バラの花咲くロダンの館


パリ滞在中の、お天気の良い午前中、ロダン美術館へ足を伸ばしました。

彫刻家オーギュスト・ロダンが、1908年から亡くなる1917年まで住み、製作を行ったビロン館。彼の死後、国に寄贈された作品の数々が、この館内と美しい庭のそこかしこに展示されています。ゴッホ、ルノワールの絵数点も、館内にあり。手持ちの小型ガイドブックには、ピースフルな美術館、などと書かれていたので、比較的人が少なく静かな美術館かと思いきや、2000本はあるというバラの香りに誘われてか、観光客でにぎわっていました。

上の写真の背景に垣間見られる丸屋根は、通りを隔てた向かいに位置するアンヴァリッド(旧軍病院)のドーム教会の屋根。ナポレオンの柩があるところです。


前庭にある「考える人」も、暖かな陽射しを受け、バラの中、「うたたねする人」にも見えなくもない・・・。

とにかく、試作なども含め、がんがん製作に余念がなかった感じです。

館内には、ロダンの愛人であり、モデルであり、本人も彫刻家であったカミーユ・クローデルの作品を展示した部屋もありました。2人の年の差、約20歳・・・。ロダン氏、製作のみならず、私生活でも大忙しだったわけで。

長年の内縁の妻ローズを離れられないロダンとの関係をめぐり、後に狂気にいたる情熱の美女カミーユというと、イザベル・アジャニー主演の映画、その名も「カミーユ・クローデル」を思い出します。この映画のDVDが館内のショップで売られているのを目にしました。彼女、どうしてもロダンの愛人のイメージが先行しますが、作品見ると、特に彫刻に精通しているわけでもない私には、十分すばらしく見えたのですが。

また、ヨーロッパで活躍した日本人女優で、ロダンの唯一の日本人モデルとなった花子さん(大田ひさ)の実物大よりずっと大きな頭像もあり。


上の写真の奥に見えるのが、ダンテの「神曲」に書かれている地獄を表現した「地獄の門」。「考える人」もこの門の上部に組み込まれた要素のひとつ。


「地獄の門」の一番上に立つ、頭を下げ、片手を下に差し伸べる3人の像のポーズは、映画「カミーユ・クローデル」の中では、カミーユがとっさに取ったポーズからインスピレーションを得たものとされていたと記憶します。(かなり前に見た映画で、100%断言できませんが。)


「キス」も当初は、「地獄の門」に組み込まれる予定だったといいます。少々、地獄とはイメージ違いすぎましたか。おしりの辺りが石にくっついたままなのが、石から柔らかいものが生まれた感じで良いのです。


イギリスとの百年戦争中、エドワード3世のイギリス軍に包囲されたカレーの6人の有力者が、エドワードの元へ屈辱的な姿で出頭する姿を表現した「カレーの市民」。これはロンドンのウェストミンスター付近にも設置されているので、おなじみです。


館内の開け放たれた窓の外の景色を背景に、室内展示物も柔らかな風を受け。


という事で、5,6月の晴れたパラの季節には、芸術も自然も楽しめる、もってこいの美術館です。

コメント

  1. こんにちは
     いい天気です。初夏といってもいいでしょうか?
    巨人ロダンの秘密、カミーユの存在を知ったときはショックでした。彼女の才能と愛情を飲み込んでしまったのが天才ロダンだったのでしょうか?素晴しいお城がその権力?を物語っているように思います。
     フランスの女優さんは好きですねー。ジャンヌモローからドヌーブ、そして、イザベルアジャーニとプライド高い大人の女は魅力的です。あこがれです。
     そして、カミーユの弟、ポールクローデルは多才な外交官で日本とのつながりも深いことを知って、ますますカミーユへの興味が強くなりました。
     きれいな写真も有り難うございました。行ってみたいです。おフランス。

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  2. バラが咲き出すと、もう初夏ですね。

    カミーユの弟の話は初耳でした。映画に出てきたかどうかも記憶に遠いです。ロダンの館の大きさは、確かにお城と言えます。
    おフランスは、女性が、イギリス女性よりもずっと魅力的だし、こちらのように太っている女性があまりいない印象です。イギリスの女の子のナイトアウトなど、パンツも見えてしまうようなミニスカートにお腹を丸出しにするTシャツ姿の品の無さ・・・フランスの女の子はそこまで自分を落とさない気がします。

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