バーバー・インスティテュート・オブ・ファイン・アーツ

バーミンガム大学のキャンパス内に位置する、バーバー・インスティテュート・オブ・ファイン・アーツ(Barber Institute of Fine Arts)は、ロンドン外では屈指の、良質コレクションを誇る美術館として知られています。アールデコ・スタイルの建物に収められた美術館及び、コンサートホールは、1939年にオープン。

バーミンガムの裕福な土地開発者であったウィリアム・ヘンリー・バーバー(William Henry Barber)は、バーミンガムの政治家、ジョゼフ・チェンバレンが設けたバーミンガム大学設立のための基金にも寄付をし、その創設も助けた人物。マーサ・バーバー(Martha Constance Hattie Barber)夫人との間には子供はなく、未亡人となったバーバー夫人は、1932年に、夫の記念に芸術関係の研究を促進するためのバーバー・インスティテュートを設立。夫人は、その4か月後に、遺産をすべてこのインスティテュートに残して死去。夫人の遺産を利用して、バーバー・インスティテュートは、このアールデコの建物建設にとりかかり、質を重視した、美術品のコレクションの拡大を始めます。

がっちりとした長方形の入り口ドアから中に踏み込むと、広々と明るいロビー、左手はコンサートホールとなっていて、現在も色々なコンサートが催されている様子。まっすぐ進み奥の階段を登って2階にあがると美術館。

こういう地方都市のプチ美術館は、歩いているうちに疲れ果ててしまう大型のものとは違い、「え、まだあるの?」などと絵画飽食状態に陥ることなく、それぞれの絵をゆっくり見れるのが良いのです。2時間ほどの滞在で、2周しました。比較的、静かでしたし。

帰りに、土産物屋で絵葉書を5枚購入。

一枚は、ロンドンで活躍したアメリカ人画家、ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(James McNeil Whistler)による、「白のシンフォニー 第3番」( Symphony in White, No.III)。この館でも、目玉作品のようです。

そして、通常は肖像画家として知られていますが、風景画を描くことの方が好きだったというトマス・ゲインズバラ(Thomas Gainsborough)による牧歌的「収獲ワゴン」(The Harvest Wagon)。イギリスのバース近郊の田舎の風景。

あまり馴染みのなかった、ノルウェーのロマン派画家、ヨハン・クリスチャン・ダール(Johan Christian Dahl)による「海辺の母と子」( Mother and Child by the Sea)も綺麗でした。かなり小さめです。船に乗っているのは、子供のお父さんという設定のようです。ダールの父は漁師であったという事で、幼少期を振り返った絵ではないかということ。ダールは、ドイツのロマン派画家のカスパー・ダーヴィット・フリードリヒと親しかったそうですが、作風似てますね。

エドゥアール・ヴュイヤール(Edouard Vuillard)の「髪を結うヴュイヤール夫人」(Madame Vuillard arranging her hair)。このヴィヤール夫人は、画家の奥さんではなく、家でドレスを作るビジネスを経営していたというお母さん。構図と色彩、画面いっぱい散りばめられた異なったパターンが、ぱっと見、抽象画のようで面白い。その他にも、この絵が気に入った理由は、カーペットの模様が、我が家のカーペットと非常に似ているため!

印象派の画家カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro)筆の、フランスの秋の田舎のシーン、The Pond at Montfoucault。パステル調のやわらかな、光あふれる感覚がいいです。これからの季節に気分的にぴったり。

この他にもいいものは目白押し。バーミンガムを訪れた際には、中心地からはちょっと外れても、大学の散策も兼ねて、当館の訪問はお勧めです。プチ美術館ファンの人には特に。バーミンガムに行く事は、まずないだろうなという人には、バーバー・インスティテュートの絵画コレクションは下のリンクで観覧できます。
http://barber.org.uk/paintings/

入場無料で、文化の秋ならぬ、小粋な、文化の晩夏のひと時を過ごしました。バーバーさん、ありがとう。

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