ゲインズバラ鉄道とチャペル・バイアダクト

チャペル駅から望むゲインズバラ鉄道
ロンドン、リバプール・ストリート駅から、イースト・アングリア地方のノリッチなどに向かう本線の途中の駅であるエセックス州マークス・テイから、サフォーク州のサドベリーを結ぶ支線はゲインズバラ・ライン(Gainsborough Line、ゲインズバラ鉄道)と呼ばれます。終点サドベリーが画家、トマス・ゲインズバラの故郷であるところから、わりと近年つけられた名前です。マークス・テイで、1時間に1本の、通常2両編成の電車に乗り換え。

マークス・テイ(Marks Tey)
チャペル・アンド・ウェイクス・コーン(Chappel and Wakes Colne)
ビュアーズ(Bures)
サドベリー(Sudbury)

と4駅のみ。風景が良く、田舎のぽこぽこ電車の雰囲気も抜群の、大好きな支線です。

以前、このブログで紹介した、ロングメルフォードラべナムクレアなどは、すべて、この支線を使ってサドベリーまで行き、そこからバスで出かけました。以前は、上記3つの場所も、すべて、サドベリーから電車でつながれていたのですが、赤字削減のために、1960年代に行われた、イギリス各地の鉄道の支線閉鎖で切られ、今は電車は走っておらず、この辺りでは、サドベリーを終点とするゲンズバラ鉄道だけが、何とか生き残ったのです。

途中駅のビュアーズからのハイキング道もとても良く、スタワー川沿いのドラゴン・ウォークのハイキングをした時は、ビュアーズ駅から出発しました。またチャペル・ウェイクス・コーン駅には、イースト・アングリアン鉄道博物館(East Anglian Railway Museum)があり、古い駅舎や列車を覗きながら、のんびりしたひと時を過ごせます。

チャペル駅の前で、鉄道は、レンガ造りのチャペル・バイアダクト(高架橋、Chappel Viaduct)の上を走り、コーン川(River Colne)を渡ります。チャペル・バイアダクトは、一説によれば、ロンドンにあるバタシー・パワー・ステーションの次に、イングランドで2番目に規模が大きいレンガ造りの建設物であると言うのです。何をもって規模が大きいとするのかには、議論の余地がありますが。約320メートルと、イースト・アングリア地方では一番長い高架橋で、アーチの数は32個。最高地点の高さは約23メートル。使用したレンガの数、700万以上。レールを2線ひける幅があるそうですが、単線です。1847年~1849年に製造されている、ビクトリア時代の優れたエンジニアリング技術の賜物のひとつ。マークス・テイとサドベリー間の鉄道も、この完成と共にオープン。

アーチの下に立ち横を見ると、こんな感じ。

ビュアーズからのみでなく、チャペルからも何度か、コーン川沿いにハイキングに出かけているのですが、ちょっと離れたところからも、振り返ると、この高架橋が眺められます。歩きながら、この上を電車が走っていたりするのを見ると、いいなあ、と思います。

外国人向けのガイドブックなどには、ほとんど紹介されていない場所でありますが、少し長めにロンドンに滞在し、鉄道マニア、または、ゲインズバラ、コンスタブルなどの画家の風景画が好きな人には、おすすめの路線です。サドベリーには、トマス・ゲインズバラの実家が博物館となったゲインズバラ・ハウスもありますし。

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