鵜と埠頭、そして魚市場
川沿い、海岸沿いを散歩していて、時折、鵜(cormorant)を見かけます。羽を広げて、乾かしているポーズは良く見るもの。また、羽を閉じ首を伸ばして彫像のように動かない時もあり。コールタールをぬりつけたような黒いぺったりとした外見は、鳥と爬虫類の中間の印象。
群れを成して巣を作る習性があるとかで、海岸の崖の上などに巣を作る他、木にも大挙して巣を作る事もあり、結果、木を枯らしてしまう事も多々あるようです。そうした、枯れた木の枝にとまっている鵜も見かけます。それなりに風情はありますが、少々不気味な気配も漂わせ。
多数の鵜が巣を作ることから木々に大被害が出、また、多くの魚を取ることから漁師との利害が生じ、殺して数のコントロールをしているというような内容の、カナダの地方紙の記事を読んだ事もあります。最近のイギリスでは、鵜の数の抑制の話は聞いたことがないので、騒ぐほどの被害ではないのでしょう。
鵜は、田舎のみではなく、かもめほど数は多くないものの、テムズ川でも見かけます。一度、波にゆらゆら揺られていると思ったら、潜水し、何かを捕まえて浮上、その捕まえたものを、うがうがと飲み込んでいるのを見て、現在のテムズにも餌になるような魚がいるのかと、改めて感心しました。
先日は、テムズ南岸にあるショッピング・アーケイドのヘイズ・ギャレリア(Hay's Galleria)を背景に、たむろしている鵜が数羽いたので、しばし立ち止まって眺めていました。(上写真。)
HMSベルファスト停泊場に程近い、このヘイズ・ギャレリア内には、幾つかのカフェやお店があります。店自体は、ロンドン内どこにでもありそうなものばかりで、取り立ててショッピングの場として面白いスポットではありませんが、中央に飾られた、変な顔をした船の彫刻が人気で、観光客が良く写真を撮っているのを見かけます。昔は、ヘイズ・ワーフ(Hay's Warf、ヘイズ埠頭)と呼ばれたこの辺り、紅茶を初め多くの海外からの輸出品が陸揚げされていた場所でもあり、イメージはやはり、海と船。私は、雨が降っても平気なので、待ち合わせなどに使ったりもする場所です。
テムズで魚を取ったのは鵜ばかりでは無く、当然人間様もで、ヘイズ・ギャレリア対岸やや西よりに、一時は世界最大の魚市場でもあった旧ビリングスゲイト魚市場(Old Billingsgate Fish Market)の建物が残っています。(上の写真)当建物が建設されたのは、1875年。現ビリングスゲイト魚市場は、1982年に、ここより東のカナリー・ワーフに移動したため、旧市場の建物は、現在はイベントのヴェニューとして使われています。屋根についている魚のモチーフや、風見鶏ならぬ風見魚に、オリジナルの目的を今でも見ることができます。
この地は、旧ビリングスゲイト魚市場の建物が出来る前、すでに16世紀辺りから、魚市場として盛んな場所であり、1666年に起こったロンドン大火の火災発生地にも近く、もし火事の起こった日が日曜日でなければ、早朝から働いていた魚市場の労働者たちが、消火活動に駆けつけ、火災も、あそこまで広がらなかったのでは、という話も聞いたことがあります。
歴史で、「もし」を言い出せば切りが無いですが。それに、「もし」火災が無かったら、今のロンドンの風景は、かなり違うものになっていたかもしれませんし。
私が、過去のロンドンに想いをはせている間も、鵜はポーズを変えずにずっと同じところに座っていました。それこそ風見鶏さながらに。
群れを成して巣を作る習性があるとかで、海岸の崖の上などに巣を作る他、木にも大挙して巣を作る事もあり、結果、木を枯らしてしまう事も多々あるようです。そうした、枯れた木の枝にとまっている鵜も見かけます。それなりに風情はありますが、少々不気味な気配も漂わせ。
多数の鵜が巣を作ることから木々に大被害が出、また、多くの魚を取ることから漁師との利害が生じ、殺して数のコントロールをしているというような内容の、カナダの地方紙の記事を読んだ事もあります。最近のイギリスでは、鵜の数の抑制の話は聞いたことがないので、騒ぐほどの被害ではないのでしょう。
鵜は、田舎のみではなく、かもめほど数は多くないものの、テムズ川でも見かけます。一度、波にゆらゆら揺られていると思ったら、潜水し、何かを捕まえて浮上、その捕まえたものを、うがうがと飲み込んでいるのを見て、現在のテムズにも餌になるような魚がいるのかと、改めて感心しました。
