ダニエル・デフォーとさらし台
写真は、ピロリー pillory と呼ばれる昔のさらし台。
罪人は、こうやって首と手首を拘束され、公共の場に数日立たされ、それを眺める群集から、野次を飛ばされ、腐った野菜や物を投げつけられ。野菜くらいならまだ良いけれども、石などを投げらる場合もあったようで、酷い時には、重症を負うものや、死人も出たりしたそうです。群集の愚行は怖いのです。
著名人で、このさらし台の経験者は、「ロビンソン・クルーソー」作家のダニエル・デフォー(Daniel Defoe)。1703年に、3日間連続で、ロンドンのテンプル・バーにてさらし者に。
彼の罪は、保守的トーリー党と、イギリス国教会をおちょくった政治パンフレット、The Shortest-Way with the Dissenters 「非国教徒の手っ取り早い処分方法」を書いた事。
ここで言う、非国教徒(Dissenters)はイギリス国教会に組しない、他のプロテスタントを指します。当パンフレットは、「非国教徒は、色々な法を通じて縛るくらいなら、皆殺しにするのが一番」、の様な内容。デフォー自身も非国教徒であったという話なので、トーリーである事を装って書かれたこのパンフレットは皮肉をこめたもの。怒ったトーリー党に、治安を乱す扇動文書を書いたとして、逮捕され、投獄後、さらし台へ。
ただ、デフォーは、支持者達に守られて、無事この3日間を傷を負うこともなく終えます。一説によると、人々は、野菜や石ではなく、デフォーには花を投げ、彼の健康を祝して乾杯したなどと伝えられています。
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さらし台には、他にストック stocks と呼ばれる、地べたに座って、足首を拘束されるものがあります。
このストックを復活させて、強盗などを行った人物は牢屋に送る前に、数日、さらしておけばいい、などと時に思ったりします。ただし、さすがに怪我を負わせてはまずいので、群集が投げていいものは、トマトなどのやわらかい野菜に限るとして。後は、皆で、指を刺して笑いものにする・・・そうしたら、犯罪減るでしょうか。
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