ある愛の詩
「愛とは決して後悔しないこと。」のキャッチ・フレーズが何となく気恥ずかしくて、若い頃、見なかった映画、「ある愛の詩」(原題:Love Story ラブ・ストーリー)。もちろん、フランシス・レイのピアノのメロディーと、彼女が白血病で死んでしまう、という筋書きは承知してました。今回の、だんなの白血病騒ぎで、ふと、食わず嫌いはやめ、見てみようという気になった次第です。
筋は非常に簡単。ハーバード大学生で金持ちのぼんぼんのオリバーと、ラドクリフ大学の貧しい家庭の娘ジェニーが恋に落ちる。オリバーは、父の反対をよそに彼女と結婚。大学卒業後、オリバーの父からの経済援助無しで、ジェニーが、学校教師として働き、オリバーは法律学校で学ぶ。オリバーが、優秀成績で法律学校を卒業、NYの法律事務所で仕事を見つけ、これから生活が良くなり、ジェニーの苦労も報われる、そして、子供を作ろうか・・・という矢先に、ジェニーは白血病にかかり死んでしまう。
40年前、白血病への対処は、治療と言うより、多少の延命作業。血液と血小板の輸血と、血球の破壊を遅らせる薬を投入するのみだったようです。映画とはいえ、25歳で不治の病は、やはり気の毒。実際、そういう人も沢山いたわけでしょうから。
病気にかかるまでの二人の関係の発展が、遠い青春のひとこま、と言う感じで、懐かしい気分にさせられます。青春のひとつぶ、グリコ・アーモンド・チョコレート・・・ののりで。
アリ・マッグローの、日本人で言うと、南沙織風のエキゾチックな自然美と、当時のファッションが、また、とても良かったです。彼女の着ている服、コート、帽子、マフラー、皆素敵。貧乏のはずなのに、いいもの着てるじゃん、なんて思いながらも、この頃は、押しも押されぬ世界最富裕国だったアメリカですから。あ、でもファッションの中で、あの巨大とんぼめがねだけは、ちょっといただけません。アリ・マッグローがかけても、変なのに、私がかけたら、まるで漫画でしょう。
この映画の作られた1970年と言えば、ベトナム戦争真っ只中ですが、映画内にその影はが一切見えないのは、ストーリーラインを脱線させないためでしょうか。主要登場人物の数も少なく、焦点が2人の愛情と関係、複線として、オリバーとジェニーの両方の父をめぐった親子愛に絞られている感じです。
夏のシーンもあったことはあったのですが、冬のイメージが強い映画で、2人で雪の中で転がりながらはしゃぐシーンは、ボストンに記録的大雪が降ったのを利用したそうです。また、NYで、病院へ向かう前のアイススケートの場面と、真っ白の雪の中を二人で歩く場面も、印象的。
気が強いジェニーが、オリバーの事を、会いしなから「Preppy プレッピー」と呼ぶのが面白かったです。
(Preppyは、米で、Prep School出身の人間を指すようですが、イギリスではあまり聞きません。米のPrep Schoolは、アイビーリーグなど一流大学へ入るための進学準備校の事。ほとんどが高額の授業料を必要とするため、ぼっちゃん、じょーちゃんの行く学校。ちなみに、イギリスでPrep Schoolというと、米より年齢が下がり、良い私立のセカンダリー・スクールへ進学するための準備校を指します。デイヴィッド・キャメロンも、イートン校に入る以前にPrep Schoolに行っています。)
そして、「なんで、僕がPrep School出身だって、確信できるんだ?」とオリバーに聞かれ、ジェニーいわく、「だって、あなた、馬鹿で金持ちそうな顔してるもの。」こういう好戦的なヒロインって、日本のメロドラマにはなかなか登場しない気がして、新鮮でした。
さて、有名なセリフ、
Love means never having to say you're sorry.