先日は、テムズ南岸にあるショッピング・アーケイドのヘイズ・ギャレリア(Hay's Galleria)を背景に、たむろしている鵜が数羽いたので、しばし立ち止まって眺めていました。(上写真。)
HMSベルファスト停泊場に程近い、このヘイズ・ギャレリア内には、幾つかのカフェやお店があります。店自体は、ロンドン内どこにでもありそうなものばかりで、取り立ててショッピングの場として面白いスポットではありませんが、中央に飾られた、変な顔をした船の彫刻が人気で、観光客が良く写真を撮っているのを見かけます。昔は、ヘイズ・ワーフ(Hay's Warf、ヘイズ埠頭)と呼ばれたこの辺り、紅茶を初め多くの海外からの輸出品が陸揚げされていた場所でもあり、イメージはやはり、海と船。私は、雨が降っても平気なので、待ち合わせなどに使ったりもする場所です。
テムズで魚を取ったのは鵜ばかりでは無く、当然人間様もで、ヘイズ・ギャレリア対岸やや西よりに、一時は世界最大の魚市場でもあった旧ビリングスゲイト魚市場(Old Billingsgate Fish Market)の建物が残っています。(上の写真)当建物が建設されたのは、1875年。現ビリングスゲイト魚市場は、1982年に、ここより東のカナリー・ワーフに移動したため、旧市場の建物は、現在はイベントのヴェニューとして使われています。屋根についている魚のモチーフや、風見鶏ならぬ風見魚に、オリジナルの目的を今でも見ることができます。
この地は、旧ビリングスゲイト魚市場の建物が出来る前、すでに16世紀辺りから、魚市場として盛んな場所であり、1666年に起こったロンドン大火の火災発生地にも近く、もし火事の起こった日が日曜日でなければ、早朝から働いていた魚市場の労働者たちが、消火活動に駆けつけ、火災も、あそこまで広がらなかったのでは、という話も聞いたことがあります。
歴史で、「もし」を言い出せば切りが無いですが。それに、「もし」火災が無かったら、今のロンドンの風景は、かなり違うものになっていたかもしれませんし。
私が、過去のロンドンに想いをはせている間も、鵜はポーズを変えずにずっと同じところに座っていました。それこそ風見鶏さながらに。
鵜は上野の不忍池にたくさんいたのを思い出します。この辺で見る大きな鳥はアオサギか白鳥、あとは猛禽類でしょうか。ヨーロッパでは食用にする魚の種類が限られているように思います。特にイギリスは食べ物に保守的なイメージ。魚市場ではどんな水産物が商われていたのでしょうね。日本の魚介類の中には、最初に食べた人は勇気があったなというような姿形のものもありますが。
返信削除エリザベス一世時代のロンドンの様子を書いた本に、テムズ川で捕れる魚の種類がのっていて、flounder, shrimp, bream, barbels, trout, dace, eelsなどとありました。うなぎは、安価で貧民の良い食事になった様です。食べ物にコンサバなイギリス人でも、あの気持ちの悪いjellied eelsは食べられるというのは、不思議です。鵜も、うなぎ、それにカレイなどのflat fishを好むようです。
返信削除おはようございます
返信削除今日は曇り、確実に冬が近づいています。
鵜 私が毎週出かける沼にはたくさんの鵜がいます。そして、棒杭の上にじっと羽をひろげてポーズをとる鵜をいつも見かけます。陽に向かって羽を暖めているのでしょうか?まるで双頭の鷲のごとく自信たっぷりなのが、おかしいです。色は黒、顔のあまり可愛くはないので人気はありません。でも水に浮かぶ大艦隊のような鵜の一群は壮観ですよ。
日本では鵜飼の伝統があります。長良川のそれは夏の風物詩です。驚くべき漁法ですよね。
鳥づきの私には楽しい記事でした。そして、ロンドンが港町、そして漁港であったことなど興味深いです。
最近は肉料理より魚の方が好きになりました。
昨日は、だんなが夜退院だったので、少々ばたばたしました。
返信削除今週終わりからイギリス一部では雪の予報も出て、冬が早いようです。
鵜は、可愛らしいくはないですが、見ているとそれなりに面白いものです。ビリングスゲイト魚市場は、現在でも、一般人でも買出しに出ている人がいるようで、病院で働いている人が、2カ月おきに大量に魚を市場から買って、フリーザーに入れておくと安く上がる、という話をしていました。現在の市場の魚は40%が海外から来るものだそうですが。