紫陽花と菖蒲の季節

昨日の投稿に続き、日本滞在の事を続けて書きます。当ブログのタイトルとは少々意を反するのですが。

今回の日本への帰国のタイミングは、取っていた資格コースの試験終了後、即、イギリスの気候になれてしまった体では、おそらく耐えられない、日本の夏が本格的に始まってしまう前にと思い、5月30日から6月21日の約3週間。できれば梅雨入りは6月の後半くらいになってくれないかな・・・と願っていたのですが、帰国後わりとすぐに梅雨入りと相成りました。それでも、雨の降らない日も沢山あったので、外出も十分でき。そして、6月と言えば、日本は紫陽花の季節ですから、紫陽花と菖蒲を求めて、ちょこちょこと、近郊での日帰り旅行をしました。

イギリスでも、巡る季節の花を求めるハイキングは、毎年行っていますが、日本で過ごした若い時は、わざわざ花を求めてどこかへ出かけるなどとは、考えたこともなかったです。空港から初めて着いた日、母の住む団地内を歩き、うちの棟のすぐそばで、綺麗な大型の紫陽花に迎えられ、「そうか、日本は、紫陽花の季節。」と気づいた次第。それをきっかけに、紫陽花寺とも呼ばれる千葉県松戸市の本土寺を皮切りに、上野不忍の池のほとり、北鎌倉などへ趣き。また、本土寺でも北鎌倉でも、菖蒲にも巡りあい。千葉県の佐倉でも菖蒲、更には茨木県潮来でのあやめ祭りにも電車で足を運び。紫陽花も菖蒲も、雨と水を連想させる植物です。

本土寺に行ったときは、それまでの雨量が少なかったのと、時期的に少し早かったのもあってか、満開とはいかず、咲いているものも、いささか干からびた感じはありましたが、人出は多く、場所場所できれいに咲いているところもあり、初の紫陽花遊山としては、まあ楽しかったです。境内に入るのに、500円の入場料。

本土寺では菖蒲も沢山咲いていたのですが、こちらも地面がいささか干からびた感じで、間にドクダミが沢山生えているのが目につきました。そういえば、滞在中、やたら目についたドクダミは、イギリスでは全く見ないため、記憶から消えかかっていた植物です。鎌倉で入ったレストランで、このドクダミの花を短く切ったものを2、3本だけ、小さなお猪口にさして、テーブルに飾られているのを見ましたが、そうやって飾られているのを見ると、愛らしい花です。菖蒲園のわきで、「ここは、全く手入れしてない感じね。見てよこの雑草。」と文句を言いながら、思わず草むしりを始めたおばさんがいましたっけ。ぱーっとした印象はパステルカラーで、こちらも、それなりに綺麗です。

参道で、紫陽花の形をしたお菓子が販売されていました。これが、金平糖でなければ、買ったのですが。こうやって、季節や花々を、食品に使用するというのは、とても日本的発想。

後日訪れ、やはり園内で紫陽花が咲いていた、千葉県にあるDIC川村記念美術館(千葉県佐倉より無料送迎バス)内のティールームでも、抹茶と紫陽花をイメージした和菓子が出ました。

鎌倉はきれいでしたが、それは大変な数の人出。北鎌倉の小さな駅で降りた段階で、狭いプラットホームの端から端まで、改札を抜けるための人の行列が出き、更には、駅構内のトイレでも長蛇の列。寺へ向かう道も、ぞろぞろと行列。自分もその一人なので、文句を言っても仕方ありませんが、紫陽花を見に行ったのか、人を見に行ったのか・・・という感覚はありました。

特に明月院は、押すな、押すなの満員御礼!

