ウィロー・パターン

イギリスの陶器の歴史に関するテレビ番組を見ている時、「これは、どこの家庭にでもありそうなウィロー・パターンの陶器・・・」と、上の写真の陶器の柄が画面に映りました。ある、ある、うちにもひとつあるのです。うちのはデザート用のボールで、一体いつ、どうやって入手したかも覚えていない。今の家の前の持ち主がおいていったものだったかもしれません。ロンドンで下宿していたころも、キッチンに備え付けでおいてあった食器がこの柄だった気がします。

ウィロー・パターン(Willow Pattern 柳柄)または、ブルー・ウィロー(青柳)と呼ばれるこの柄は、1780年に、イギリス陶器の老舗、ミントンの創始者、トマス・ミントンによって考案されたデザインで、色は青と白のみを使った、中国風デザイン。この柄には、お話がついているのですが、これは、中国の本物の伝説ではなく、この柄の陶器のセールス促進のために、デザインに組み込まれている要素を用いて作られた、イギリス製、偽伝説。

ウィロー・パターン伝説をざっと書くと・・・

昔々、ある中国の官僚に、美しい娘がおりました。官僚に使える秘書は、この娘に恋していたのですが、官僚は、秘書ごときに、大切な娘はやれぬと、彼を解雇し、2人が会えない様に、家の回りに塀を立てます。彼は、娘を有力な貴族と結婚させる事とし、この貴族は、結婚のため、贈り物の宝を積んで、船に乗ってやってくるのです。ところが、宴の後、変装をした秘書が、館に乗り込み、娘を連れて逃げます。館の者たちは橋を渡って逃げる2人を追いかけますが、何とか逃げ切ります。その後、小さな島の館で幸せに暮らしていた2人は、やがて、官僚に発見され、殺されてしまいます。それを見ていた神は、恋人達を2羽の鳩に変え、2羽は、永遠に仲良く空を飛び続けるのです。

伝説としては、いかにも、ありそうで、まことしやかではあります。

いずれにしても、効をなして、人気となったウィロー・パターンは、次々と他の陶磁器のメーカーにも使用され、多少のディテールは違うものの、デザインは独り立ちし、200年以上経った現在も、使われ続けているわけです。めでたし、めでたし。

普段は注意も払わないような、ありきたりな身の回りのものにも、色々面白い歴史が潜んでいるものです。

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