ラリラリラリラとアマリリス

我が家の2階の寝室には、真南を向いた大きな窓があり、冬でも明るく暖かいので、居心地の良い一番好きな部屋です。このブログを書くのも、読書するのも、大体、この部屋のベッド脇のロイドルームチェアで。時折、目を上げて、窓のたんすの上に並ぶ植物越しに空を眺めるのも好きです。

常時、この窓際のたんすの上に置いてある植物群は、葉を指でこするとレモンの香りのするレモンセンテッドゼラニウム、オリヅルラン、そしてアマリリス。冬季は、ヒヤシンスの鉢植えがこれに加わりますが、レギュラーの面子はいつも同じで、基本的に、陽射しと、乾燥に強く、水遣りを数日しなくても、ちょっとやそっとでは死なない植物たち。

2鉢あるアマリリスが咲き始めました。うちのアマリリス、もとはと言えば、義理の父が長年育てていたアマリリスの球根を割ったものを、うちのだんなが持って来て、ずっと育ててきたもので、かなり歴史のある植物なのです。実際、居間に飾ってある、義理の両親の写真の背景に、しっかり我が家のアマリリスのご先祖様も、一緒に写っているのです。世代を越して受け渡し大切にするものには、家具、陶器等の他に、植物もあるのです。

育て方として、一番大切なのは、置く場所でしょうか。暗い室内に置いておくと、冬季に葉が死んでしまうこともあるらしいので、成功の秘訣は、お日様がいっぱいの場所に置く事。水遣りも、やりすぎると返ってまずいようで、ずぼらな人には最適?乾いてきたかなと思ったところで、たっぷり水をあげ、開花期には、水の他に、水に溶かす肥料を、1週間おきくらいに、ちょいとあげるくらいです。花が咲き終わったら、茎を元から切り落としています。

丈夫に育っているアマリリスは、放っておくと、どんどん球根が大きくなり、更にその脇に、いくつもの小共球根が増えていくので、プラスチックの鉢は、膨れ上がっていく球根に引き伸ばされて変形したりします。ですから、3年に1回くらいは、球根を鉢から出して、もとの球根の周りに育っている子供球根たちを分けて取り、一番丈夫そうな球根を選んで植えなおしします。あまった球根は、別のポットに植えて、人にあげてもいいですし。植える際には、あまり大型のポットを使わず、土も大量使用しないこと。そして、球根の上部は、土から顔を出しているようにして植える。水遣りの際は、できるだけ、その球根の上部に水がかからないように。それ以外は、ほとんど手のかからないすぐれ植物で、毎年、年に2,3回は咲いてくれています。

時に鳥が横切る空を背景にして、アマリリスのオレンジの顔を見ていると、口に出てくるのは、

フランスみやげ
やさしいその音色よ
ラリラリラリラ
しらべはアマリリス

ですね。だんなにメロディーを歌ってあげても、「そんな曲聴いたこと無いや。」メロディーはフランスから来たとかいう話ですが、何故に、日本でよーく歌われるのか、不思議です。歌詞はどうやら、フランス土産のオルゴールのやさしいメロディーを聴きながら、アマリリスの花を思う、という事らしいですが。

ところで・・・このアマリリスと言う名称ですが、この室内用のオレンジの花の学名は、ヒペアストラム(Hippeastrum)なのです。原産地は、中南米。だから、南向きの暖かい窓が大好きなわけです。名前はギリシャ語で「騎士の星」の意。騎士の星は、ごっつい円形の鉄が、棍棒の先についている、中世に使用された武器の事で、形が似ているから、というので付いた名のようです。「これで殴られたら、痛いぞ」みたいな武器なので、ヒペアストラムというのは、さほど、ロマンチックな名前ではないのですね。まあ、一般人は、みな、アマリリスというと、この花を思い浮かべますし、これをヒペアストラムと、正式名で呼ぶ事は、分類する必要があるとき以外は、まず、ほとんどいないのですが。

一方、アマリリス(Amaryllis)というのが学名の花は、秋に、戸外で、ほんのりピンクのユリの様な花を咲かせるAmaryllis belladonna(俗名べラドンナ・リリー)の事で、こちらは、南アフリカが出身。名称はギリシャ語の「輝く」から来ているとの事。上の写真は、RHS(王立園芸協会)サイトから拝借しました。ラリラリラリラ・・・のアマリリスは、もしかしたら、こちらのべラドンナ・リリーの事を歌っているのかもしれません。

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