マイナー観光地を探せ!

インバウンドなる、 日本への外人観光客の足が戻りつつあり、浅草や築地が大変な混雑だとか。日本一時帰国からイギリスに戻った後、東京の友達が、浅草行ったら、とても混んでいて嫌になり、すぐ帰った、と写真を送ってくれました。私も、浅草は、昔はよく行ったのですが、混雑が過熱してきてからは一切足を運んでいません。

観光関係者や業界にとってはありがたいインバウンドも、直接に利益のない地元民にとっては、悩みの種ともなり。京都を含む世界の有名観光地のオーバーツーリズムは問題になりつつあります。鎌倉などもね・・・昔、小津安二郎の映画で、原節子さんが佇んでいた、ひそやかな北鎌倉の駅は、今や、プラットホームを出るのも大変なほどの人で、当時の面影は映画の中だけ。

訪れる側としても、「ちぇ、また観光客かよ。うんざりだぜ。」などと現地民に思われるのも、寂しい話です。しかも、お金さえ落としていかず、地元にメリットのない観光客は、人気観光地の原住民にとって、「人混み」というより「人ゴミ」と化してしまう事も。今回の日本への帰国中、熊本の友人に会いに行った際、一緒に天草を旅行し、イルカウォッチングへ出かけるのに、たまたま乗ったタクシーの運転手がとても人のよさそうな人で、「天草に来てくれてありがとう」と感謝されました。「また来た」と思われるより、そりゃーずっと気持ちがいいですよ。

ゴールデンウィーク中も日本にいたのですが、この期間や滞在中の土日は、とにかく実家のある千葉内周辺の、あまり人がいかないようなマイナー観光地を選んで行動しました。

もっとも、私がイギリスで住んでいるエセックス州同様、大体において千葉は、成田山や夏の海岸、そして東京(!)ディズニーランドを除いて、それほどの一大有名観光地もなく、休日に、ぐちゃぐちゃに混む可能性があるのは、ぱっと頭に浮かんだだけでは、マザー牧場とか、アンデルセン公園とか、鴨川シーワールド・・・そのくらいですかね。以前、イギリスで、地元のウォーキンググループのハイキングに参加した時、隣を歩いていたおばさんが、「エセックスは観光客に一番人気のない州なんですってよ。でもいいわよね、その分、自分たちで独占できるから。」確かに!はたから、アンファッショナブルで、何もないと思われている場所にも、そういう利点があるのです。有名どころはないけれど、それなりのいい風景はあるし。

だから、千葉内では、自然の中で静かな雰囲気を楽しみたいだけだった私は、それなりに心安らぐ場所を尋ねることができました。

こういった場所は、別に観光客が増えたと言って地元にメリットもないであろうし、いつまでも、こうした静かな雰囲気であってほしいと思うのですが、一方、これは、ぜひとも、もう少し観光客に来てほしい、という場所もありました。

滞在最後の方に乗車した小湊鉄道などが、それ。土曜日に行ったのですが、車両の埋まり具合は半分以下。乗っている私たちにとっては、ゆっくりできるから良かったのですが、経営難を噂され、廃線の危機もありえる路線なので、もっと観光客に年間通して乗ってほしいという気持ちはあります。無くなってほしくないから。あちこちで、撮り鉄してる人たちも、電車の窓からよく見かけましたが、この人たちにも、無料で外から撮る他にも、ばんばん乗って、経営に協力してあげてほしい。同じ車両に白人観光客が2人乗っていましたので、インターナショナルにもなりつつある?

小湊鉄道、最後から2番目の駅、養老渓谷駅で降りて、粟又の滝を訪れましたが、よかったですねえ、ここも。駅からバスに乗らねばならないので、路線沿線の他の場所に行く余裕はなくなりましたが。小湊鉄道の乗り放題チケットというのを買って行ったのですが、本数が少ないので、時間的に、何回も乗ったり下りたりができないというのがみそです。まあ、もとをとろうなんて考え、走り回らずに、ことことレトロな電車に揺られながら、タイムスリップを味わうのだけでもいいもんです。それこそ、観光地を潤すという意味でも、泊りがけでいけばよかったかな、と今になってから思っています。

軽食を販売する里見駅プラットホーム

途中、里見駅で少々長い停泊をして、プラットフォームで焼きそばやおにぎり等の軽食の販売がありました。近郊にチバニアンがあるので、ニアン団子と命名された団子を友人が買って、それを車内で食しました。なんでも、チバニアンの断層を意識して、作った団子なんだそうで。地元の人たちも、色々考えますな。ここで降りたら、ぜひニアン団子をお試しあれ。

