オバマ大統領とセルフィーでチーズ!

セルフィー(selfie)は、オックスフォード英語辞典により、2013年の「今年の言葉 ワード・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた新語です。日本で言う、携帯電話のカメラで写す、自分撮りのこと。

昨日、世界各国の要人が集まり、雨の中行われた、南アでのネルソン・マンデラ氏の追悼式。今朝、その模様を報道する英国の新聞の多くが一面記事に選んだ写真は、デンマークの美人首相、ヘレ・トーニング=シュミットが、オバマ大統領とデービッド・キャメロン首相に挟まれて自分撮り(テーク・ア・セルフィー)する姿。そして、脇には、憮然とした面持ちのミッシェル・オバマ夫人。「なによ!ブロンド女に鼻の下のばして!後で、ゴツンだわよ!」とでも言いたそうな顔で。ジムで鍛えた立派な二の腕の持ち主であるし、怒らせたら怖そうです。それにしても、あー、気の毒に。昨今、有名人たるもの、気を許せないのです。どこで、誰が、面白いシャッターチャンスを狙っているかわからないので。新聞のみならず、昨夜のテレビニュースでも、この仏頂面のオバマ夫人は話題になっていました。

ちなみに、トーニング=シュミット首相は、過去のイギリスの労働党リーダーであったニール・キノック氏の息子と結婚しており、このセルフィーの事を聞かれたキャメロン首相は、「キノック家の一員から、セルフィーを一緒に撮ってくれるよう言われたら、当然、了解する。」と、上手くかわしていました。

マンデラ氏追悼式は、こちらでは、かなり大々的に報道されていたものの、儀式としては、少々インパクトに欠ける、だらだらしたものとなっていました。おまけに、スピーチをしている人物の隣に立って手話をしていたお兄さんが、まるで、でたらめの手話をしていた事まで発覚し。彼は、以前にも政府の行事で手話をした事があるのだそうで、その際に、耳の聞こえない人たちの団体が、「あの手話、まるで無茶苦茶や。」と苦情を入れたというのですが、政府はまるでそれを無視。挙句の果て、世界が見守る中で赤っ恥をかく事となったのです。やはり、今の政権、ちょっと、いいかげんなのでしょうね、これは。手話兄さんは、ラジオに登場して、「自分のパフォーマンスを誇りに思ってる」なんて言ってましたが、ダンスじゃないんだから・・・。そして、「巨大エンジェルが、スタジアムに降りてくるのが見えて、動揺して、その後、手話がぐちゃぐちゃになった」あなたねー、最初から、ぐちゃぐちゃなのよ。

めちゃくちゃ手話兄さん、オバマ自分撮りの他、追悼式で話題となったのは、汚職の噂流れる現南ア大統領のジェーコブ・ズマが登場したときに、南ア国民観客の一部から巻き上がったブーイング。アパルトヘイト後の南アのニックネーム、「レインボー ネーション」(虹の国家)をもじって、「レインブー ネーション」というヘッドラインを載せる新聞もありました。そして、また、オバマ氏と、米の宿敵キューバのラウル・カストロとの握手。数ある来賓のスピーチの中で、一番観客に反響がよかったのは・・・やはりオバマ大統領のものでした。カリスマというやつでしょうか。どんな場でも、彼にみんなの焦点が行くというのは。オバマさんのスピーチは、ネルソン・マンデラのように、人種、グループ、部族、思想云々を超えての理解と交流を、というような内容。だから、まずは、自分から、とラウル・カストロとも握手したわけです。ラウルの兄さんのフィデル・カストロは、マンデラ氏と同じ弁護士あがり。昔、マンデラ氏の大統領就任式に参列していました。フィデル・カストロが、ネルソン・マンデラを、すばらしい人物と褒めているインタヴューも見た事があります。長年に渡り、反アパルトヘイト支持のキューバは、マンデラ氏とは、良好な関係であったようです。批判者も多いでしょうが、カストロ兄弟とキューバは、私は、いまだ好感持っています。

更に、マンデラ亡き後の南アの将来が心配になるニュースとしては、元ケープタウン大主教のデズモンド・ツツ氏が、追悼式でスピーチをしている最中に、彼の自宅にどろぼうが入った・・・というもの。時代遡り、ネルソン・マンデラの大統領の就任式には、南ア内の大都市で通報された犯罪はゼロだった、というのと対照的です。

さて、セルフィーに話を戻しますが、この言葉の使用される頻度は、この1年で、1万7千パーセント上昇したということです。カメラつき携帯を常に持ち歩く人が増えるに従い、1日に撮られるセルフィーの数の上昇もかなりのものがあるでしょう。そして、撮ったものを即座に知り合いに送信し、「ほら見て、オバマ大統領と撮っちゃった!」とシェアできる。セルフィーは、すでに、オックスフォード英語辞書のオンライン版には、挿入されているそうです。実際の、印刷版に挿入される日も遠からずでしょう。

ところで、こうして数人で、頭をくっつけてセルフィーを取る事で、毛じらみを他人からもらってしまうという人の数も増えているという可笑しい話も耳にしました。ぱちりとやったあとに、「お、かゆいぞ!しまった、トーニング=シュミット首相から、毛じらみもらっちゃった!」なんて事は・・・まあ、無かったでしょうが。

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