リージェンツ・パークで過ごす夕刻

ベーカー・ストリート付近に用事で出ると、近くにあるリージェンツ・パークへ足を運ぶのが常です。リージェンツ・パークは、ロンドン北部に位置する大きな公園で、ロンドン動物園もこの一角にあります。初めてロンドンに来た時は春で、この公園の鮮やかな花壇にほれぼれしたのを覚えてます。夏は幾種類ものばらも見事に咲いて。

比較的、人もまばらな夕刻に園内をふらついてみました。デッキチェアでくつろぐ人、芝生の上に横になって日向ぼっこ、バラの茂みのそばで新聞を読む人、子供連れの小ピクニックと、それぞれ、眠たげな空気の中で、思い思いにのんびり時を過ごし。サマー・タイムのイギリスは9時くらいまで外が明るかったりしますので、夕刻もゆっくりとできるのです。

私も、水辺のベンチに陣取り、しばらく読書・・・と思いながら、活字は全く頭に入らず、気が付くと、本は膝の上で景色を眺めてしまうものです。行き交う人々の、世界各国、様々な言語を聞きながら。

ここで、公園の歴史を一発。

この地は、ヘンリー8世の時代から、鹿を放した王家の狩猟場でしたが、イギリス内戦後、クロムウェルは、戦争の負債を払うため、ここから木材用に何本もの木を切り出します。王政復古で、チャールズ2世が王位に着くと、再びこの地は王家に。すでに狩猟は時代遅れとなっていたため、土地は農場として、貸し出されます。

1811年、ジョージ3世狂気の発作のため、プリンス・リージェント(摂政)として政治を見ていた皇太子(後のジョージ4世)は、この地に、緑に囲まれた夏用の宮殿を建てようと、王室お抱え建築家ジョン・ナッシュに周辺の地の設計・デザインを依頼。プリンス・リージェントが途中で心変わりし、バッキンガム・パレスの改造に力を入れたため、最終的には夏の宮殿は建築されませんでしたが、公園の大元は出来上がります。

派手好きの大食漢、浪費家でも知られ、ナポレオンのパリに対抗意識を燃やすプリンス・リージェントは、この他にも、ジョン・ナッシュにリージェント・ストリートを設計させています。(ジョージ3世、4世については過去の記事「狂ったジョージと太ったジョージ」まで。)

1835年から公園東側が、一般市民に開放され、後には公園全体が開放される事になります。

公園の中心にある、円形のクイーン・メアリーズ・ガーデンズには、1930年代に現在見られるバラ園と、夏の野外で芝居を楽しめるオープン・エア・シアターが作られています。このオープン・エア・シアターで昔見た、「真夏の夜の夢」は良かったです。風はさやさや、日が段々傾いていく中の、自然に囲まれた舞台には最適の題目でした。

参考:リージェンツ・パーク・オフィシャル・ウェッブサイト
   
水面をすいすい泳ぐこの黒鳥(ブラックスワン)のカップルを見つけて、後をつけながら水辺をとことこ歩きました。やはり、なかなかの人気者になっていて、何人もの観光客が写真を取っていました。そこで、私も、と近づいて。

たまたま、仲良くくちばしをすり寄せてチュッとやって、首の形もハート型になっているところを取る事に成功。

リージェンツ・パークの夕刻にロマンチックな気分になるのは、鳥だけでは無い。熟年の仲良しカップルも手に手をつなぎ、若者カップルはバラ園の中で・・・チュッ!


ほのぼの気分で帰途につきました。

*追記(2013年1月11日)
本日のイブニングスタンダードの記事によると、上記の写真のブラックスワンのカップル、7年連れ添った後に、雌がきつねにやられて死んでしまったのだそうです。雄はしばらくの間、公園管理者によって、園内の別の場所にうつされ、悲嘆によるストレスの兆しがないかなどと観察を行う予定だとの事。白鳥も、黒鳥も、カップルは一生連れそうケースが多いそうなので、やはり、一羽取り残されると、がっくりきてしまうのでしょう。かわいそうに。

コメント

  1. リージェンツパーク、行きませんでした。残念!
    毎朝、ランカスターゲートからダイアナ妃記念広場までは散歩していたのですが・・・^^
    みにさんの記事を読んでいると、すぐにでもイギリスに行きたくなります。こちらも夏至が近くなっていますので、夜は7時過ぎまで明るくなっています。
    今日は、蒸し暑い一日でした。次はどこを紹介していただけるのでしょうか?^^楽しみにしています。
    らぶらぶ

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  2. リージェンツ・パークの北側に運河が走ってますが、これを西へ辿って行くと、パディントン近くのリトル・ヴェニスまでずんずか歩けます。この散歩道もいいですよ。ヴェニスというより、リトル・アムステルダムという感じではありますが。この辺の写真も沢山撮ってあるのですが、整理もしてないです。いつか載せられればと思ってますが・・・。

    イギリス・アンティーク、早く完売するといいですね。

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