小港鉄道と、上総中野駅で連結して最終的に、太平洋側の大原までたどり着く、いすみ鉄道なども、廃線の可能性のある路線だそうで。あれは、今回乗り損ねたので、次回、帰国の際に、小湊鉄道とともに乗ってみたい。首都圏で遊びに行く場所に悩んでいる人にも、ぜひ行って乗って、応援してほしいところです。

あと、人がいなかった場所と言えば、加曾利貝塚ですね。縄文時代の貝殻の山と、竪穴式住居の再現されたものを、わざわざ見に行く人もあまりいないようで。ボランティアガイドさんの数の方が、訪問者より多かったのか、敷地内、2人のガイドさんに案内されるというVIP扱いを受けました。

加曾利貝塚マスコットのかそりーぬ

ちなみに、加曾利貝塚のマスコットは、かそりーぬという犬だそうで、縄文時代には、すでに、犬が飼われいて大切にされたという事から、加曾利+いぬ=かそりーぬ、という事なんでしょう、結構、いけるキャラだと思います。イギリスの地方自治体なんかも、日本をお手本に、こうしたご当地キャラとか作って、宣伝活動を展開してくれると楽しいのに。

私は千葉のモノレールに乗るのがわりと好きなので、モノレールで行ける加曾利貝塚が以前から気になっていたのはあります。

千葉市動物園内から眺めるモノレール

加曾利貝塚訪問後、やはりモノレールを利用して、20歳になった風太くんのいる千葉市動物園に立ち寄りました。風太は年でもう立ちはせず、ほとんど昼寝しているようです。大混雑であろう上野動物園へ行くよりも、くつろぎの時間を過ごせます。個人的には、パンダよりレッサーパンダの方が可愛いと思いますし。まあ、希少価値ですね、パンダは。

見ていて一番楽しい千葉市動物園のフクロテナガザル

見学する分には、レッサーパンダよりも、上の写真のフクロテナガザルなどを含むお猿さんたちが見ていて楽しいですかね。フクロテナガザルのアクロバット的動きと、おたけびは、レッサーパンダよりも、この動物園の目玉ではないかという気さえします。

この、「我関せず」風の座禅ゴリラも、おかしかった。

千葉公園

さて、千葉県外に目をやって、今回、熊本市、鹿児島市、山形市と3つの県庁所在地に足を踏み入れたのですが、熊本市、鹿児島市からは、活気のある町の印象を受けましたが、山形市の街中がとにかく、静かで、人がいなかった・・・。

山形城跡を使用した霞城公園なども、私が近郊に働いていた、こういうところでお弁当食べるだろうなという、いい雰囲気の場所なのに、昼時でありながら、観光客はおろか地元の人もほとんどおらず。最上義光(もがみよしあき)像もなんだか、寂しいのではないか、これでは。(最上義光というと、私には、NHK大河の独眼竜で、この役をやった原田芳雄のイメージですね。というか、あのドラマに描かれたくらいの知識しか、この人に関しては持っていなかったです。)

この霞城公園内部には山形博物館もあり、ここには国宝の縄文の女神なる土偶もあります。人がいないので、これも、ゆーっくり見れました。前衛アートみたいな形してます。昔の人のクリエイティビティー馬鹿にできません。

公園内には、他にも、明治6年に私立病院として建てられたという済世館も。これが病院と思うくらい、美しい建物です。

このほか、全山形県庁として大正15年に建てられたという文翔館内も見学。ここも、人がほとんどいなかったなあ・・・。それなりに見るところがある町なのに、なぜにここまでしんとしているのか。

一方、芭蕉も訪れた山寺などは、外国人観光客も多く、かなりにぎわっていたのに。「閑さや・・・」と詠みたくなるのは、山寺よりも、山形市内の方でしたね。山寺や蔵王、その他の観光地に行くのに通り過ぎるだけの場所となっているのでしょうか。近くに行ったら、寄ってみてください。

上記した場所のどこも、京都や鎌倉に行ったことがない人にとっては、そうした観光地を差し置いてまで行きたいとは思わないでしょうが、あれも見なきゃ、これも見なきゃというプレッシャーに疲れを感じた人、どっかのんびりできる場所を探す人には、穴場だと感じます。多くを期待しないで行くことが多いので、「結構いいじゃん。捨てたもんじゃないじゃん。」という満足度も高い。

最後に、以前の記事で、写真はもうあまり取りたくない、風景を頭に焼き付けるのじゃ、などとかっこいいことを書いた私ですが、今回の日本旅行、結構、取りましたね。😅要は、コロナ期にあまり出かけず、新しい場所に行っていなかった人間の負け惜しみか・・・なんて感じ。ブログで、えらそうに決意を示すことなど、あまりしないようにしようと反省しました。もっとも、常時、写真撮らなきゃと思う事はなくなり、取る量は、以前に比べ減りましたがね。取ったからには、使おう、何かの形で残そう、というのもあって、こうしてブログポストを書いてるというのもあります。

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