イギリスでのパネトーネ人気

20世紀初頭のイタリアはミラノで生まれたお菓子パネトーネ(panettone)。時間をかけて発酵させ、ふくれあがった、ドライフルーツ入りの巨大ブリオッシュの様なこのお菓子は、クリスマス時期に良く食べられるものです。

イギリスのクリスマス時期の伝統的スウィーツというと、クリスマス・プディングもクリスマスケーキも、ドライフルーツがたっぷり入り、色が比較的濃く、重いものが多いのです。当然、レシピによって、小麦粉に比べ、ドライフルーツの含有量が多ければ多いほど、色はどす黒くなっていくわけですが。クリスマスケーキは、その重く黒っぽい物体の上に、更に、分厚い白のアイシングで覆われている事が多く、お腹にドーンとくる上、かなり甘いのです。日本人の感覚から、ふわふわのスポンジに生クリームが挟まって、イチゴでトッピング・・・の様なものを想像するとトンでもハップン。こういったものを食べるとき、私は、大体、2,3杯の紅茶で流し込むこととなるのです。そのどっしり感は、殺人の凶器に使えるのではないかと思うくらい。投打されて死亡した男性の死体、凶器は見つからない・・・凶器は、実は、1年前の固くなったイギリスのクリスマス・ケーキであった、そして犯人は殺人を犯した後、証拠を消すため、ケーキを食べてしまったのだ、なんていう筋の犯罪物でも書けそうな気がします。

最近のクリスマス時期、このイギリスの伝統のお菓子たちの他に、イタリアのパネトーネが段々と人気を博してきているという話です。特に、ちょっと洒落たギフトや、パーティーに呼ばれて持っていくものなどに、購入する人が増えているのだとか。新聞や雑誌などでも、各社のパネトーネの味比べリストなどという記事が組まれているのも目にし。高級デパートや食料品店の高めのものも出回っていますが、勢いに乗って、イギリス中に支店を増やしているドイツ系スーパーの、リドル(Lidl)やアルディー(Aldi)が、よく、大陸ヨーロッパの食料品も販売しており、お手ごろ価格のパネトーネもクリスマス期には必ず売っているのも、パネトーネ人気の一般化を手伝っているのかもしれません。(それにしても、ドイツ・・・製造業のみならず、イギリスが得意とするはずの販売業まで、イギリスのスーパーを負かす勢いです。)

ということで、このトレンドを反映するように、うちのだんなも、先週、友人から、大きなパネトーネをひとつもらって帰ってきました。私は、イギリス風お菓子より、断然軽い、パネトーネの方が好きなので、万々歳。これなら、何個もらっても嬉しい。

今回もらったパネトーネは、ロンドンのあちこちにチェーン店があるイタリア料理レストランのカルッチオのもの。カルッチオは、特に高級でもなく気軽に入れるレストランとあって、友達にひとり、外食となると、カルッチオばかり入りたがる人がいるので、私も何度か足を運んでいます。レストラン業の他に、9月から12月には、パネトーネも作って販売しているのだそうで。

スライスすると、中はふわふわ。表面にはうっすらと、へーゼルナッツ味のアイシングが、かかっています。主な材料を見ると、小麦、卵の黄身、バター、砂糖、イースト、バニラエッセンスなどの他に、キャンディード・ピールとレーズン。美味しいです。おやつに食べてもいいし、軽くトーストして朝食にしてもいいし。だんなは、「一応はフルーツケーキなんだろうけど、ドライフルーツの量が少ないし、軽すぎる。」とイギリス風菓子の方がお好みなので、もらったパネトーネは、味見程度で一口でいいと。好みは人それぞれとはこの事。おかげさまで、残りは、私1人で、毎日、少しずつ、食べることとします。

コメント