サンタ・サングレ

映画にサーカスのシーンが出てくると聞くと、見たくなってしまうタイプです。鮮やかな色と非日常性に惹かれるのでしょうか。サーカス団が常に場所を移動するということからくる、何とは無い寂しさなどもあるかもしれません。

この映画、「サンタ・サングレ、聖なる血」は、究極の非日常でした。通っていた英語学校のクラスメートのスペイン人の女の子と一緒に、確かノッティング・ヒルの映画館まで見に行った懐かしい映画でもあります。見ている最中、大笑いしたり、ぎょえっと叫んだり、はっと息を呑んだり、喜怒哀楽が手に取るようにわかった彼女の素直な反応も、「面白かったねー」と言いながら、2人で映画館から出た事も、良く覚えています。

舞台はメキシコ。ナイフ投げの父の経営するサーカスで育った、主人公のフェニックス。とある町で興行中、浮気した父に食って掛かった母の両腕を、父はナイフで切り落とす!(ぎょえ!)その後、父は、のどを切り自殺。(どひゃ!)これを目撃してしまったフェニックスは、精神に異常をきたす。(そりゃそうでしょう・・・。)

精神病院で大人になったフェニックスを、ある日、腕の無い母が迎えに来る。その日からフェニックスは、二人羽織よろしく、母の腕代わりとなって生活を始める。

すっかりフェニックスの心をコントロールする母は、フェニックスに近づく女性を全て「殺せ」と命じ、フェニックスは次々と殺人を犯す。ヒッチコックのサイコも真っ青の殺人シーン。加えて、このお母さんの狂ったような目つきと笑い声が、不気味。

サーカス時代、フェニックスが恋していた、おしでつんぼの少女、アルマは、そんなフェニックスを探し出し、救おうとする。「ずっと待っていたんだ。」とアルマを抱きしめるフェニックスに、母は、「殺せ」と叫ぶ・・・。

シュールな物語と、展開の意外性、血が沢山出てくるにもかかわらず、詩的な映像で、忘れられない映画となりました。アレハンドロ・ホドロフスキー監督のびっくりするような想像力に拍手。フェニックス役は監督の息子だそうです。

母の手となって舞台でパフォーマンスをするシーンのUチューブのクリップは、こちらまで。

原題:Santa Sangre
監督:Alejandro Jodorowsky
製作:1989年
言語:英語

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