもあります。彼の住んだ家の前も通りました。これが、わりと小さかったんですけどね。船乗りの家なんて、そんなものでしょうか。ちなみに、クリストファー・ジョーンズは、新大陸には留まらず、イギリスへ戻っています。

この町、海関係のものばかりかと思いきや、このシネマ(The Electric Palace Cinema)が、また由緒あるものでした。1911年築、映画放映の目的で建てられたイギリスで最古のシネマのひとつで、現在も映画をかけています。ちょいと、アール・デコ風。

シネマの切符売り場と入り口も、ペンキ塗りたてのように、良く手入れされています。入り口の上に書かれた、「入場料、1シリング」などというのも、そのままに。

この他、町の教会を覗き、1808年にナポレオンの侵略に備えて建てられた大砲の守る円形の砦(Harwich Redoubt Fort)の回りを歩き。現地、約2時間で、観光を済ませました。

こういう港町、夏に来ないと、色々な博物館などが閉まっている、というのはあります。砦も、残念ながら、閉まっており中に入れなかったし。ただ、観光客なども、他におらず、静かな町を独り占め、という贅沢ではありました。海の脇を歩くと、風はかなり冷たかったですが。まあ、夏にでもいつか、また、訪れてみましょう。


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ハリッジと言うと、オランダのHook of Hollandへのフェリーが出ている事で知られています。現在、大陸行きのフェリーへ乗るには、ロンドンからの電車では、終点のハリッジ・タウンのひとつ手前、ハリッジ・インターナショナルで降りる必要があります。

オランダまで、フェリーで約8時間。船旅は、時間がかかるのです。値段がそう違わず、イギリスから車を持ってオランダに渡りたい、などと思わなければ、私は、やっぱり飛行機で・・・という事になってしまいます。

コメント

  1. 船旅、8時間は長いですね。
    海が荒れると辛いでしょうし・・・。
    日本のフェリー(北海道から本州)にも
    ずいぶん豪華なのがあるらしいのですが、
    試してみてはいません。私にとって一番長い船旅は大昔の青函連絡船です。

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  2. ドーバーとフランスのカレー間のフェリーは、1時間半くらいで行くのですが。まあ、ドーバー海峡は、泳いで渡る人もいるくらいだから。

    青函トンネルは、北海道に行くのに電車で、入りました。海底トンネルというのも不思議な気分ですね。

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