花に潜んで待つはハナグモ

庭には、できるだけ、の好む花を沢山植えていますが、花そのものではなく、花に惹かれて訪れるそうした虫達を目当てとして、カニグモ科のヒメハナグモが一匹、ここ数日、花びらのふりをしながら、マツムシソウ(ピンクッション・フラワー)に身を潜めているのに気がつきました。

イギリスでは、クラブ・スパイダー(crab spider、 正式ラテン語名はMisumena vatia)と呼ばれるこの蜘蛛は、クラブ(crab カニ)のような大きな前足を持っているのが特徴です。こうしてお花に潜むので、日本では「ハナグモ」と称されるようですが、蜘蛛の巣を作って獲物がひっかかるのを待つ代わりに、こうして、そしらぬ振りして、花の一部に成りすまし、獲物がくると、カニのごとき前足を利用してがばっと襲い掛かる。獲物がやってくるまで、前足を広げたこのままの格好で、それは、辛抱強く、ずーっと長い間待っているのです。黄色い花に潜む時は、色が黄色く変わると聞いた事がありますが、私は、白いものしか見たことがないです。また、白や黄色のものは、大体がメスだそうで、オスは、もっと色が濃く、小さいのだそうです。

このハナグモがマツムシソウに宿を設けた事に気付いた翌日、既に、あわれ、餌食となってしまった蜂にかぶりついて、じゅーじゅーと体液を吸っているところを目撃。あーあ、蜂に良かれと思って植えた花が、蜂の命取りになってしまった~。これも自然の一環ではありますが。

このマツムシソウの花をまじまじと見てみると、「あれ、花の上に、別の蜂もとまってる。」でも、「なんだか、この蜂、動かないな・・・」

そうなんですね、この蜂も、すでにハナグモにがぶっとかまれて、その毒で膠着してしまっていたようです。

ひとつの花で、ほとんど同時に2匹も射止めて。ランチが終わったら、もうひとつは、3時のおやつに取っておこうというもくろみでしょう。なんでも、昆虫の目からは、ハナグモが隠れている花の方が、魅力的に見えるのだそうです。この日の夜、花の下には、体液抜き取られた2匹の蜂の死骸が転がっており、ハナグモは全く同ポーズを取って、次なるご飯を待ち構えていました。

そして、今朝、ハナグモはマツムシソウから姿を消しており、どこへ行ったかと探してみたところ、盛りを過ぎた花を去って、今度は、隣に植えてあるゲウム(ダイコンソウ)の、開き始めたばかりの花に身を隠しているのを発見。おぬし、なかなかできるな!身体の色は、白のままですけどね。こうして、ミセス・ハナグモは、夏の間、花から花へと、獲物探して移動するのでしょう。

小さな庭の片隅も、昆虫には生きるか死ぬかのジャングルであります。

*ハナグモがバラの花びらの間に潜む写真は過去の記事まで。こちら

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