木の実の季節とくるみ割り

殻に入ったままの色々な木の実を、スーパーからどっさり買ってきました。どんぶりに、ざらざらと全部あけて盛っておくと、秋にはぴったりのムードになります。

すでに殻をむいてあり、食べやすいナッツ類はいくらでも売っているのに、こういうものを買ってしまうのは、やはり季節を感じたいから、というのが強いのでしょうか。夕食後、テレビを見ながら、木の実をひとつひとつ取り上げて、ナットクラッカー(くるみ割り)で割っていくのも、面倒でいながら、原始的で、楽しいものがあります。ただし、ガキっと割った木の実の殻の小片が、いくつか、勢いよく、部屋のかなたに飛んでいき、後で、カーペットにはいつくばって拾い上げねばならぬ、という手間も出てきますが。

それでは、ここで、木の実あてクイズ。これら4つの木の実がどのナッツだかわかりますか?答えは、最後に書いておきます。

ちょいと脱線しますが、先日、テレビの園芸番組を見ている時に、ピーナッツを育ててみた、という人が、ずぼずぼっと土からピーナッツを取り出したのを見て、うちのだんなは、「え、ピーナッツって、枝からぶらさがってるものかと思ってた。」と、衝撃を受けていました。地面の下になるものだと、今まで生きてきて初めて気がついたようです。たしかに「ナッツ」とは言いますがね・・・。私は、子供の時、遠足でピーナッツを抜きに行った記憶があります。

さて、本物のナッツの殻を割るための、我が家のくるみ割りは、一番上の写真でもわかるように、U字型をしていて、圧力測定でもするように、片手でぐっと握るタイプです。だんなの両親が使っていたもので、フランス製。

Creation "Moulin Legumes"  Made in France
Mouli Nutcracker  Patent Pending

ムーラン・レギューム作 フランス製
ムーリ・ナットクラッカー 特許申請中

という文字が刻まれています。

調べて見ると、このムーラン・レギューム(直訳は「野菜風車」)社は、ジャン・マンテレ(Jean Mantelet)という人物が、1930年代にきずいた会社で、最初は、ムーラン(野菜ミル)と呼ばれる、ハンドルをぐるぐる回して、野菜を裏ごしし、ピューレ状にする台所用品を発明し、販売し始めた会社です。彼のこの野菜ミルが、後のフード・プロセッサーの先駆けと言われています。会社は、後にMoulinexという社名に変わっていますが。

そもそもの始まりは、ある日、マンテレ氏が、奥さんの作るポテト・ピューレが、なんだかスムースじゃなくてぼこぼこしてると、ちょっと文句を言ったところ、奥さんに、「そんなことができるような、まともな台所用品が無いんだから仕方ないじゃない。」と反撃された事にあった、と言います。氏は、そのまま、ワークショップとして使用していた庭の小屋にたてこもり、とんてんかんてん、なめらかなピューレができる、野菜ミルを作り出す、というわけ。発明とはこういうものかもしれません。ある事ができない、といわれ、それをできるようにする道具は無いものかと工夫してみる。パナソニックの松下幸之助氏が、室内にソケットが一つしかないため、アイロンをかけたい姉と、本が読みむための明かりを使いたい妹が争っている会話を聞いて、二股ソケットを発明した、というのと似たような感じですか。

ムーラン・レギュームは、こうした台所、食べ物関連の手動の道具を製造し、くるみ割りは1950年代に売り出されたもので、当時はかなりの数を売りさばいたようです。一生使うつもりでいます。

庭のセイヨウハシバミの木
さて、我が家の庭の一番奥には、セイヨウハシバミの木が生えています。セイヨウハシバミの実は、ヘーゼルナッツと呼ばれるものです。10年以上前の秋、うちのだんなが、町のマーケットの野菜の屋台から、イギリスのケント州からの取れたてヘーゼルナッツを買って来て、その実をひとつを植えたのですが。それがずんずん大きくなって今日に至っています。イギリスでは原生の木で、ヘーゼルナッツは、狩猟採集をして生活していた石器時代の人たちの重要な食料のひとつであったようです。当時は、くるみ割りもなく、石でがんがん叩き割っていたのですから、お疲れ様。

今年の収穫の一部
この木から、毎年、秋には、バケツ1杯くらいのヘーゼルナッツの大収穫ができます。

今年になってから、これに目を付けた灰色リスが、毎日のようにやって来て、実を取っては、庭のそこら中に埋めています。先日も、鉢植えの花を処分して、球根を植えようとしていると、リスに埋められたヘーゼルナッツが現れました。

そうかと思うと、今度は、その植えたばかりの球根の鉢に、さっそく、リスがヘーゼルナッツを隠しているところを発見。やれやれ・・・。

近所の人も、リスが芝生に何か埋めているのを見たと言っているので、近所の庭のあちこちに、木がにょきにょき生えて来やしないかと、少々心配ではあります。セイヨウハシバミの木は、毎年短く刈り込んで垣根に使用するというのも可能でしょうが。

私の季節の木
セイヨウハシバミは、まだ、なんとか、その緑を保っていますが、2階の寝室の窓から見える、私が「季節の木」と呼んでいる、四季の移り変わりのバロメーターとして眺める木の葉は、すでに赤茶色に染まり、葉を落とす準備態勢に入りつつあります。

木の実あてクイズの答え
左から、くるみ(ウォールナッツ)、ピーカンナッツ、ブラジルナッツ、アーモンド
アーモンドの殻はとても固く、くるみ割りで砕くのも、わりと大変です。

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