トラファルガー広場のクリスマス・ツリー

気がつくと、もう12月も半ばにさしかかろうとしています。スコットランドやイングランド北部では、場所により、雪騒動が始まっているものの、こちらはまだ、今のところは、比較的マイルドな冬。本日も、強風ではあるものの、妙に生暖かい風が吹いています。

昨日、トラファルガー広場を通りかかりました。トラファルガー広場、毎年恒例のクリスマスツリーは、すでに設置済みです。「屋根より高い鯉のぼり・・・」ではないですが、ツリーの背丈は、日本の民家の屋根よりは高いかもしれませんが、ネルソンズ・コラムより少々低め。

トラファルガー広場のツリーは、1947年以来、毎年、クリスマスのシーズンになると、第2次世界大戦での、ヒトラーをへこます為の協力と尽力のお礼に、ノルウェーから送られてきます。オスロ市民から、ロンドン市民への友情のしるし。数年前、テレビで、ノルウェーの森で、子供たちがキャロルを歌う中、トラファルガー広場用に選ばれた木が切られている様子を放映しているのを見たことがあります。クリスマスシーズン終了後、ツリーは、ちゃんとリサイクルされるそうですので、エコが気になる方はご心配なく。

ツリーの他に、現在、広場に設置されている電光掲示板は、来年夏のロンドンオリンピックまでの秒読みボード。上の写真を撮った時点では、開会式まで、233日と3時間15分41秒。この裏側は、パラリンピック開催までの秒読み表示になっています。

人との待ち合わせの時間まで間があったので、トラファルガー広場北側に位地するナショナル・ギャラリーに足を踏み入れました。

ナショナル・ギャラリーの常時展は入場無料ですが、現在、レオナルド・ダ・ヴィンチの特別展が行われていて、こちらは、有料なのですが、大変な人気だそうで、その混みようから、じっくり見れない、と不満の声も出ている模様。ポーランドのクラクフにあるチャルトリスキ美術館蔵「白貂を抱く貴婦人」(Lady with an Ermine)などが目玉のようです。ルーブル美術館からは、「ミラノの貴婦人の肖像」(La Belle Ferronnière) がお目見えしているようですが、さすがに、モナリザは、来ていません。ルーブル美術館の箱入り娘は、最近は、たとえ近場のロンドンへでさえ、旅をさせるには、あまりにも貴重で、外に貸し出すには、危険すぎるのでしょう。1974年には、東京で展示され、赤ペンキを引っ掛けられる騒動にもあっている絵ですから。ルーブルに足を運んだ時、「モナリザはこちら」という矢印を追って辿り着いた絵の周りは、押すな押すなの大変な人ごみでした。聖地を訪れる巡礼者の気分になったのを覚えています。

混雑した道路で、ドライバーがイライラを爆発させ、切れてしまったり、他ドライバーの運転の仕方が気に食わず、大喧嘩に発展したりする事を、英語でロード・レージ(road rage 直訳:道路激怒)等と言いますが、最近は、こういった人気画家の特別展での混雑のため、他人の頭が邪魔で絵が良く見えないなどの理由で、切れる人が出、それを指して、ミュージアム・レージだなどと、多少ふざけて称されるのを聞いたりします。

私は、ダ・ヴィンチ展は見合わせ、館内で、ミュージアム・レージの心配が要らない、比較的静かで、人の少ないギャラリーを選んで、今まで見落としていたり、あまり馴染みの無かった絵画をいくつか眺めました。こうして、少し高尚な気分になり、再び外へ出た時には、ツリーは点灯されていました。

経済危機で、消費者の財布の紐は固い、だなどと報道されていますが、ウェストエンドの人ごみは、いつもの12月とほぼ変わらず。皆、雰囲気を味わいに、町へは繰り出すものの、実際に、お買い物はさほどしていない、という事でしょうか。

うちも、今年だけに限らず、金額が張るものの買い物は、クリスマスが終わってからの値引きセールが始まってからというのがもっぱらです。

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