ガイ・フォークスとガンパウダー・プロット

11月5日のガイ・フォークス・ナイト(Guy Fawkes Night)が近づいてくると、毎夜、あちこちで花火の音が聞こえます。近所の庭で花火をあげる人もいるので、家の窓からミニ花火大会を楽しめる事もあります。

最近は、アメリカから逆輸入されてきた様なハロウィーンに押され、印象が薄くなってきているなどと言われるこの日です。何でも、季節的イベントで一番、国民がお金をかけるのは、上から順番に、クリスマス、イースター、ヴァレンタインズ・デイ、そしてハロウィーン・・・なのだそうで、商業的にも、魔女コスチュームなどなどのおかげで、ハロウィーンが上位にのし上がってきているとの事。
さて、ガイ・フォークス・ナイトは、何を記念するかというと・・・

「ヴァージン・クイーン」として一生を終えた為、当然子供がいなかった、プロテスタントのエリザベス1世。彼女の時代が終わると、カトリックであったメアリー・スチュワートの息子であり、すでにスコットランドではジェームズ4世として君臨していたジェームズが、イングランドのジェームズ1世となります。

ジェームズの戴冠に、イングランド内カトリック信者達の間では期待がふくらみます。「新王はカトリックに、もっと同情的かもしれない・・・。」。しかし、この期待は、すぐに蒸発。ジェームスは、宗教に関しては、エリザベス時代の態度を変える気配が無い。

そこで幾人かのカトリック信者たちが、国会開会日に、国会に集まったプロテスタントの有力者達を、国王もろとも、爆弾で吹っ飛ばそうとの謀反を企てます。ガンハウダー・プロット(The Gunpowder Plot)と呼ばれるテロ計画です。

プロットは事前に漏れ、決行予定日1605年11月5日の前夜、国会の地下で、ごそごそしていた一味の一人、ガイ・フォークスが多量の爆薬と共に発見され逮捕。翌朝、事がばれたとわかった他の参謀者たちは、逃げ散ったものの、やがて捕まり、処刑。

このころの謀反人に対する処刑は残酷で、
Hanged, Drawn and Quarteredと言われ、
まず、殺さぬ程度に縄で首吊り、その後、生きているうちに、腹を割き、内臓を引きずり出し、火にくべる。後は、体を4つに切り、首ちょんぱ。そして、遺体はしばらく、見せしめにさらされたりしたのでしょう。メル・ギブソンが、スコットランドの英雄ウィリアム・ウォレスとして主演した「ブレイブハート(Braveheart)」という映画がありましたが、この最後で、イングランドの王、エドワード1世の圧制に反旗を翻したウォレスが、謀反人として処刑される場面がそれです。

事件後、11月5日には、このカトリックの大失敗を記念して、広場でボンファイヤー(Bonfire:焚き火)を燃やし、ガイ・フォークスを模した人形を火に放り込んだりします。

最初のころ、この人形は、ローマ法王を模した物だったようですが、徐々にガイ・フォークスを燃やす習慣となりました。ローマ法王人形をいまだに燃やしていたら、さすがに怒られちゃうでしょうから。前述のように、花火もボンボンあがります。

これが終わると、冬かな・・・と感じます。そろそろ、葉をすっかり無くした木々も目に付き始め、紅葉も、今のうちに楽しんでおかないと。


ガンパウダー・プロットに関する、詳しいサイトは下。
The Gunpowder Plot (UK parliament)

(当投稿は、ヤフージャパンにて2008年11月3日に投稿した記事の焼き直しです。)

コメント

  1. 最近野菜スライサーで指先を少し削ってしまい、それだけでもすごく痛かったというのに・・・ぞっとする刑罰ですね。
    A Traveller in Timeという本にバビントン事件のことが少しでてきたので、Wikiで調べてみると同じ方法の処刑だったとか。

    返信削除
  2. A Traveller in Timeも、聞いた事がなかったので、アマゾンで見てみました。評も良くて、面白そうですね。これもいつか読んでみます。

    王や女王に対する反逆罪は、やっぱり極刑になってしまうのでしょう。バビントン事件もしかりで。さすがに、王家の血が流れるメアリー・スチュワートは、斬首・・・それも怖くて、嫌ですが・・・。

    返信削除

コメントを投稿