ソマリアから来たイギリスのスポーツ・ヒーロー

来夏のロンドン・オリンピックで、ジャマイカの走者達を、この目で見たかったので、オリンピックのチケットが売り出しになった際に、私も申し込みしました。が、競争率の高い人気の種目は、くじ引き制。やっぱり、外れてしまいました。ちぇ!まあ、無理だとは思ったんですが。知り合いで、オリンピック人気種目のチケットを入手できたという人は、一人もいません!知り合いの知り合いすら、当たった話は聞きません。一人、何枚でも、何競技でも申し込めるシステムだったので、懐深い金持ちが、幾つもの競技に、何枚も、片っ端から申し込みをし、人気種目チケットは、皆、そういう人達へ行ってしまったという話です。要は、全部当たってしまったら総額1万ポンド払わなければならない、などという申し込みの仕方をした人たちが、一人で何枚も色々な競技のチケットをゲットし、2,3種目の競技に、其々少ない数のチケットを細々と申し込んだ一般庶民は、一枚も当たらずに終わる・・・というケースが多かったようです。オリンピック開催側は、金持ちが何枚ものチケットを得るに至った、このチケット購買システムに関して、非難を受けていました。

モー・ファラーは、ソマリア出身。母国での政情が危なくなり、父親がイギリスで生まれ育っていたため、8歳でイギリスへ移住。英語はほとんど喋れない状態で渡英し、西ロンドンの、あまりがらの良くない場所に住み、学校では、成績もいまひとつ。放校処分の話まであり、そのままだったら、道を踏み外していたかも。それを救ってくれたのが、学校の体育の先生だったそうです。サッかーが好きだったモーの、足の速さに着目して、陸上に専念させた先生。モーはこの後、参加する色々な競技で好成績をおさめはじめる。貧しいモーの家族に変わって、親代わりになった様なこの先生は、自分の働く学校が変わると、モーも自分の行く学校にに転校させ、生活面でも、それは良く面倒を見ていたようです。長距離走者で、現世界女子マラソン記録保持者のポーラ・ラドクリフも、長年に渡り、彼に経済的援助をしていたという話。良い先生と、陸上仲間に支えられて、手に入れた世界チャンピョンのタイトル。彼には、なんでも、ソマリアにふたごの兄弟の片割れがいるのだそうですが、親や親族の話になると、彼は口をつぐむのだそうです。結婚式でも、体育の先生がベストマンで、親族は出席しなかったというのですから、まさに、遠くの親戚より近くの他人・・・に育てられた人。
環境が良くないところに生まれ育った子供に、早期に、夢中になれる事、生きがいを与えるのは、大切です。彼だって、この先生に会っていなかったら、先月の暴動に参加するようなチンピラになって生涯を終えていたかも。ソマリア出身でイギリスへ移住してテロリストになってしまった人物だっていました。多少難アリのイギリスの教育システムが助け得ないような人物を、チンピラ人生から、チャンピョン人生への軌道へ乗せた先生は立派。そして、その期待に答えて、連日トレーニングを積んだ彼も、「あんた、ようやった。」という感じです。陸上競技の祭典、最終日の今日、イギリスにとっては、気分の良くなる金メダルニュースでした。

モー・ファラーの生い立ちに関する、インデペンダント紙の参考記事はこちらまで。
写真はすべてBBCサイトより拝借しました。
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追記(2013年8月19日)
この記事を書いてから2年が過ぎました。昨日、再びジャマイカが、男女とも、4x100メートル国別リレーで金を取り、終了したモスクワでの世界陸上選手権。
モー・ファラーは、去年のロンドン・オリンピックに続き、5000メートル、10000メートルともダブルで金を獲得。すでに、イギリスで過去最も偉大な陸上選手だ、などと言われ始め、そのうち、マラソンにも挑戦するという話ですが、さて、どうなりますか。今回の競技での10000メートルの前のインタヴューで、「見ている方は、はじめのうちは後方を走っているから、どうなるのかと、心配になるけれど・・・」とのインタヴュー側の言葉に、モー・ファラーは、「心配しないで、始まったら、紅茶でも作って、ゴールちょっと前になったら、またテレビの前に座ってみるといいよ。」のような答えでした。まさに、計画通りの走りとなった感じでした。私も、彼の言った通り、紅茶のマグカップかかえて、後半だけ観戦しました。
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