眠られぬ夜のために

昔から、寝つきの悪い子供でした・・・と前回の記事にも書きましたが、年とともに、寝つきの悪さと、眠りの浅さがひどくなっている感じです。まじめ人間の私に比べ、ずーっと脳天気な母親も、過去30年ほど、不眠症に悩まされ、時に睡眠薬のお世話になっている人。こういうのも、遺伝と言うのはあるのでしょうか。もっとも、不眠症の人間というのは非常に多いらしく、眠れないばかりに、体の調子をこわす人などもかなりいるというのですから、困ったものです。

更には、「眠らなきゃ」と焦れば焦るほど、それがストレスとなり、益々眠れなくなるのです。あがけばあがくほど、沈んでいく、蟻地獄のよう。定かではありませんが、サミュエル・ベケットによる戯曲、「ゴドーを待ちながら」の中に、深く考えないようにしようと、「考えない、考えない、考えない、考えない」とおまじないの様に自分に言い聞かせながら、「ああ!まだ、考えちゃいけないという事を考えてる~!」という台詞があったような記憶があります。この心境は、痛いほどわかります。「眠らなきゃ」のプレッシャーが、快眠には、かなり悪いことであるから、眠るためには、あまり「眠らなきゃ」と思わんようにしようとすると、「眠らなきゃ、と思っちゃいかん」と必死になっている自分に気づき、ストレスは、逆に、二乗、三乗になって行くのです。

そんなこんなで、先月は、あまりにも眠れないことが多く、睡眠時間1時間以下・・・のような日が2日ほど続いて、日中もゾンビ状態と化していました。

ビアトリクス・ポター作の「フロプシーの子供たち」(The Tale of Flopsy Bunnies)の話によると、レタスは眠りに誘う成分が入っているとかで、レタスをたらふく食べた、フロプシーの子うさぎ達は、上の挿絵の様にバク睡状態に陥るのです。この子うさぎ達の、寝ている様子が、あまりに気持ち良さそうなので、わらにもすがる気持ちで、寝る前にレタスをぼりぼり食べたり、レタス・スープを作って飲んだりしてみましたが、人間の私には、あまり効き目はなく・・・。最近、テレビで、マグネシウムのサプリが快眠にいい、などとやっていましたが、これはまだ試していません。寝る前に飲まないほうがいいのは、当然カフェイン類とアルコール。ここのところ、コーヒーはもちろん、紅茶は6時以降は、手をつけるのをやめました。夜に炭水化物や糖分の多いものをどっぷり食べるのも良くないらしいので、夕食は、たんぱく質と、じゃがいも以外の野菜中心の食事で穀物は少な目がよいそうです。他にも、睡眠に良いとされている飲食物は、バナナ、カモマイルティーなど。あからさまな効果は無くても、悪くはないだろうと、色々試しています。

毎朝、首がこりこりしているのもあり、今使っている枕、良くないんじゃないかい、とは、常々思っていたところですので、これを機に、枕も変えることとしました。日本風のそば殻枕が最高のような事を読み、さっそく、このそば殻枕をヨガのグッズを扱う会社から注文したのです。昔、祖母の家にそば殻枕があったのを覚えていますが、耳元でさくさくと軽い音が鳴るのが、心地よいというのはあります。そのせいだけでは無いでしょうが、新しい枕を使い始めてから、さすがに睡眠1時間の状態からは脱出しました。眠るときは、きちんと仰向けに行儀良く寝るのがいいのかと思っていたら、自然に寝返りをうてる事は必要なのだそうで、あまりにも高すぎたり、低すぎたり、固すぎたりする、寝返りがうちにくい枕というのは、よろしくないのだそうです。それでも、寝てから、幾度か夜中に目を覚ましてしまうのですよね、いまだに。寝たら、朝まで目覚めない・・・という体験を久しぶりにしてみたいものです。

扁桃腺摘出手術をしてから、しばらく、日中あまり体を動かしていなかったというのも良くなかったのかもしれません。もっとも、寝る直前に、急激な運動をすると、脳が興奮してしまうらしく、寝る前は、簡単なストレッチと深呼吸くらいが良いそうです。ヨガのポーズとかも、いいんでしょうね。お風呂は、寝る直前に入らず、1時間前くらいに入って、体がすこし冷めてきてから床に入ったほうが寝やすいということ。直前に入るなら、少々、ぬるめのお湯にして。とにかく脳を興奮させないように、リラックスムードに持ち込むように努力・・・おっと、この努力という言葉自体に、力みが入っていて、良くないですな・・・。リラックスムードに自然に脳と体をゆだねましょう・・・と、この方がいいか。ラベンダーの香りがリラックスムードにしてくれる、という話を聞いて、ラベンダーのエッセンシャルオイルを、枕に1滴たらしたりもしています。

逆に起床の時は、脳をしゃっきりさせて、「朝じゃ、行動の時間じゃ」と切り替えさせる事が大切という事です。だから、日本の朝のラジオ体操なぞは、きっといいのでしょう。そして、お日様を朝一で浴びること。思えば、小学校の夏休みなどは、すぐ近くの公園で、子供ラジオ体操があり、早起きして、参加すると、カードに出席したというスタンプを押してもらえ、それが楽しみで、毎日行っていましたっけ。単純なものです、子供なんて。もっとも、最近の子供達は、常に、友達からのメッセージが入っていないかと、スマホをチェックし、枕元に、スマホを置いて寝て、夜中にもチェックしたりするため、慢性の睡眠不足に陥っているというニュースも聞きます。最近の子供は、妙な同世代からのプレッシャーがあります、気の毒に。子供の時から、そんな不眠症では、おじさん、おばさんになった時に、大変な事になるかもしれません。

