大英博物館

先日、久しぶりに、大英博物館(ブリティッシュ・ミュージアム)の中に入ってきました。ロゼッタ・ストーン、エルギン・マーブルズ、エジプトのミイラ・・・内部の有名展示物を、いちいち数え上げていてもきりがありませんので、今日は、ざっと、博物館と建物の歴史を書いてみることにします。

大英博物館の設立は、18世紀中ごろに遡ります。そのきっかけとなったのは、上の彫刻の人物、ハンス・スローン(Hans Sloane)。彼は、アン女王、ジョージ1世、ジョージ2世に仕えた著名な医師であり、アイザック・ニュートンの後を継いで、イギリスの科学学会である王立協会(ロイヤル・ソサイエティー)の会長ともなった人物。彼は、今は、瀟洒な高級住宅地としても知られるロンドンのチェルシーにあった荘園を購入し、その土地は、現チェルシー・フィジック・ガーデン(チェルシー薬草園)の基となっています。このため、「スローン・スクエア」を初め、チェルシー周辺には、彼の名が由来の土地名が点在します。

さて、ハンス・スローンは、その他に、精力的な収集家としても知られ、彼が収集した本、写本、動植物等の標本、鉱物、コインやメダル、版画、デッサン等を含む骨董品の数々、あわせて7万1千点が、彼の死後、彼の子孫が、2万ポンドを受ける事を条件に、ジョージ2世に寄与され、1753年、このコレクションを母体として大英博物館設立の法が通ります。放置状態であった17世紀の貴族の館、モンタギュー・ハウスが博物館用に購入され、1759年1月より、内部は一般公開となります。この頃から、知識欲のある一般庶民のため、と入場料は無料。2つの世界大戦の最中を除けば、以来、その門を閉じた事がありません。

基になったスローンのコレクション内の、多くを占めた動植物、鉱物標本等は、後に、ロンドン自然史博物館へと移動されます。

大英博物館のコレクションは徐々に拡大していき、1823年に、ジョージ4世が、父であるジョージ3世の図書館(キングス・ライブラリー)の本、6万冊を国に寄贈した際に、ついに、モンタギュー・ハウスは手狭となり、同地に、ロバート・スマーク設計による、古代ギリシャの影響を受けた現博物館の建物の建設が開始されます。この完成は、1852年。

上の写真は、ロバート・スマーク設計による現館内で、一番最初に完成された棟にあるキングス・ライブラリー。オリジナルのジョージ3世の本のコレクションは、現在では、セント・パンクロス駅周辺にある、ブリティッシュ・ライブラリー(大英図書館)に移されています。

明るい広々としたスペースである、上の写真のグレート・コートは、ロンドン市庁舎や、ガーキンの設計でも知られるノーマン・フォスター設計によるもので、2000年にオープン。私が、初めて来た時は、これは、まだ無かったのです。こちらも、以前貯蔵されていた本のコレクションが、ブリティッシュ・ライブラリーに移った事から、館内の空いたスペースを利用して、新しく設計されたものです。歩き回ってくたびれたら、このグレート・コートにあるカフェで一服。

こういう博物館では、膨大なるコレクションを次から次へと闇雲に見て歩くと、後で、一体全体、何を見たのやら記憶も朦朧となる可能性があります。ある程度、目的を絞って、絶対見たいもの、時間があまったら見たいもの、など頭にリストを作ってから、入るのが良いのでしょうね。また、事前に、見たいものに関する文献を読んでおくと、じーっと見る事に専念できて、効率的かもしれません。私も、最近、行くときは、「今日は、xxだけは絶対見よう」という感じで足を運び、後で、時間と体力に余裕があったら、のんびりと歩き回り、興味を引いた物をそぞろに眺めるのが常です。

大英博物館公式サイト

コメント

  1. こんばんは
    大英博物館は無料だと聞いた事があります。いいですね。ぜひ訪ねたいです。まずロゼッタストーンでしょうか?それとエルギンマーブルも見たいです。きっと下調べしていかないと時間がたりませんよね。いつかイギリスに行きたいので、名所旧跡も教えてください。でも、田舎が美しいんですよね。

    返信削除
  2. ロゼッタ・ストーン、エルギンマーブルズ等の大型目玉展示品は、見逃す事は、まず無いと思います。無料なので、見逃しても、後で引き返して、もう一度入ることも容易にできますし。田舎もいいですが、ヨーロッパに比べ、イギリスの田舎が特に綺麗かというと疑問もあります。

    返信削除

コメントを投稿