は、映画内で2度登場します。
1回目は、二人が喧嘩した後、オリバーが、「I'm sorry.」(ごめん。)と言うと、ジェニーが返すセリフ。これは、「愛とは決して後悔しないこと。」というより、「愛には、決して謝罪はいらないのよ。」と訳した方が良さそう。
2回目は、ジェニーが死んだ直後、オリバーが父親から、「I'm sorry.」(それは、気の毒な事をした。)と言われたに対し、返すセリフ。こちらは、「愛とは決して後悔しないこと」の意に近いでしょうか。
sorryという言葉のニュアンスが広いので、訳も大変です。
いずれにしても、思ったよりずっと良い映画でした。
原題:Love Story
監督:Arthur Hiller
言語:英語
1970年
筋は非常に簡単。ハーバード大学生で金持ちのぼんぼんのオリバーと、ラドクリフ大学の貧しい家庭の娘ジェニーが恋に落ちる。オリバーは、父の反対をよそに彼女と結婚。大学卒業後、オリバーの父からの経済援助無しで、ジェニーが、学校教師として働き、オリバーは法律学校で学ぶ。オリバーが、優秀成績で法律学校を卒業、NYの法律事務所で仕事を見つけ、これから生活が良くなり、ジェニーの苦労も報われる、そして、子供を作ろうか・・・という矢先に、ジェニーは白血病にかかり死んでしまう。
40年前、白血病への対処は、治療と言うより、多少の延命作業。血液と血小板の輸血と、血球の破壊を遅らせる薬を投入するのみだったようです。映画とはいえ、25歳で不治の病は、やはり気の毒。実際、そういう人も沢山いたわけでしょうから。
病気にかかるまでの二人の関係の発展が、遠い青春のひとこま、と言う感じで、懐かしい気分にさせられます。青春のひとつぶ、グリコ・アーモンド・チョコレート・・・ののりで。
アリ・マッグローの、日本人で言うと、南沙織風のエキゾチックな自然美と、当時のファッションが、また、とても良かったです。彼女の着ている服、コート、帽子、マフラー、皆素敵。貧乏のはずなのに、いいもの着てるじゃん、なんて思いながらも、この頃は、押しも押されぬ世界最富裕国だったアメリカですから。あ、でもファッションの中で、あの巨大とんぼめがねだけは、ちょっといただけません。アリ・マッグローがかけても、変なのに、私がかけたら、まるで漫画でしょう。
この映画の作られた1970年と言えば、ベトナム戦争真っ只中ですが、映画内にその影はが一切見えないのは、ストーリーラインを脱線させないためでしょうか。主要登場人物の数も少なく、焦点が2人の愛情と関係、複線として、オリバーとジェニーの両方の父をめぐった親子愛に絞られている感じです。
夏のシーンもあったことはあったのですが、冬のイメージが強い映画で、2人で雪の中で転がりながらはしゃぐシーンは、ボストンに記録的大雪が降ったのを利用したそうです。また、NYで、病院へ向かう前のアイススケートの場面と、真っ白の雪の中を二人で歩く場面も、印象的。
気が強いジェニーが、オリバーの事を、会いしなから「Preppy プレッピー」と呼ぶのが面白かったです。
(Preppyは、米で、Prep School出身の人間を指すようですが、イギリスではあまり聞きません。米のPrep Schoolは、アイビーリーグなど一流大学へ入るための進学準備校の事。ほとんどが高額の授業料を必要とするため、ぼっちゃん、じょーちゃんの行く学校。ちなみに、イギリスでPrep Schoolというと、米より年齢が下がり、良い私立のセカンダリー・スクールへ進学するための準備校を指します。デイヴィッド・キャメロンも、イートン校に入る以前にPrep Schoolに行っています。)
そして、「なんで、僕がPrep School出身だって、確信できるんだ?」とオリバーに聞かれ、ジェニーいわく、「だって、あなた、馬鹿で金持ちそうな顔してるもの。」こういう好戦的なヒロインって、日本のメロドラマにはなかなか登場しない気がして、新鮮でした。
さて、有名なセリフ、
Love means never having to say you're sorry.
