初のカラーテレビ体験は?

女王のダイヤモンド・ジュビリーの記事内で、女王の戴冠式の放送を見るため、テレビを買った人が多数いた・・・という事を書きましたが、1953年のBBCのエリザベス女王戴冠式の放送は、まだ白黒で、カラーテレビは巷にほとんど出回っていなかった時代です。

うちのだんなの、初のカラーテレビ体験は、エリザベス女王の長男、チャールズ皇太子が20歳になった年、北ウェールズのカーナヴォン城 (Caernarfon)で行われた、The investiture of the Prince of Wales(プリンス・オブ・ウェールズ叙位・授位の儀式)だったといいます。実家の近くに、電気機器会社、フィリップスに勤めている人がおり、その家庭が早くからカラーテレビを持っていたので、お母さんに連れられて見に行ったのだそうです。他にも、何人か近所の人たちが見に来ていたというのが、笑ってしまいます。ある意味では、物がさほど溢れていなかった時代の方が、近所との交流も多く、コミュニティー意識が高かったのかもしれません。

式が行われたのは、1969年7月1日のこと。世界各国で、これをテレビで見た人は、5億人、その内、英国内での視聴者は1900万人、ウェールズ内では、それまで過去最高のテレビ視聴率を獲得したイベントだったそうです。

プリンス・オブ・ウェールズは、古くから、英国王、女王の長男(皇太子)に与えられる称号です。(この称号に関しては、過去の記事「公爵という称号」に書きましたので、そちらを参考下さい。)チャールズ皇太子は、9歳の時にすでに、女王からプリンス・オブ・ウェールズの称号を受けていたものの、実際の式典は、彼が年長になり、事情がわかるまで延期。The investiture of the Prince of Walesは、言ってみれば、王女王の戴冠式に相当するものだそうです。儀式の前、しばらくの間、チャールズ皇太子は、ウェールズの言葉、歴史、文化のお勉強をし、式後は4日間ウェールズを回るツアー。

ウェールズ内には、反イングランドの気持ちを、もんもんと持ち続ける民族意識の強い一部の人間もいるため、当儀式は、ウェールズ人に対する侮辱だ、とのプロテストなどもあり、爆弾騒ぎの噂も流れ。かつては、北ウェールズで家を買ったイングランドの人間が、反感を持つウェールズ人に、家を焼かれてしまう・・・などという事件もあったりしたようですので。

最終的には、この儀式、ウェールズ内部でも、一般受けは良く、ウェールズの観光の促進に繋がるという期待もあった様子。実際、うちのだんなの家族も、この直後、ここぞとばかりにウェールズ旅行に繰り出しています。この時、だんなは、自分のおこづかいで、プリンス・オブ・ウェールズ叙位記念ティータオルをみやげに買って帰っています。ウェールズの赤いドラゴンの絵が入っていたのが気に入ったのだそうで。この記念ティータオル、今でも、うちのロフトのどこかにしまいこんであります。私が、日常、何の気なしにがんがん使って、せっかくの記念品が擦り切れると困ると思い、私から隠してあるようですが、ちゃんと言ってくれれば使ったりしないのに、まったく。

さて、私が初めて日本で見たカラーのテレビ番組は何だったか・・・うーん、思い出せないっ!

*これを書くにあたり、BBCのウェールズの歴史に関するサイトを参考にしました。リンクはこちらまで。上の写真も当サイトから拝借。女王陛下が被っている変な形の帽子がちょっと気になります。

コメント