ハーベストムーン、ハンターズムーン、ブルームーン
通常の場合、1年に12回現れる満月には、それぞれニックネームがある。主に北米先住民の文化から来たものだそうだ。
今年(2024年)は、9月18日がハーベストムーンと呼ばれる満月、10月17日がハンターズムーンという満月の夜だった。両方とも、先人の息づかいを感じるような季節感漂うニックネームだ。
ハーベストムーン(Harvest Moon 収穫月)は、日本の中秋の名月と同時期の満月(ただし中秋の名月は必ずしも満月とは限らない)。往々にして秋分の日に一番近い満月で、夏も終わり収穫の時期であることに起因する名前。この時期、月は明るく、出るのも早く、農民は長い時間収穫を続けられる。
上の写真は、先月のハーベストムーンの1日前に取った。もんわりとした薄い雲が流れる日で、それが月を見え隠れさせる様子に趣があり、しばらく庭に突っ立って見ていた。翌日の実際のハーベストムーンは、雲のない空に煌々としていた。明るいなとは思ったが、私は前夜の月空の方が気に入った。
ハーベストムーンの次にやって来る満月が、ハンターズムーン(Hunter's Moon 狩猟月)。草木も枯れ、木々の葉も落ち始め、夏の間に肥え太った獣たちを狩るのに適した季節ということから来たようだ。ハーベストムーン同様、明るく、空に輝く時間も長いので、狩人が獣を追い求めるのに十分な時間がある。
更に、今年の8月19日は、ブルームーン(Blue Moon)と呼ばれる満月の夜だった。
通常、満月と言うのは1年に12回あるわけだが、月の周期(29.5日)と暦の日数に差があるため、大体2年半に1回の割合で、これが13回ある。この通年より、ひとつ多い満月がブルームーンと呼ばれるのだが、その定義は2つ。ひとつめは、伝統的な、天文学的季節を単位としたブルームーン(Seasonal blue moon)。ひとつの季節に満月は通常3回だが、それが、ある季節に4回ある場合、その3回目の満月をブルームーンと呼ぶ。ふたつめは、ひと月を単位としたもの(Monthly blue moon)。ひとつの月に2回満月がある時、その2回目の満月をブルームーンと呼ぶ。
今年8月19日の満月は前者の定義の季節的ブルームーンだった。
ブルームーンの名の由来は、青い色とは無関係らしい。実際、月を見て青だと感じる人はいないだろうし、大体、月が青かったら、夜空を背景に良く見えない。
ただし、1883年にあったインドネシアのクラカタウの大噴火の後、吹きあがった噴煙で赤色が届かずに、青色のみが通過して、数年間、月が本当に青味がかって見えたのだそうだ。
「月がとっても青いから、遠回りしてかーえろー」
などという古い歌があった。
作詞家は、ブルームーンという言葉からインスピレーションをうけたのだろうか。月の色がどうであれ、満月を見る度にいつの間にか頭に流れてくる歌だ。
参考:グリニッチ博物館「なぜ満月には特別な名があるのか」(英語)
BBCスカイ・アット・ナイト・マガジン ブルームーンについて(英語)
仙台市天文台 Q2-4中秋の名月が必ずしも満月でない理由
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