ロイヤル・ビクトリア・ドック

この秋は、ロンドン東部のドックランズ散策に何度か繰り出しました。本日もまた、そんなロンドンの過去のドック(埠頭、波止場)をひとつご案内します。

以前の記事で触れたウェスト・インディア・ドックを初めとする、19世紀初頭のロンドンのドック建設ブームが、セント・キャサリン・ドックの完成後、しばらく静まったものの、船で、大英帝国の首都ロンドンへ流れ込んでくる物資は増える一方。新たなる、もっと使い勝手の良いドック建設が、19世紀後半に再び開始。そして、1855年に建設されたのが、このThe Royal Vicotoria Dock(ロイヤル・ビクトリア・ドック)。ウェスト・インディア・ドックより、更に東(テムズ河口側)にあります。あまり役に立たなかったというセント・キャサリン・ドックなどに比べると、かなりの大規模ドックです。

新しいロイヤル・ビクトリア・ドックに、商売を奪われ始めた、既存のドックを有する会社は、それに対抗するため、合併、また、新ドックへの建設へと動き出します。1868年、ウェスト・インディア・ドック南側に、ミルウォール・ドック建設。1880年、ロイヤル・ビクトリア・ドックの東に、アルバート・ドック。更には、1886年、テムズ河口に近いティルベリーにも、新たなドックができるのです。20世紀に入り、1921年に、アルバート・ドックの南側にオープンするのが、200件以上の家を撤去して作られたという、キング・ジョージ5世・ドック。

ロイヤル・ビクトリア・ドックの、貨物の波止場としての役割は、1981年に終わっていますが、現在も、船が入ってくることができるので、私が訪れた日も、大きなクルーズ船のようなものが停泊していました。

ロイヤル・ビクトリア・ドックを訪れるのに、私が降り立った駅は、ドックランズ・ライト・レイルウェイ(DLR)のCustom House(カスタム・ハウス)駅。この駅は、2000年にオープンしたExCel London(エクセル・ロンドン、エクセル展覧会センター)への最寄り駅でもあります。エクセル展覧会センターは、ロンドンオリンピックの際にも、一部ヴェニューとして使用されました。上の写真の左手の建物がエクセル展覧会センターの一角です。

催し物のある日は、活気があるのでしょうが、行事が無い時は、周辺は、とても、とても静か。ドックの対岸へ渡るには、高架のフットブリッジに上がり横切ります。

この橋の上からの眺めはなかなかです。

橋の上はこんな感じですね。

西側を向くと、カナリーワーフが見え。

東側には、ロンドン・シティー空港があるので、時折飛行機が高度を下げていくのが見えます。この空港は、アルバート・ドックとキング・ジョージ5世・ドックに挟まれた所に位置します。水に落っこちないでね、という感じですが。一度、シティー空港から、KLMに乗り、アムステルダム乗換えで、日本へ帰国した事がありますが、大混雑で、ストレスのたまるヒースローを使うより、小型空港を使用する方が、多少リラックスした気分になれて良いのです。

ぷらぷら、ゆっくり橋を渡った後、対岸へ降りると、黒人のお兄さんと、中国人おねえちゃんのカップルが、橋のたもとで、何か相談していました。黒人のお兄さん、私を見ると、「あんた、いま、この橋、向こう側から渡って下りて来たの?」「そうそう。」「てことは、ちゃんと渡れる橋なんだよね?」「そうそう。高所恐怖症でなければ、大丈夫よ。」そこで、お兄さん、「サンキュー」を言って、彼女を連れて、エレベーターのボタンを押しました。あ、エレベーターがあったのか、気付かずに、階段ぐるぐる上って、降りた私でした。「若者なのだから、階段使って登りんしゃい!」と、心の中で、半分、負け惜しみの様な事をつぶやき。でも、足腰の運動にはなりました。

橋を渡った後、南東へ10分ほど歩くと、前回の記事に書いた、テムズ・バリアーにも足を伸ばす事ができます。人気のいない、水辺の景色が好きな人には、もってこいの散策です。

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