コクガンの群れ

友達夫婦と連れ立って、北海に面したエセックス州の河口の村の周辺を歩いてきました。村のパブの、暖炉際のテーブルでランチをした後の腹ごなしに。

片側に平坦な農地と、片側に満潮の河口の水面を眺めながら歩いていると、頭上を群れをなした鳥達が飛んで行き、内陸部に着陸。

望遠鏡を覗き込むと、頭が黒い雁。1群れが飛んできたと思うと、また別の群れが飛んできて、かなりの数です。

皆、ほぼ同じ場所に着陸し、一大集会を繰り広げています。これはおそらく小麦畑の真っ只中。まだ雑草の様な若い小麦の葉が生えていて、雁たちはこの頭をちょんちょんつついて食べたりするのでしょう。近くには、農家の人間が仕掛けたであろう、銃の様な大きな音が出る機械が置いてあり、時折、ボーン、ボーンと音をたてていました。内部にガスが溜まって音を出す、バンガロー(bangalore)という鳥を脅かすためのマシンです。農地を歩いていると、時々耳にする音ですが、雁たちは、慣れっこの感じで、怖がるどころか、効果は全くなく、飛び立つものは一羽もいませんでした。

後で家に帰ってから、写真に取ったものをクローズアップして図鑑で調べると、英語でBrent Goose(ブレント・グース)、日本語ではコクガン(黒雁)と呼ばれるものでした。

コクガンという日本名の通り、全体的に黒色。英語のブレント・グースという名は、昔の北欧の言葉に由来するそうで、ブレントは「焦げた、焼けた」を意味したそうです。要は、「焦げたように黒い雁」。

成長した鳥は、首の周りに白の縞が一本。下腹が白っぽい色です。上の絵は、イギリスの野鳥保護協会(RSPB)のサイトのもの。夏の間は、ツンドラ地方で生殖し、10月から3月ころまでを、こうした、イギリスの東や南海岸の河口で過ごす渡り鳥だという事。

世界に存在するコクガンの2%もが、こうしたエセックス州の海岸線で冬越しをするそうです。生まれて3ヶ月の若い鳥もはるばる飛んでくるというので、たいしたものです。この場所よりちょっと北に行ったところには、自然保護地域などもあり、そこではコクガンが好んで食べる草なども育てているようです。

ところで、日本語で、このタイプの水鳥は、雁、がちょう、カモ、アヒルなど、色々な呼び方があり、少々ややこしいのですが、違いは、雁を家畜化したものが、がちょう。そして、かもを家畜化したものがあひるであるようです。英語では、雁もがちょうもグース(goose、複数形はギース geese)、カモとアヒルはダック(duck)と、野生と家畜で区別はありません。グースは一般に、ダックより大型で、七面鳥が人気となる前は、クリスマスディナーの主役でした。グースは、育てるのに、広い場所が必要なようで、最近では、値段的に七面鳥の方が安い、というのもあり、クリスマスの七面鳥人気は続きそうです。うちは、味が淡白な七面鳥より、グースやダックの方が好きですが、今年のクリスマスディナーは、チキンとなりました。

どこもかしこも、いまのところ暖冬の感じですが、雁たちも、今年は妙にあったかいな、と気づいているでしょうか。

散歩を開始した教会の敷地内では、2015年が終わる前に、すでにスノードロップが咲いていました。

コメント

  1. 明けましておめでとうございます。今年もミニさんの記事を楽しみにしています。

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