メイソン・キャッシュのミキシング・ボール

ネクタリンが安かったので山ほど買い込みました。果物入れとして、居間に置いて使っているメイソン・キャッシュ(Mason Cash)のミキシング・ボールに、どんと積み上げ、見ていても綺麗です。

メイソン・キャッシュは、19世紀初頭に、ダービシャー州のチャーチ・グレスレイ(Church Gresley)に設立された、陶磁器、主にキッチンウェアの老舗。特に、この、薄い黄土色をし、独特のパターンのついたミキシング・ボール(mixisng bowl)で有名なブランドです。色は、もともとは、地元の土の自然色だったということ。用途はケーキやプディングの材料を混ぜるためのボールですが、私は、ここのところ、ずっと、こうやってフルーツ・ボール代わりに使っています。

うちのミキシング・ボールは、義理の両親宅からそのまま受け継いだものです。ボールの底には、Mason Cash, Made in England, Church Gresley の文字が刻まれていますので、この頃は、まだ、チャーチ・グレスレイで作られていたわけです。だんなは、子供の時に、お母さんが、これを使ってケーキの材料を混ぜ、それを型に入れた後、ボールを洗う前に手渡してもらって、抱えこみながら、ボールにまだ残ってこびりついた材料を指でこそげとって食べるのが好きだったという事を時々、なつかしそうに喋っています。

現在でも、全く同じ形とパターンの物が販売されていますが、何せ、長い事、形が変わらず作られてきたものですので、時代設定が古い映画などにも、キッチンの場面で、時々登場します。例えば、1900年のイギリスが舞台の映画「The Go-Between」(恋)でも、召使達が働く台所の場面に出てきたのを覚えています。しかも、この映画では、主人公の男の子レオが、キッチンに入り、召使の一人から、ミキシング・ボールを渡されて、中の材料の残りを、木べらで、すくって食べるという、うちのだんながやっていた事と同じような事をしているので、非常に記憶に残っているのです。

また、昔の台所を再現した博物館などでも、見かけたりします。上の写真の左の机の上にのっているのも、このメイソン・キャッシュのボールです。

メイソン・キャッシュの物で、やはり長い間、形を変えずに使われ続けているものに、上のプディング型(pudding basin)があります。こちらも、やはり、義理の両親の家からの物がひとつあり、ふちが少し欠けてはいるものの、毎年、クリスマス・プディングを蒸すのに使う他にも、色々重宝しています。

ふちの周りが植木鉢のように、下の部分より少し出っ張っているので、上から布やペーパーなどをかけて、それを紐で縛る際に、紐が滑らないのです。イギリスの王室のクリスマス・プディングも、いまだに、これを使って作られているという話ですが。

さて、キッチンウェアはともかく、こんなにあるネクタリン・・・どうしてくれよう。小さめにきざんで、ミキサーに、ヨーグルトとはちみつと共に入れて、混ぜて、ヨーグルト・ドリンクとしてごくごく飲むのも良いです。また、このミックスしたものを、容器に入れて、冷凍庫へ入れると、美味しいシャーベットにもなり。フルーツ沢山の毎日は、夏の魅力のひとつなのです。

コメント

  1. こんにちは
    連日の猛暑、つまり35度以上の日が続いています。お盆も終わって、仕事にもどらねばなりません。きついです。粉ものが料理が多いと、ボールはしっかり丈夫で使いやすいものになりますよね。色がいいですね。イギリスの陶器といのも伝統工芸として今に引き継がれているのですね。私は益子焼など好きです。ネクタリン おいしそう。

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  2. 一度形が決まって、それが使いやすいと、わざわざ、それを変える必要もない、というのはあるかもしれません。

    本日は、約21度。ネクタリン美味しいです。

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  3. はじめまして。Mason Cashを調べていて、こちらにたどり着きました。イギリスの伝統的な日用品を集めています。物に歴史ありですよね。このブログの写真の「昔の台所を再現した博物館」はどこでしょうか?訪ねてみたいと思いますので教えてください。

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  4. 上の写真は、たしか、Harrow Museum の建物の内部で取ったものだったと思います。
    http://www.harrow.gov.uk/info/1017/local_museums/934/harrow_museum/1
    ただ、上記博物館は、展示物は数少なく、それだけを目的に行くと、かなりがっかりされるかもしれません。

    わざわざ足をむけられるのなら、ナショナル・トラスト等で管理している、昔の貴族の館の台所でも、何度かメイソン・キャッシュは見た記憶がありますし、古い日用品をそれはたくさん集めて展示してある、ヨークにあるキャッスル・ミュージアム(Castle Museum)あたりへ行かれた方が、価値があると思います。

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