クリスマスカード今昔


上は、世界初の商業的に印刷されたクリスマスカードとされるものです。

1843年、イギリスのヘンリー・コール(Henry Cole)なる人物が、クリスマス時期の挨拶に、何枚もの手紙を書く手間を省くため、すでにメリークリスマスとハッピーニューイヤーと書かれたイラスト入りで、相手の名を書き、サインするだけで済むカードを考案。

クリスマスのお祝いをしているヴィクトリア朝の楽しそうな家族を中心に、左右に貧しいものの為への慈善を促したイラスト。手で彩色されているというので、かなり手間がかかっています。このイラスト内に、子供にワインを飲ませている描写があり、子供のモラルの退廃を促すと、批判されたというエピソードもあり。

1枚1シリングという値段が高価であったため、当時はあまり売れずに、この試みは、商売としては成功と言えなかった模様。クリスマスカードが人気となってくるのは、1860年代に比較的安価で作成できるカラー印刷が可能になってから。

1000枚印刷されたもののうち、既存すると知られているのは18枚だそうですが、そのうちの3枚が、封筒つきで、先週金曜日に、ニューヨークのサザビーズでオークションにかけられ、 それぞれ、10500ドル、7000ドル、4250ドルという値段で落とされたという話がニュースになっていました。1シリングで高いと思った当時の人達が、このオークションの落札値段を見たら、腰をぬかすことでしょう。

 さて、このヘンリー・コールは、郵便局の改革にも貢献した人物で、1840年に導入された、ペニー・ポストと呼ばれる、標準の手紙なら1ペニーで英国内中どこへでも送れるシステムの施行にも尽力。この際に、世界初の切手と呼ばれる、黒のバックグラウンドにヴィクトリア女王の横顔の入ったペニー・ブラックが登場。コール氏は、当切手のデザインにも関わったという話ですが。

氏はその他にも、商業デザインに興味を示し、ティーポットを初め、数々の物のデザインに手をかけ、子供の本まで書き。ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)を現在の場所に設立する事にもたずさわり。更には、1851年に行われたロンドン万国博覧会の考案、運営に関わり、博覧会成功の裏の立役者でもあったようです。

こんなに色々手を出して、大忙しの人物であれば、サインだけで簡単に済むクリスマスカードを考案したのも、うなづけるのです。

参考サイト:

Eメールや、ソーシャル・ネットワーク・サイトが幅を利かせる現在でも、クリスマスカードとなると、Eカードなどより、本物を送りたく、受け取りたい人は、まだまだ沢山いるようです。

本日は、何でも、郵便局が年で一番忙しい日だという事を聞きました。昨日、一昨日の土日に、一気にクリスマスカードを書いた人たちが、どーっとそれを投函し、配送物が一気に膨れ上がるのだそうです。量は通常の倍とあって、当然遅れなども出てきます。ロンドン内の郵便局も長蛇の列で、ドアから列がはみ出ている感じでした。

私も、昨日、自分で描いたイラストをPCで処理し、手作りクリスマスカードの印刷は済んだのですが、まだ書き終わっていない状況。

ファーストクラス(通常翌日配達)は12月21日まで、セカンドクラス(配達2~4日)は20日までに出してね、などと、今朝のニュースで聞いて、少々焦りを感じている次第。いつもぎりぎりに、パニックに陥りながら書く泥縄夫婦なので、今回は、余裕を持って投函を終わらせたいところ。

今年のクリスマス切手には、ウォレスとグルミット(Wallace and Gromit)がお目見えです。コレクションとしては、ペニー・ブラックの様な価値は無いですが、微笑ましいのです。

コメント

  1. 非常にめずらしい写真と解説をありがとうございます。我が家にもイギリスの1900年代のポストカードがたくさんあります。すべて第1次世界大戦前のドイツでの印刷のものです。
    ドイツの印刷技術が優れていたために、戦争で敵対するまでは多くがドイツで印刷されていたようですね。こうしたカードでも、歴史があるもの。
    しかし、この写真のクリスマスカード・・1枚でも持っていたら、私も一財産築けたのにな~~^^残念!!

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  2. 1900年辺りになると、すでに、もうあらゆる分野でドイツが抜きん出てきていた感じですね、印刷もそうですか。
    このカード、数が少ないという希少価値と、ヘンリー・コールと言う人物の知名度も、落札値段に一役買ってるのでしょうね。らぶさんのコレクションのポストカードの中に、どっかり儲かるようなものが隠れているかも。

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  3. こんばんは
    クリスマスカードにあたるのが日本では年賀状でしょうか?
    毎年、忙しい時期に面倒だとおもいつつも、習慣となっているのを止めるのは難しいです。だいぶ枚数は減らしましたが、それでも100枚近くなります。そして、そのデザインですが、いつもダーリンのイラストになっています。彼はなかなか絵ごごろがあって、ユーモラスでひとひねりした図柄を書いてくれます。けっこうこれを楽しみにしていてくださる方もいるのです。私はそれに便乗です。
    スミマセン カタジケナイ
    クリスマスカード、小さい頃,教会の日曜学校でいただいたきれいな絵は今も思い出します。初めて出会った西洋だったような気がします。

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  4. 日本では年賀状ですね。うちのだんなは、学生の時、郵便局のクリスマスカードの配送のバイトをしたそうで、そんなのも似ています。
    最近は、海外はもう、eメールにカードを添付して済ませる事も多くなりました。今年は、悪天候と雪の影響(今週末も雪の予報)で、忙しい時期の郵便事情、更に悪いようです。

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