紫陽花そのものは、本土寺で見たものより、みずみずしく、手入れも行き届いている感じ。

ここの本堂後庭園にも花菖蒲が一面に咲いていました。

これは、明月院の有名な丸い窓の反対側にあり、少々の入園料を払って入ります。有名な丸窓から、こちらの庭園を覗いた写真を撮ろうとする人たちが、また長蛇の列を作っていましたが、私は、その反対側の庭園から丸窓の写真を撮りました。むこうに並んで写真を撮っていた人たちは、「なんだ、あのおばさん、邪魔だな!どけ!」なんて思っていたかもしれません。

上野の不忍の池の脇の紫陽花たちには、横山大観記念館を訪れた際に遭遇。記念館に入る前、池を眺めながら、この花々の間に座って、コンビニで買ったお弁当にぱくつきました。

不忍の池のスイレンの花たちのお目見えにはまだ、時期的に早く。こうしてみて見ると、葉っぱの上を歩いて渡れそう。

行こうと思っていたスカイツリーには、登らずじまいで終わりましたが、その姿は、何度か違う場所で見かけました。

上記のDIC川村記念美術館の庭園で見た紫陽花たちもグーでした。どうりで、館内で、紫陽花イメージ菓子を出すわけです。

滞在中、菖蒲が一番きれいに見えたのは、佐倉の佐倉城址公園内。比較的静かで、のんびりしたムードであったのも良し。夕刻迫る時刻で、やや涼風が吹き出したのも、好感をもった理由かもしれません。

潮来の伊太郎の、茨城県の潮来でも、あやめ祭りなどが開かれていたため、ここへも、千葉県の佐原から1時間に1本しかない電車に乗り換えて行ってみました。電車途中で利根川を渡り、茨木に突入。

この丸橋のかかる風景が有名で人が集まるのでしょうね。

あとは潮来花嫁さん。菖蒲のディスプレー自体は、私は、潮来のものより、

佐倉城址で見たものに軍配をあげます。

佐倉城址公園内の池では、白い睡蓮の花も咲き始めていましたし。

潮来訪問後は、電車を乗り換えた佐原の江戸を思わせる古い町並みもふらついてきました。

千葉県外房線の土気駅から徒歩20分ほどの場所にあるホキ美術館訪問の後に、そぞろ歩いた昭和の森内では、半野生化したような大量の紫陽花たちに出会いました。この他にも、いたるところで目に入った日本の紫陽花たちが、今回の訪問の思い出の中で咲き続けそうです。

初日に私を迎えてくれた母の家のそばの紫陽花は、帰る日、スーツケースを引きずって駅に向かう時には、盛りを過ぎ、やや色を失いかけていました。次に、これを見るのはいつかな、見ることはあるのかな、と少々寂しい気分も心を横切り。

今、イギリスの我が家の鉢植えの白紫陽花は、光の中で輝いています。イギリスの紫陽花の季節はこれからです。

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今年9月に、初めて日本へ観光へ出かける予定を立てているこちらの友人から、日本で取った写真を見せてと言われ、幾枚か見せると、「私には、どれもこれも、すごくエキゾチックに見える。」というご意見。これには、かつて郷ひろみが歌っており、JRのコマーシャルにも使用されていた「2億4千万の瞳」が思い出されました。(今は、この頃より、日本の人口減っているでしょうから、瞳の数も、2億4千万より少ないでしょうが!)

出会いは 億千万の胸騒ぎ
まばゆいくらいにエキゾチック・ジャパン
出会いは 億千万の胸騒ぎ
いのちのときめきエキゾチック
エキゾチック・ジャパン

当時のJRは、日本人相手に、日本旅行を、こんな歌を使って売り込むという事をしてたのですから、やってくれますね。何かを求めて、旅に出たくなるもの。山口百恵の「いい日 旅立ち」なども、JRでしたっけ。確かに、私でも、エキゾチックと感じる日本。外人観光客にとっては、更に、そう感じるのでしょう。雑誌、テレビで取り沙汰される場所以外にも、わりと家から簡単に到着でき、発見されるのを待っているエキゾチック・ジャパンが、皆さんの周りにも沢山ある事でしょう。自分だけの、そんな、思いがけない出会いを探しての小旅行もいいかもしれません。ちなみに、「exotic」とは、もともとは、単に「異国の」「外からの」という意味の言葉であったようですが、今は、わくわくするような、興味をそそるような、異国情緒を醸し出すものを指して使う言葉という感じです。

と、歌謡曲の話題が出たところで、次回は少々、日本の歌謡曲をテーマに・・・。

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