は、映画内で2度登場します。
1回目は、二人が喧嘩した後、オリバーが、「I'm sorry.」(ごめん。)と言うと、ジェニーが返すセリフ。これは、「愛とは決して後悔しないこと。」というより、「愛には、決して謝罪はいらないのよ。」と訳した方が良さそう。
2回目は、ジェニーが死んだ直後、オリバーが父親から、「I'm sorry.」(それは、気の毒な事をした。)と言われたに対し、返すセリフ。こちらは、「愛とは決して後悔しないこと」の意に近いでしょうか。
sorryという言葉のニュアンスが広いので、訳も大変です。
いずれにしても、思ったよりずっと良い映画でした。
原題:Love Story
監督:Arthur Hiller
言語:英語
1970年
こんにちは
返信削除今日は曇り、黄砂が飛んで来て、なんとなく空は黄土色のようです。この季節には珍しいです。
ラブストーリーという言葉は大流行しました。映画も見たはずです。原作も読んだ気がします。でもあまり感動?した記憶がありません。主人公二人は素人っぽくてアメリカ映画にしては古風で19世紀の話みたいでした。意外とアメリカって封建的で階級社会なんだなと思いました。
アリーマッグローはその後、スティーブマックイーン結婚したので、驚きました。そして、ライアンオニールの娘、テイタムオニールも最年少でアカデミーをとったり、テニスのマッケンローと結婚したり、彼、も彼の家族もスキャンダラスなハリウッド人なのに驚いたりしました。
あの映画に、愛は後悔しないこと とありましたが、未だに後悔しきりです。そして、あれでよかったのだ。そうするしかなかったのだ。が自分なりの解釈です。
娘にも一度くらい、ラブストーリーがあってほしいと祈る母です。
私がラブストーリーという原題に馴染みをもったのは、こちらへ来てからで、日本にいた時は、「ある愛の詩」という題名しか知りませんでした。なかなか、良い邦題だと思います。思ったよりずっと、めそめそしたメロドラマ度が低かったのも良く。病気になるのもかなり後半になってからの話ですし。階級社会的古いところはあるものの、ジェニーが機知に飛んだ女性で、頭脳的には対等な二人というのが、おそらく当時の日本と比べれば、斬新であったのでは、という気がしますが。
返信削除40年前の映画ですともう半分時代物の感もあり、当時の社会風景などを見るにも面白かったです。
薄くて読みやすそうだったので原作を読みました。What should I say about a twenty-five-year-old girl who died... 冒頭を今でも憶えているのは挫折して何度も読み直したせいだったのかどうか。Preppyと彼女が蔑称のように言っていたのも記憶にあります。本棚を探してみたら古くなってすっかり色が変わったペーパーバックを見つけました。twelfth printing, January 1971とありました。映画のほうは何年もたってからTVで見ました。60年代後半からミニスカートが流行り始めたはずですが、彼女の服装は今でも通用しそうなコンサバティブなものが多かった気がします。時代設定は少し前だったのかなと今頃思っています。
返信削除1970年のヴァレンタインデーに出た本だという話なので、1年経たずして12版だとしたら、かなり売れたのですね。先へ進まず、同じ部分を何度も読んでしまう・・・良くわかる気がします。
返信削除彼女が、ぎりぎりミニスカートを着用していないのは、時代設定と、ニュー・イングランドの冬が寒すぎるから・・・!?それこそ、しっかりした、ウール生地のものが多い感じでした。
こんばんは
返信削除ラブストーリー なら王子様の婚約、これってラブストーリーなんでしょ? おめでとうございます。親戚でもないのにイギリスはお祝いムードってテレビが言ってました。そして、あの結婚から30年なんですね。
私たちも27年ですから、、。
今日は冷え込みました。
普通のカップル風で上手く行きそうなのがいいです。ただ、これから結婚まで、しつこいほど、このニュースばかり聞かされるのが少々うんざりな気もします。
返信削除もし2人の間の最初の子供が女児だった場合、たとえ、2番目、3番目に男児が生まれても、長女が女王となるよう、法を改正するという話も出ています。時代と共に柔軟に変わる王室が、英王室の健全な人気の秘訣かもしれません。