さて、今回のタイトル、「眠られぬ夜のために」というのは、スイスの哲学者、カール・ヒルティー(Carl Hilty1833-1909年)著の本の題名でもあります。私は、本屋で見たこの題名に惹かれて、高校生の時に買って読んだのですが、内容は、はっきり言って、ほぼ全部、頭から飛んでしまっています。短い随筆が、一日単位で読めるようになっている、キリスト教に基づいた、生き方に関する考察のような本であったと記憶します。唯一覚えているこの本からの引用は、なぜか、「突きぬけよ」というフレーズ。大変な事があった時に、それを「突きぬけよ」、とかそんな感じで出てきたと思います。他の多くの本と同様、大人になってから読むと、また一味違って、得るものもあるかもしれません。本当に、眠れなかったら、無理やり、あがいて眠ろうとするよりは、起き上がって、本を読んでみる、というのも手でしょうか。枕元には、スマホではなく、「眠られる夜のために」でも置いて。どうせ眠れないなら、なにか、ちょっと有意義なことに時間を使った方がいいかも、というのはありますし。また、そうしているうちに、自分から眠りを求めなくても、眠りが向こうからやってきてくれる事を期待して。

コメント

  1. はじめまして。
    いつもブログを楽しみに拝見しています。
    ちょうど私も不眠症で悩んでいるので、
    すごく気持ちの描写が的確だと思います。
    焦れど焦れど眠れないっていうことになりますよね。最近は不眠症はいかがですか?

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    1. 青不動さん、コメントをありがとうございます。
      これを書いた後に、クエン酸マグネシウムの錠剤(吸収が普通のマグネシウム剤よりも早いのだそうです)を、寝る前に取ると良いという事を幾度か見聞きしたので、試しに始め、多少改善しています。寝る前に400mg取る、という事ですが、こちらの人より体が小さいので、最初は、300mg(100mg錠剤を3個)取って寝ていました。眠りに落ちる習慣がついてきた最近は、これも、1錠だけ取るなどという事もし、一切取らない日もあります、今の瓶が空になったら、そろそろやめようと思っています。人によっては、クエン酸マグネシウムは胃腸を壊すなどの副作用もあるようで、サプリでも長期に大量使用するのは、あまり好ましくないという話もありますし。私は、試して良かったとは思っています。あと、そば殻枕は、やはり買ってよかった・・・。お互いに、自然に寝れるパターンが得られればいいですね。

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    2. こちらこそ、ありがとうございます。
      クエン酸マグネシウムというのは調べましたら下剤に用いられるようです。
      私は不眠症になってから半年くらいなんですけれど医者からね眠剤もらってもなかなか改善しません。体内時計に狂いがあるようですけれど、これまた改善には時間がかかるようで。何だかずっと時差ぼけのような感じです。いちばんは自然に任せて焦らないことが肝要なことかと。確かに不眠症の人は世界中に沢山いるみたいですので。日本人は五人に一人は不眠症という統計データもあるので。スッキリ熟睡したいですよね。

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    3. 下剤ですか~。マグネシウムは、睡眠を誘うのにいいらしいですが、クエン酸のものが、体に吸収されるのが早いというので、私はこれを近くのヘルスショップで購入した次第です。こちらの家庭医ではマグネシウムを取るよう勧める人もいるようですので、次回お医者さんに行かれる時に、マグネシウムのサプリを取るのはどんなものか、ちょいと聞かれてみてもいいかもしれません。一度、寝られるようになると、変な話ですが、焦らずとも眠れるという自信(?)がついてきて、助けなしでも、普通に眠れるようになるのでしょうが、そこにたどり着くのが大変ですよね。

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    4. たびたびありがとうございます。
      クエン酸マグネシウムに関しては医者に聞いてみます。眠剤に関しても色々と試しているんですけれどなかなか効果があがりません。焦らずと思いながら焦ってしまいますね。これぞ不眠症だと思います。焦らず、のんびりと向き合うことができるといちばん良いのですが。

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    5. 早く改善することを願っています。

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    6. お久しぶりです!不眠症のコメントしてから随分たちましたが、最近は寝つきはよくなったんですけれど、所謂、早期覚醒(笑)です!イギリスはブレグジットのニュースが毎日のように日本でも報道されてますが、結局どのような結果に落ち着くんでしょうか?

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    7. 本当にお久しぶりですね。寝つきが良くなったとのこと、何よりです。早起きはいい事ですよ。私も、最近は睡眠状態多少向上しています。

      一体どういう形でブレグジットとなるのか、いまだに、不明。誰も知らない、というやつです。イギリスに来てから、これだけひどい政治状態と政府、首相を見るのは初めてです。大体、こんな複雑な事を国民投票にかけるのが間違っていたのですが。どうなるんでしょうね、この国。

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    8. 早速の返信ありがとうございます!まだ日本はけっこう寒くて(笑)イギリスはヨーロッパと結局はどのように付き合っていくかの立ち位置が確かに難しいんですよね。日本は無能であるがゆえにお神輿に担がれているだけの首相が長年居座っているので(笑)こちらも問題なんですが。

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