リュクサンブール公園の午後

15年以上も前の事、初めてロンドンからパリを訪れる直前に、何度もパリへ行った事がある知り合いに、お勧めスポットを聞いた事がありました。彼の答えは、「リュクサンブール公園(Jardin du Luxembourg)がいい。」とにかく綺麗で、ずっと座っていたくなるから・・・と。その後、パリを訪れるたび、行こう行こうと思いつつ、それは見所の多い首都の常で、この人のお勧めスポットは行き逃していたのを、今回、やっと訪れてきました。

セーヌ左岸にあるリュクサンブール宮殿と公園は、17世紀に、良王アンリ4世の後妻でルイ13世の母、マリー・ド・メディチ(フランス読みはメディシス)が、故郷フィレンツェを思い起こせるよう作られたもの。(参考までに、アンリ4世の前妻は、マルグリッド・ド・ヴァロア。)この公園を勧めてくれた人はイタリア人なので、イタリア風というのも気に入った理由でしょうか。

アンリ4世が、1610年に、カソリック狂信者に殺された後、若きルイ13世の摂政となったマリー、1612年に、この土地を購入し1615年、建設開始。

宮殿装飾用には、当時の巨匠画家ピーター・ポール・ルーベンスに、自分と夫、家族の栄光を讃えた、マリー・ド・メディチ・サイクルと称される20枚以上の巨大画を依頼しています。決して美人とは言えぬ、ぽっちゃり顔の彼女を出来るだけ神々しく描く・・・画家も大変です。その分、見返りは非常に大きいですが。絵は現在はルーブル美術館に。下の絵は、メディチ・サイクルの中から、アンリ4世の死と、マリーの摂政時代の始まりを描いたもの。


宮殿完成の1631年には、彼女は、ルイ13世の枢機卿リシュリーによりフランスより追われ、亡命。

午後5時ごろ、宮殿前の噴水の周りには、暖かな初夏の日を楽しむ人々が、のんびりと椅子に座り、喋り、読書し、または、眠りこけ。私も、一日歩き回って疲れた足を休ませるのに、ひとつの椅子に陣取り、しばし、うとうと。シュロの木の様なものがあるところが、南欧風です。

憩いの場所としては、どちらかと言うと、私は、緑がもっと深く、自然に近い風景のロンドンの公園たちの方が、パリの公園よりも好きですが、パリの公園の良いところは、とにかく、その椅子の数。どんなに人がいっぱいいても、絶対どこか気に入った場所で、椅子を確保できる事。まあ、ロンドンの公園は、いつも芝の上にじかに座ったり寝転んだりしているので、それはそれで良いんですが。

公園の敷地内には、数多くの彫刻があり、テニスコート、子供の遊び場もあり。なぜか、養蜂箱が沢山おかれている一角があり。ペタンク(Pétanque :ボール投げゲーム)をする場は、初老男性でにぎわってました。そばに、コートかけが立っていて、べタンクに興じる人たちのコートやジャケットが、きちんとハンガーにかかっているのが面白かったです。


上の写真は、バロック式のメディチ噴水。


公園から出て東側にあるパンテオンものぞめます。

長い間、気になっていた美しい公園にやっとご対面でき、めでたし、めでたし。それでも、まだ、見たいと思い見ていない場所は沢山残るパリです。長年いながら、ロンドンの観光地も網羅していないので、当たり前と言えば、当たり前ですが。

コメント

  1. こんばんは
    今日はとてもよい天気でした。午後、親戚のお葬式があって、夫と参列しました。85歳でしたから大往生といたしましょう。新緑のうつくしい葬儀場と火葬所はゆったりできていてまるで公園のようです。
     リュクサンブール公園はパリのオアシスのようなものなのでしょうね。しかし、さすがフランス、芸術の香がいたします。ルーベンスに描かれたマリーは肉感的で情緒的にみえますが、実際はどうなんでしょ?政治的野心と権謀術数にたけた人物のように思います。
    華やかな宮殿と優雅な庭園にはそのような匂いはしませんでしたか?
    葬儀の後のきまずい親戚たちの会話に今日は疲れました。
    日本ですきな都会の公園は日比谷公園と井の頭公園かな?二つともデートの思い出と重なります。

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  2. お葬式、お疲れ様でした。

    マリーは、摂政になってからの行動を見ると、理性より情緒に走ったかな・・・という気もします。ルーベンスの時代は、多少太めの女性がもてはやされたとも言う話もあるし、現在の基準で、美を計るのは難しいかもしれませんね。

    日比谷公園、井の頭公園、両方とも、遠い記憶の公園です。デートのメッカでしたか。アパート住まいの人間が多い都会の緑地帯は、まさにオアシスです。

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