エリザベス女王のコーギー

1933年、まだ王様になる前のエリザベス女王のお父さん、後のジョージ6世は、7歳の娘に、ウエルッシュ・コーギー・ペンブルック(Pembroke Welsh Corgi、略してコーギー)という種の犬をプレゼント。幼いエリザベスは、この犬にドゥーキー(Dookie)と名をつけ可愛がる・・・これが、現エリザベス女王と彼女の愛犬コーギーたちの関係のはじまり、はじまり。コーギーは、イギリスのウェールズで牧畜犬として使用されていた、小型コリーの足を短くしたような見かけの犬です。

時がたち、今度は、エリザベス18歳の誕生日に、父王は、コーギーのスザン(Susan)をプレゼント。スザンは、エリザベスとフィリップ王子の新婚旅行にもお供。現在の女王のコーギーたちは、30匹の子犬を生んだというスザンの子孫たちだという事です。

コーギーは、上記の通り、もともと牧畜犬であり、お利口ではあるものの、牛を後ろから追いながら、そのかかとを噛んだりして家畜を集める犬であるため、時折、人間の足首にもかみつくことがあるらしいです。女王のコーギーに噛まれたという人も幾人かいるようですし、実際、エリザベス女王も、一度、コーギーたちの間で巻き起こった喧嘩を止めようと中に入り、手を噛まれ3針縫うというケガも負っています。それでも可愛いんでしょうね。女王が何匹かのコーギーを引き連れて、王宮の廊下や庭を歩く姿は、おなじみです。

なんでも、メインのお食事の高級ドッグフードを、女王自ら、銀のスプーンとフォークを使って食べさせており、このお犬様たちは、朝は、女王と共にマーマレードをぬったトースト、アフタヌーン・ティーには、バター付きのスコーンも召し上がるのだとか。本当かな・・・。一部の人間よりも贅沢な食生活かもしれません。

英語の表現で、
born with a silver spoon in one's mouth
銀の匙を口にくわえて生まれる
というものがありますが、「高貴な家、または裕福な家庭に生まれる」という意味です。
He was born with a silver spoon in his mouth, and went to Eton and then to Oxford.
(彼は裕福な家庭に生まれ、イートン校、そしてオックスフォード大学に通った。)

女王のコーギーたちは、まさに、銀の匙をくわえて生まれて、銀の匙で食事を続ける高貴なお方たち。

もっとも、最近は王室のコーギーでなくとも、ワンちゃん、猫ちゃんの食事その他もろもろに大金を注ぎ込む人は多いそうで、友人が、「うちのそばに、グルメのペット用の、オーガニック素材を使った手作りデリカテッセンができた。ちょっと覗いたら、人間が食べてもよさそうな、おいしそうなものが並んでた。」などと言っていましたし。

さて、ウィンザー旅行中、通りかかった小さな公園で、上に載せた写真の、コーギーに囲まれた普通のおばさん風のエリザベス女王の銅像を見ました。「The Windsor Lady」(ウィンザー夫人)というタイトルで、女王のダイヤモンド・ジュビリー(即位60周年記念)であった2012年に設置された比較的最近のものでした。

ウィンザー城内のお土産物屋さんでも、ショーウィンドーに、冠をかぶったコーギーのぬいぐるみが飾られており、店内には、ぬいぐるみ以外にも、盛んにロイヤル・コーギー(王室のコーギー)グッズが売られていました。白状すると、実は、私も商法にのせられ、ロイヤル・コーギーのイラスト入りの鉛筆入れを買ってしまった・・・。

ついでながら、冠とダイヤモンド・ジュビリーと言えば、テムズ川沿いの別の公園内には、王冠を模した、やはりダイヤモンド・ジュビリーの年に記念に作られた噴水もありました。

まだ、あまり人もいない朝にここを通過しましたが、ウィンザー城を背景に水しぶきがキラキラする様子は、なかなか綺麗でした。

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