セント・オールバンズ大聖堂

セント・オールバン(Saint Alban:聖オールバン)はイギリス最初の、殉教したキリスト教の聖人。

ローマ支配下にあった時代のイギリスで、当時はヴァルラミウム(Verulamium)と呼ばれたローマの駐屯地に住んでいた彼。もとは異教徒であったのが、糾弾されていたキリスト教の聖職者を自宅にかくまい、彼自身もキリスト教に改宗。聖職者を逮捕に来たローマ兵達に、自分が、聖職者のマントを着て身代わりとなり、逮捕拘束され、後、町の小高い丘の上で斬首刑。彼の死刑の時期は、3世紀前、3世紀中ごろ、または4世紀初頭などと色々説がありますが、はっきりわかっていません。

ヴァルラミウムの現在の名は、この聖人にちなんでセント・オールバンズ(St Albans)。彼が死刑にあったとされる場所にそそり立つセント・オールバンズ大聖堂(St Albans Cathedral)はなかなか威厳あります。

セント・オールバンズは、ロンドン、セント・パンクラス駅から、電車でほんの20分なので、ロンドンからのお気軽日帰り観光が簡単にできます。どんな歴史的町でも、駅周辺はいまひとつ魅力が無いというのは良くありますが、セント・オールバンズ・シティ駅周辺もそう。古い市街中心まで、えっちら10~15分ほど歩き。

大聖堂は、広々緑で、ガチョウたちが泳ぐ池などもある公園、ヴァルラミウム・パークの北端にあります。

サクソン時代から修道院のあったこの地に、ノーマン人が本格的修道院を建てたのは11世紀。時代を経て、幾つかの改修が加えられ。更に、ヘンリー8世の修道院の解散の為、破壊された部分もあり。それがまた、後、幾つか、修復され。

大聖堂や教会などは、大体において、過去の色々な時代のパッチワークの感じです。建築に詳しいと、「この部分はxx時代のものじゃ」と見ただけでわかり、教会、聖堂めぐりも、もっと楽しいのでしょうが。

これは、ノーマン時代のネーブ(身廊)で、英国内で現存する中世のネーブで一番長いものだそう。

支柱に描かれた絵は、13~14世紀のもの。

このスクリーンは、15世紀後半のもの。彫像は、修道院解散により破壊されたため、ヴィクトリア朝の作り直し。

ヘンリー8世も、お騒がせの王様です。この人がいなかったら、イギリスにも、フランスの様に、もっと沢山古い修道院がそのままの形で残っていたでしょうに。

14世紀のセント・オルバン廟(Shrine of St Alban)は、やはり1539年の修道院解散の際、破壊されたのを修復したもの。

大聖堂の正門前に立つ修道院門(Abbey Gateway)は14世紀のもの。修道院解散後の破壊をまぬがれ生き残り、今は、私立学校の一部です。行儀の良さそうな坊ちゃん達が、辺りを歩いていました。

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大聖堂を見終わってから、ヴェルラミウム・パークをぶらぶら歩き。ここは、ローマ時代の町の中心があったエリア。

公園内には、ローマ時代の街壁の遺跡がわずかに残り。(上の写真は、手前の壁の廃墟の一部から、後景の大聖堂をのぞむ。)

やはり公園内のローマ時代の館の廃墟では、床下温暖システムのあるモザイクの床なども見れます。この頃から、セントラルヒーティングとは、ローマ人、進んでます。

公園は、今はすっかり、散歩にもってこいの、市民の憩いの場です。私も、ベンチに座って、ここでピクニック・ランチしました。

コメント

  1. 壮大な建築物。
    なんて美しく、高い天井でしょう。
    暖房はどうしているのでしょうか。
    あるとしても、これだけ天井が高いと効果は?とよけいなことを考えてしまいます。

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  2. 冬は寒いでしょうね。暖房は、やっぱり上に行っちゃうでしょうから。ローマ人の屋敷風の、床下暖房が、教会にもあるといいんですが。

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