ハート型の葉の観葉植物たち

最近になって、観葉植物をふたつ増やしました。 フィロデンドロン ブラジル(Philodendron headeraceum "Brazil")と、ハートカズラ (Ceropegia woodii)。両者とも、葉っぱがハートの形をしていることで知られています。最近は、こんなものも、インターネットで買えるので便利。ふたつとも、小さな段ボール箱の中、紙にくるくる包まれた形で、到着しました。

 フィロデンドロンは、中南米原産の植物。木に這い上がったり、つる下がったりして育つ植物なので、ギリシャ語で、philo(好む)+dendron(木)で、「木を好む」というこの性質から名前がついています。ついでながら、日本のシャクナゲは、英語ではロードデンドロン(rhododendron)という舌嚙みそうなものですが、こちらは、やはり、ギリシャ語の、rhodon(ばら) + dendron(木)で「バラの木」の意味からきています。さらなる、ついでに、ギリシャのロードス島(英語はRhodes)も、この古代ギリシャ語の「rhodon(ばら)」から来ており、「ばらの島」意味・・・。と、切りがないので、脱線はこのくらいにしておきます。

観葉植物としてのフィロデンドロンは、上述の通り、葉がハート型であるため、恋人の植物(Sweetheart plant)などとも呼ばれるそう。私の買った、ブラジルという品種は、1991年に開発されてデビュー。もとのフィロデンドロンが、濃い緑一色の植物であるのに比べ、ハート型の葉っぱのそれぞれに、思いのままに筆で描いたようなライムグリーンのパターンがついているのが特徴。この色の組み合わせがブラジルの国旗に似ているため、ブラジルと命名されたようです。

この植物は、かつて、知り合いの家に遊びに行ったとき、彼女の居間に長く垂れ下がったのを見て、きれいだなと思い、「これ、なんという植物?」と聞いても、彼女は人からもらったから、と知らなかった。その時の強い印象は、葉っぱがハート型というより、若い葉が、今まで見た植物の中でも一番きれいなライムグリーンだと感じたこと。それが、先日、お隣さんが、読み終わったからと私に回してくれた植物雑誌に、フィロデンドロン ブラジルが紹介されているコラムを見つけ、あ、あそこで見たのは、これだった、と思ったのです。比較的日当たりのいい場所で直射日光を避け、水のやりすぎ、またはからからにさえしなければ、育てるのは簡単と書いてあったのにも、心動かされ、ネットに名前を入れて探し出しての購入となりました。


また、この植物、一回こうして入手すると、カットして増やすのが簡単なようで、すでに、小さな植物の茎のあちこちから根が生えているのが見える。これをちょんちょんと2つほど切って、さっそく増やしてみようと、土を入れた小さなポットに差し込みました。成長するかな。

 

さて、二つ目の我が家の新顔、ハートカズラは、ハートの糸(String of hearts)という俗名の通り、小さなハート型の葉っぱが、のれんのように垂れ下がっている多肉植物。19世紀後半、今は南アの一部であるかつてのイギリスの植民地ナタールで、ジョン・メドレー・ウッドによって発見。学名のCeropegia woodiiの後ろの部分は、彼の名からとられています。彼が、キューガーデンへこの植物を送ったことで、イギリスで知られるようになります。

英語に、pull/tug at the/one's heartstrings という表現がありますが、日本語で言えば、「心の琴線に触れる」のような意味で、何かによって、ハートストリングス(心の糸)がはじかれて、深い感銘を受ける、といったときに使う表現です。そんな言葉を具象化したような植物。(心の琴線などというのも、いい言葉だなあ、などと今さら思います・・・。)

 こちらも、小さなポットの上に、ハートの糸をアイスクリームのように巻き上げて、紙でラップされて、問題なく到着しました。葉を傷つけないようにしながら、この糸のからみを取るのに少々時間がかかりましたが。 ハート型の葉っぱは、小さくて、まこと、愛らしい。葉の模様は、シクラメンの葉を思わせます。 こちらのメンテ方法も、フィロデンドロンと同じ。よほど、ひどい状況で放っておかない限りは、ちゃんと生き続けてくれるようです。

 観葉植物は、コロナ下のロックダウンで、特に庭のないアパート住まいのひとたちなどに、緑を与えて、多少の心のやすらぎになっていましたね。そういえば、スティーブ・マーティンのロンリー・ガイ(The Lonely Guy)というコメディー映画がありました。いきなり恋人に捨てられ、独り暮らしのロンリー・ガイ(寂しい男)になってしまったスティーブ・マーティンが、筋金入りのロンリー・ガイと知り合い、彼から色々な、寂しさを紛らわす対処方法を授かるのですが、そのひとつに、観葉植物に話しかける、というのがありました。

私は、新しいフィロデンドロンとハートカズラをそれぞれ、ライムちゃん、のれんちゃんと名付けました。 話しかけてはいませんが、毎日、かわいいじゃん、と葉っぱを撫でてしまいます。きっとこれも、私の精神衛生のために、悪いことではないでしょう。

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