妖精の輪

じとじととした8月でした。雨が多かった上、気温もいまひとつぱっとせず、袖なしのシャツなどはほとんど着ずに夏が終わりそうな感じです。そのせいか、やたら、最近、外を歩いていて、きのこが目に付くのです。

先日も、歩きに出かけた教会の墓地で、菌輪を目撃。菌輪とは、きのこが輪を描くようにして生えているもの。英語では、妖精たちが輪になって踊った場所から、きのこが生えてくるとして、フェアリー・リング(fairy ring)とか、フェアリー・サークル(fairy circle)などと呼ばれ、日本語の菌輪より、ずっと可憐なイメージです。上の写真のきのこは、フェアリー・リングを形成することが多いと言われる、シバフタケ(学名:Marasmius oreades)、英語では俗にフェアリー・リング・マッシュルーム(fairy ring mushroom)とも称されます。

きのこというのは、地下で育成する菌糸体の、実の部分に当たるもので、菌糸体を含めた全体の10%くらいにしか満たないのだそうです。残りは、道行くものには見えない、芝生の下で他の物から養分を取って生きているわけです。菌子体をりんごの木に例えると、きのこは、りんごの実にあたるという説明を、以前聞いた事があります。

菌は、放射状に成長を進めて行き、きのこが、菌糸体成長の最前線で、輪状に外に現れてお目見えする事となります。きのこの生えている部分の芝生が、枯れてしまっているのは、その下の菌糸体が、土壌の栄養を吸収してしまって、芝へ栄養が回らず、また、菌糸体が、水分を土壌に通さないため。いずれにせよ、外へ外へと、発育場所を移動させるにつれ、輪も大きくなっていくのでしょう。最近、見かけたものは、上の写真の他にも、大体、直径1.5~2メートルくらいの、皆、似通ったサイズでしたが。

カビを含む菌類を指す言葉は、英語ではfungus(ファンガス)、複数形は fungi(ファンガイ、または、ファンジャイ)。一部のファンガスの実にあたるキノコは、英語で、mushroom(マッシュルーム)。時に、toadstool(トードスツール)という言葉も使用されます。「toadstool」は、直訳すると「ヒキガエルの腰掛」と、メルヘン系名前です。一部英和辞典では、「toadstool」を「毒キノコ」として訳しているようですが、マッシュルームが毒のないキノコで、トードスツールが毒キノコという定義は、特にはないのだそうで、両方とも、キノコと訳してOK。特に、腰掛形(というか、傘形)をしたキノコは、基本的に「toadstool」と呼んで間違いはないようです。マッシュルームと呼ばれるものの中には、形が、傘形以外の、ただの丸形や筒形をしたものなども含むという事。ただし、食用のものは、たしかに、すべてマッシュルームと呼ばれている感じで、トードスツールを食べるという感覚は無いというのはありますが。日本のシイタケなども、シイタケ・マッシュルームなどと称されてスーパーで売られていますし。当然、食べられないマッシュルームもあります。

マッシュルームとトードスツールの定義に関しての参考サイトは下まで。
https://www.rhs.org.uk/advice/profile?PID=469

「エメラルド色をした芝生いのち!」タイプのガーデナーにとって、庭の芝生に出現する菌輪は、ちょっと、困った奴かもしれませんが、戸外で、菌輪に遭遇するのは、わりと楽しいものです。この妖精の輪をながめながら、妖精ではないですが、日本の「森の小人」という童謡を思い出しました。

森の木陰でどんじゃらほい
しゃんしゃん手拍子足拍子
太鼓たたいて、笛吹いて
今夜はお祭り、夢の国
小人さんがそろって、にぎやかに
あーほーい、ほーいのどじゃらほい

小人(妖精)たちが、フェアリー・サークルを作って、キノコの上で楽器を弾いたり、走ったり、飛び跳ねたりしている様子が想像できます。

コメント

  1. 写真、クリックでもっと大きいのが見たかった。クリックしても同じサイズ・・

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    1. ウィキペディアで菌輪と調べると、いくつか大きい写真ありますよ。

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